第33話 うちはうちよそはよそ
「やぁ、なんか用みたいだけどどうしたんだ?エベネット」
金曜日の放課後、急遽エベネットに呼ばれて俺こと哲平は事務所に来ていた。
真面目な雰囲気を醸し出してる。
最近彼はなりふり構わなくなったからか乱暴な言葉遣いになっている。
「あ?あーそう言えばそうだったな」
「おかげで今日の配信できてないよ」
「明日一日ダンジョン探索予定だろ?」
「まぁ、休みだしね」
エベネットはヘラヘラしてる部下のけつを蹴ってお茶を入れさせている。
「コレがパワハラの現場か」
「それなら俺は全員から名前を呼ばれなくなってるいじめを受けている」
「あー言えばこういう」
「お前に言われたくない」
俺は同じ机を囲ってる残りの二人を見る。
一人はこの前の記者、うちの所属になったらしい。
一人は黒髪で幸薄そうな少女だ。
「エベネット未成年に手を出したの?」
「ちげぇよ!」
「え?ゴシップ記事じゃないの!?」
「なんでそうなる!?」
「普通に考えて」
「どこの普通だ!」
どこって世間の?
「あーもうお前が話し出すと話が進まない」
「話はあるでしょ?」
「あーいえばこう言う…」
「それ俺の言葉だろ!」
「はぁ」
どでかいため息は失礼じゃないかな?まぁ、仕方ないことではあるか。
「お前たち三人は広報部隊の責任者というか企画実行などに欠かせない人材だ」
「それなら俺は…」
「テメェは広報部隊リーダーだろ」
「あ、はい…カツジじゃないのか」
「お前はあいつに何もかんも押し付けようとするな!」
怒られた解せぬ。
ん?てことは
「この子はもしかして、Vの北条 梓?」
「えっと…あ、はい」
梓がおどおどしながら返事してくれる。
「す、すいません。私、あんまり対面というものが得意じゃなくて」
「そっかそっか、そう言えば記者さんがお願いしたんだっけ?」
「ええ、そうよ」
要するに今回の面子はダンジョン配信に関することで間違いはないだろう。
現在俺たちというか、広報部隊はダンジョン探索生配信を主任務として行なっている。
最近じゃ、配信内の梓のノリも良くなったみたいでとても視聴者から好評だそうだ。
良くも悪くも今回の一件で有名になりつつあるわけだし。
「てことは、なんか配信に関して問題と言ったところ?エベネット」
「急にスンッとなるな」
「その表現わかりずらいと思うんだよ」
「関係ないだろ?」
「確かに!?」
ふむ確かに通じてれば関係ないということになるわけだ。
ならばその問答というのは無用の産物であり…
「あのーいつもこんな感じなのですか?」
「まぁ、配信で見せてる顔は完全に素っぽいわね」
なんか、二人が言ってるけどよくわからん。
とりあえず…
「てことは軽く問題提示はできるぞ」
「おい、勝手に話を進めようとするな、今回の件は…」
「俺たち以外にいるんだろ?」
「!!」
「ほら正解。俺たちみたいに迷宮探索するのが、おまけにかなりシビアな迷宮探索を配信してる」
「そ、そうだ…だから」
ふむなるほど広報としてもう少し頑張れという話だろうか?
だが、俺はひとつ思っていたことがある。
「別にいいんじゃない?」
「は?」
「え?」
「へ?」
ん?あれ?
なんか、思った反応と違うな。
いや、まぁ、梓と記者はわかる。
だからその二人にシビアな話をするのかと思ったんだけど…。
「もしかしてエベネットさ、今の俺たちの配信で独占する気だった?」
「いや、そううまくはいかないとは考えてはいたが」
「なるほどねぇ、欲が出たのか」
「そりゃぁ、お前たちの世間の注目度は高い、上もお前たちを常に表に出すことを意識している」
「おー意外、国自体がそんな方針だったんだ」
なるほどな、てことはエベネットも上も勘違いしてるわけだ。
そもそも俺がこの計画に乗った意味と国家部隊としてするべきことを
「そもそも人気は取る必要はないだろ?」
「ん…あーそうか」
エベネットは納得する。
逆に他二人は、元記者と元個人の部隊雇われVtuberである。
お金の問題を先に考える。
逆に俺たちが考えるべき点は違うはずなのだ
もちろん俺だって追加給与になる配信が人気になるに越したことはない。
でも、
「そもそもの話、俺たちの目的は迷宮というものを世間に広めるための活動だ。人気商売じゃない」
「ならもう少し真面目にやってくれ」
「いつもしてるよ!」
「「「嘘だ!」」」
「三人して!?」
今の説明に二人の様子を見る。
「てことは私たちは人気を取る必要はないってことですか?」
「それは違う、迷宮に関しては興味を持ってもらわないと今後、迷宮という産業において日本は遅れをとることになる」
「なるほど、てことは私たちは今まで通りでいいってことね?」
「そういうことだと思うけどエベネットの意見は?」
三人で見ると彼はため息をつく。
「はぁ、そうだな…俺の気にしすぎだったすまんな三人とも」
「大丈夫です、私も心配してましたので」
「ライバルはチェックしてたからこの話してもらって助かったわ」
「んで?その配信した人って?」
「「「!!?」」」
「何で三人して驚くのさ!」
なんか、三人からうわぁこいつ何で調べてないのという目で見られてる。
解せぬ。
それは俺たちの敵。
それは俺たちのライバル。
俺たちはついに対等な存在と出会う。
なんやかんやとあって、のんびりとした鑑賞会。
『第34話 結局これって別物だろ?』
記憶と技術の中に、我々は生きている!リリース!




