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前世は不遇な人生でしたが、転生した今世もどうやら不遇のようです。  作者: 八神 凪
波乱の学校生活

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37.クラスメイト追加


「はい、それじゃあ授業を始める前に教室の掃除をやるわよ。一日、お世話になるのですからね」

「「はーい」」


 ……ミーア先生の指示に返事をする俺。それに被るようにもう一人の声がする。

 

「こうやってお掃除をするんだね、いやあ勉強になるなあ」

「王子が自ら掃除しなくても俺がやるよ?」

「そこはほら、クラスメイトじゃないか!」

「ああ、まあ……」


 声の主はもちろんラッド王子。

 どういう話をしたのやら、今朝からこの特別クラスへと編入していた。

 ミーア先生曰く、権力の無駄遣いをするだろうとは言っていたが、いくらなんでも早すぎる。

 まあ、本人がいいなら構わないと思うが、王子に雑巾を持たせているのは少々心苦しい。


「ふん、ふふーん♪」

 

 鼻歌交じりとはご機嫌だ。

 王子ってのは甘やかされて育ち、もう少し横柄かと思ったが意外とそうでもないんだな。


「なんでこっちに来たんだよ。友達なら向こうの方がいっぱいできるぞ?」

「うーん、アルってゼルガイド団長の子供だよね? 父上がそれならいいんじゃないかって。多分アルも騎士になるでしょ?」

「……どうかなあ」


 魔法の威力を見て唾をつけておこうみたいな感じみたいだ。

 いつか王位を継承したら国を守るのはラッドの仕事だ。今のうちに強い人間を手に入れておきたいというのであればしたたかである。

 先を見据えた考えは嫌いじゃないけど、それならやはり人間が多いクラスの方が青田刈りできる気もするけどな……


 ともあれ、まさかこのクラスに二人目が入ってくるとは思わなかった。だが俺のやることは変わらない。

 魔法と剣術のさらなる強化。次いで周辺国や情勢の情報収集を怠らないようにすべきだろう。

 成人である十五歳まではお世話になると決めているが、卒業は十二歳。実力十分となれば旅立つことも視野に入れる。

 急ぐ理由はやはり爺さんから連絡がないこと。

 手紙は一年(この世界も一年という周期らしい)通して送り続けたが、当時はもとより、未だに連絡は無い。


 爺さんと婆ちゃんはすでに唯一の肉親となったため、なにか困っているなら助けたいと思う。そのためには力を――


「アル、どうしたんだいボーっとして?」

「おおう……!? 近いってラッド」

「もう掃除も終わったし、先生の授業を聞こう!」

 

 俺達は並べた机に着席すると、座っていたミーア先生が立ち上がり口を開く。


「教室の汚れは落とせましたね。さぼると汚れますが、これは心も同じこと。勉学を一日おろそかにすると取り戻すのに三日かかると思いなさい。では始めましょうか」


 そういって数学の教科書を開く先生。

 まあ、九歳がやる内容は四則の計算程度なので俺には難しくない。もっぱら張り切っているのはラッドだけである。


「六人にリンゴを五つずつあげたい場合、いくつ必要かしら?」

「えっと、六かける五……三十個です!」

「正解よラッド。八センスの魚を六十センス持って買いに行ったら何匹買えるかしら、アル?」

「七匹と四センスのお釣りだね」

「正解だね。よく勉強しているね、二人とも」


 ミーア先生はしわの混じった顔を笑顔にして俺達を褒めてくれた。

 そういえば校長なのにこんなことをしてて大丈夫なのだろうか?

 しばらく計算問答をしたのち、俺は尋ねてみることにした。


「先生、俺から言いだしたことだけど校長先生が担任で良かったの? お仕事が他にあるんじゃ?」

「あら、問題児が私の心配かい? まあ、やることはあるけど、だいたい他の先生で対応できるからね。お飾りみたいなもんさ。アルが仕事をくれて助かってるよ」

「なんか褒められている気はしないなあ」

 

 俺が口を尖らせて頭の後ろに手を組むと、ラッドが横で笑う。

 

「でもこんなことを考え付くなんてアルはとてもすごいよ! もし力があったとしても僕は言われたとおりにしかできなかったと思うんだ。魔法も凄いけど、行動力がかっこいいよね」

「よ、よせよ」


 ぐいぐい来るなあこいつ……

 女の子なら良かったが、変な言い方をするとちゃんと男だった。

 とりあえず話題を変えようかと思い、俺はミーア先生へ話しかける。


「そういえば俺の本を見てなんか気になりました? ラッドが来たから昨日は聞けなかったんですけど」

「……そうね。その話をする前に、アル、あの本を一日だけ貸してもらえないかしら?」

「え? 読みますか? 不思議な本で、俺が今知りたいと思った情報が浮かんでくるんですよ」

「……ふう」


 俺の熱弁にミーア先生は困った顔で鼻息を漏らす。

 知っているけど、確証を得たいと言ったところだろうか?


「オッケー、帰りに渡すよ。大事なものだから失くしたり汚したりしないでね」

「大丈夫ですよ。さ、それじゃ今度は剣術の稽古に行きましょうか」

「お、やったね!」

「僕は剣を教わったことがないから楽しみだよ!」


 だけどもだ。


「先生は剣を使えるの? 魔法が得意そうな感じがするけど」

「そうさねえ……昔よりはダメだと思うけど、まだ武器種で戦い方を変えて教える程度の授業はできるよ。ちょうど二人になったし、稽古をしやすくなったのはありがたいね」

「確かに……」


 俺達は教室で運動着に着替えるよう指示されサッと準備をする。

 

「一応、持っておくか」

「アル、行くよー」

「ああ」


 俺は後ろに立てかけてあったマチェットを掴んでから外へ向かった。

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