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不思議な短編集  作者: シグルド
1/1

お墓のスケルトン

心霊写真を撮りに来た男が…。

夜、お墓を通る男に声を掛ける。


?「すみません。」


男「何だ、ガ、ガイコツ!?」


?「いえ、スケルトンです。」


男「ガイコツも、スケルトンも一緒じゃないか!?」


スケルトン「いえ、違います、ガイコツは日本語、スケルトンは英語です。」


男「西洋かぶれかよ!」


男はスケルトンの頭を小突く。


カラカラカラ!


スケルトンの頭が回る。


スケルトン「私、骨粗鬆症なんです。」


男「それで…?」


スケルトン「骨太になりたいです。」


男「牛乳飲んだら?」


スケルトン「買ってきてもらえませんか?」


男「何で?」


男は、面倒臭そうな顔をする。


スケルトン「私、売ってもらえないんです…。」


スケルトンは、手で目を擦る。


男「まあ、スケルトンだもんな。」


スケルトン「だから、お願いします。」


スケルトンは、地面に頭を擦り付けお願いする。


男「わかった…、お金は?」


スケルトン「これなら…。」


スケルトンは、小判を1枚渡す。


男「小判…、小判かよ!?」


スケルトン「大判もありますよ。」


男「そう言う問題じゃなーい!」


スケルトン「じゃあ、これは?」


男「そうそう、五円玉なら使える。」


スケルトン「それは良かったです。」


暫く静寂が…。


男「これだけ?」


スケルトン「これだけです。」


再び静寂が…。


男「足りるかー!」


スケルトン「足りないのですか!?」


男「昭和初期じゃないんだから、足りねえよ。」


スケルトンはションボリした。


男「わ、わかった奢ってやるから。」


スケルトン「ありがとうございます!」


スケルトンの全身が、キラキラする。


男「な、何か星が見える…。」


男は、少し何とも言えない顔をする。


∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞


10分後、男は袋をパンパンにして戻って来た。


男「買ってきたぞ。」


スケルトンに牛乳を渡す。


スケルトン「ありがとうございます。」


ポンッ!


スケルトンは蓋を開けると、グビグビ飲み始めた。


ボトボトボト!


男「零してるじゃないか!」


スケルトン「骨身には染みてますよ。」


男「身が無いうえに、勿体ねぇ。」


スケルトン「スケルトンですから!」


スケルトンは頭を掻く。


男は袋をあさり。


男「これならどうだ。」


男は『ミルク飴』を渡す。


スケルトン「飴ですか。」


男「ダメか?」


バリッ!


スケルトンは飴咥える。


スケルトン「私、舐める舌が無いんですよね。」


ガリガリ、ボキッ!


男「!?」


スケルトンの歯が折れた。


スケルトン「歯が取れました…。」


男「そんなバカな!」


男はスケルトンの歯を拾う。


男「マジですか…。」


スケルトン「どうしましょう?」


男「くっつかないのか?」


スケルトン「カルシウムが足りないので…。」


男「そうだった…。」


男はヨーグルトを取り出し。


男「取り敢えず、零しても良いから、数日ヨーグルトを食べてみてくれ。」


スケルトン「わかりました。」


男「ヨーグルトを買いき行ってくる。」


男は出掛けて行った。


∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞


30分後、男がダンボールを抱え戻って来た。


男「全部食べたら教えてくれ。」


スケルトン「わかりました。」


暫く静寂が続き。


スケルトン「あの、何で連絡すれば?」


男「電話はないのか?」


スケルトン「ありますよ。」


スケルトンは頭を開け、スマホを取り出した。


男「どこに直してるんだよ!」


スケルトン「取りやすくて。」


男「スマホ使えるんだ…。」


スケルトン「コツモを使ってますよ。」


男「そんな会社、聞いた事ないよ!」


スケルトン「有名ですよコツモ。」


男「まあいいや、それで番号は?」


スケルトン「5252-○○○○-△△△△ですよ。」


男「番号まで骨…。」


男はスケルトンに電話をかけ登録した。


男「じゃあ、またな。」


スケルトン「はい。」


スケルトンは手を振り男を見送った。


∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞


5日後…。


トゥルルル、トゥルルル!


夜、男のスマホが鳴る。


男「ん、スケルトンか…。」


ピッ!


男「もしもし。」


スケルトン「ヨーグルト食べ終わりました。」


男「そうか、今から行くよ。」


男は身支度をすると、お墓に向かった。


∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞


お墓れ来た男は愕然とした。


男「な、何と…。」


スケルトンの骨が真っ白に光っていた。


スケルトン「ヨーグルトのお陰化、骨の調子が良いですよ!」


男「歯も治ってる…。」


スケルトン「そうなんです、新しい歯が生えたんです!」


男「そんなバカな!」


スケルトン「前の歯はこれですよ。」


スケルトンは折れた歯を見せる。


男「永久歯だよな…。」


スケルトン「はい、スケルトンだからでしょうか?」


男「あり得ない…。」


スケルトン「お礼がしたいですが、『コツコツ』は使ってますか?」


男「コツコツって何?」


スケルトン「コツコツを知らないのですか!?」


男「聞いた事も無い。」


スケルトン「電子マネーめすよ、知らないなんて珍しい。」


男「そんなアプリ知らないよ。」


スケルトン「スケルトン界では、常識なのですか…。」


男「俺はスケルトンじゃない!」


スケルトン「そうだったのですか!?」


男「どこをどう見てスケルトンだと?」


スケルトン「肉の付いたスケルトンだと思ってました。(テヘッ!)」


男「そんな変なスケルトン居るか!」


男はスケルトンにツッコミを入れる。


ボキッ!


男「あっ…。」


スケルトンの肋骨が1本折れた。


スケルトン「あらら、まだ骨太にはなってなかったですか。」


男「すまん、5日では骨太にはなれないぞ。」


スケルトン「折れた骨は仕方ないです。」


スケルトンは地面に埋めた。


男「そんな適当に埋めて良いのか?」


スケルトン「お墓ですから。」


男「お墓参りに来た人が驚くだろ。」


スケルトン「ここ100年程来てないですね。」


男「えっ、じゃあ俺は?」


スケルトン「100年ぶりのお客ですね。」


男「別に客じゃないんだけど…。」


スケルトン「どうしてここに?」


男「近くの心霊スポット探しに…。」


スケルトン「そうでしたか、物足りないでしょ?」


男「いやいや、驚いたよ。」


スケルトン「えっ、どこにですか?」


男「話すスケルトンにだよ。」


スケルトン「いやいや、スケルトンなんて普通でしょ。」


男「そんなわけあるか!」


スケルトン「おかしいですね。」


男「おかしくない、しかも今は火葬が普通だし。」


スケルトン「まさか、それだと骨まで残らないじゃないですか!?」


男「だから、驚いたんだよ。」


スケルトン「でも、心霊スポットなんですよね?」


男「ある意味な…。」


スケルトン「なら、

目的達成ですね。」


男「ま、まあ…。」


スケルトン「何だか、目的と違う顔をしてますね…。」


男「幽霊を撮りに来たんだけどな。」


スケルトン「幽霊居るんですか!?」


男「幽霊以上の遭遇だよ!」


スケルトン「写真撮りませんか?」


男「スケルトンに撮影依頼されるとは…。」


男は墓にスマホを置き、スケルトンと並ぶ。


パシャッ!


男はスマホを回収する。


スケルトン「満足しましたか?」


男「まあな。」


スケルトン「それは良かった。」


男「じやあ、またな。」


スケルトン「はい、また来てくださいね。」


男「気が向いたならな。」


男は手を振り墓を出ていく。


スケルトン「もう会えないですよ。」


スケルトンは、そう呟くと、バラバラに崩れ落ちた。


∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞


男は家に帰り、スマホの写真を確認すると。


男「な、何じゃこりゃー!」


男は驚いて腰を抜かす。

写真には、男と沢山のスケルトンが写っていたのであった。

読んでくれてありがとうございます。

心霊写真を撮りに来た男が、骨粗鬆症のスケルトンと出会うお話でした。

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