第12話 共通の敵
「いまだ行くぞ!」
俺こと坂上 哲平は今、紅蓮と共にコソコソと移動していた。
まだ、バレてない。
目を光らせてるのは先生。
俺たち2人はあの先生から逃げ切らないといけない。
息を飲んで走り出す。
そんな時、
ドンっ
「あいた」
何かにぶつかる。
それは何かのケースのような…
これって
「ご主人様、ただいま戻りました」
メイド服を来た青髪の少女、百合川 渚がいた。
「お、一週間ぶりくらいか?」
「はい、エベネットにダンジョンができた日からずっと仕事に駆り出されてたので」
「それって三日くらい前の話だな」
「そうでしたっけ?申し訳ありませんあまり詳しく覚えてないのですよね」
彼女はまぁ、良くも悪くも俺を慕ってくれる存在ではあるが、一つ訂正しよう。
この子はメイドではない。
冥土なら合ってるかもだが、メイドではないのだ。
彼女は趣味でメイドの格好をしており、趣味でメイドっぽい従者っぽいことをしている。
「それで今何を…」
「見つけたぞ!」
あ、先生がこっちに気づいた。
「逃げるぞ!紅蓮」
「わかってる相棒!」
2人で走り出そうとした瞬間、襟首を掴まれていた。
「はなせー!」
「俺らに自由を」
「授業中に自由にしてたやつがそんな自由あると思うな!」
引きずられ…ない。
「そうだお前も補習だ、百合川」
「…」
渚の顔が引き攣っている。
次の瞬間、走り出そうとして渚は先生に捕まってそのまま補習室に連れて行かれるのだった。
**
「さて、今日は超能力についてだな」
「「はーい」」
「わかりました」
俺たちは生返事をするが
「捕まったあとはお前たちおとなしいよな」
「諦めた」
「諦めだな」
「諦めです」
とりあえず、ノートを開く。
「まず超能力というのは魔法とは違った原理であり、エネルギー構造体そのものは同じなのに全く違う法則を持ち人によって違う結果を出す技術だ」
「要するにユニークなスキルってやつでOK?」
「お、珍しくちゃんとしてるな哲平」
うんまぁ、それはね。
「次に超能力が発言するか否についてはその人の資質が大きく関わっているため、いまだに原理は不明」
「となると、数多くの実証例が欲しいけど人によってあまりにも違って検証が難しそうだな」
「今日はどうした?琉底まで、ちゃんしてて、悪いものでも食ったか?ははは!」
知らないって幸せだなぁ。
俺と紅蓮はこのあと起きる展開に合掌する。
「んじゃ超能力の例についてだが例えば念動力とか」
「ふむ、となると原理的に考えれば今こうして生きてることも超能力ということでは?」
「ぅぇ!?へ?」
「なるほど、となると〜〜」
意味わからないような独自解釈が聞こえるがそのどれもが的を射ておらず。
「いや、待てちゃんと説明するからな…えーっとまずは超能力に使われる基本エネルギーについて…」
無駄だ。
「ありがとうございます。要するに食物の摂取によって得られると」
「いや、違くてだな」
その補習あと、しばらく先生がトイレにいたのは…俺たちだけが知っている。
ご主人様ぁ〜眠いです〜。
なんと、私とご主人様の一夜が始まる。
あー私の希望が叶う日なのですね。
なんやかんやあって、私とご主人様の夜が始まる。
次回、『第13話 メイドってなんだろうな?』
記憶と技術の中に、我々は生きている!リリース!
メイドは趣味です。