第13話 メイドってなんだろうな
「本日は私ですね。ご主人様、よろしくお願いします」
渚は俺の部屋のベッドの上であ背中を向けていた。
俺にとっての日課である。
ちなみに昨日はカツジで一昨日は紅蓮だった。
「再解析」
第一因子 生存
第二因子 直感
第三因子 見切り
…
…
第七十因子 戦争
「おお、もう根付いて馴染み終わってるな」
「今日に間に合うか不安でしたが、よかったです」
「それで71個目はどうするんだ?」
「そうですね、んーやはり60階の高層ビルの窓を突き破って入った時に思ったのですが、機動力が足りない気がしますね」
「ん?」
何言ってるんだこの子?
「機動力を上げる因子が欲しいです!」
「いや、聞いた限り足りないようには聞こえなかったのだけど?」
「ここままではご主人様の元にいつどこでも馳せ参じることができません!」
「もういいよわかったから、とりあえず因子を絞り込むよ」
本当に渚は思い込んだら一直線なんだよなぁ。
「これでどうだ?」
「これでしたら天馬をいただいても?」
「天翔の力と嵐の魔法系統それと進化の追体験があるけど」
「大丈夫です」
俺はそのまま光を発して渚に流し込む。
さっきから言ってる因子というのは俺の超能力、『仲間育成』(仮称)によって持っている、根幹総合情報エネルギーの通称である。
何言ってるか分からんって。
うん本当にマジでマニュアル読んでる気分だわ。
そ、コレは専門用語すぎてよく分からんが、因子というのは様々な記憶と情報、技術を内包したものの総称。
前に言っていた並行世界等の情報のソースがこれである。
「うぅ、頭痛いです」
「今回は概念的なものじゃないからな」
とりあえず、渚と2人で横になる。
「うう、平衡感覚狂いそうです」
「よしよし、とりあえずゆっくりやってけ」
そして、俺の力は特定の条件を満たした相手に因子を渡して、その因子に応じた力を与えること。
俺の中にある因子が消えるわけではないが、俺自身が因子に対してできることは閲覧と追体験。その技術と知識を与えられるわけではない。
「寝たか」
俺は眠れない。
因子を馴染ませるために常に渚に魔力を送り込まなくてはならない。
本来送り込まなくても平気だが、魔力を送った方が早く、因子に馴染み根付くようになる。
俺はこの力を7人に与えており、それぞれ週に一度、当番の日があり、今こうして渚といる。
そうして永い夜を過ごすのだった。
**
いつも通りの時間に起きて、軽くトレーニングを終えた後、家に帰るとまだ渚が眠っていた。
「こいつは本当に、戦闘以外はポンコツだな」
俺は渚の頭を撫でて朝の準備をするのだった。
因みに渚は家事全般ができないため全部俺がやるのだった。
メイドってなんだろうな。
ふぅ、相変わらず渚はポンコツだなぁ。
え?次は生放送!?
うーむこれはしっかりと見せ場を作らなくてはな!
みんな!雑技はあるな!
よし、これでオッケー。
なんやかんやあって再びダンジョン探索を行う。
次回、『第14話 ミーシャの報告書』
記憶と技術の中に、我々は生きている!あ、ゆきか…小冬、ちょっと普段の報告書見せて〜