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プロローグ

 大きな屋敷の窓の一つに、仄かな明かりが灯る。

 薄暗い部屋に、一人の男の影が浮かび上がる。



 一目で高級とわかる絹織りのガウンの下は脂肪の塊で、男の贅沢な生活を雄弁に物語っている。

 稀少な宝石を使った指輪がいくつも光る太く短い指は、期待感に震え、届いたばかりの密書を開くのも覚束ない。

 その瞳は異様なほど爛々と輝き、額にはてらてらと脂ぎった汗が滲む。

 やっとの思いで封を解き、質の悪いざらついた紙を開く。

 細い目をこれでもかと見開き、思わず重そうな腰を椅子から浮かせるほど、男は高揚していく。



「おおぉ・・・おお」



 深夜の屋敷に不気味な声が響いた。



「あった。あった。アレは本当にあったのだ! アレがっ!」



 男はそれを探し出すために、大金を注ぎ込んできた。

 高い金を出して、わざわざ人も雇った。

 けれど、その価値に比べれば、これまで費やしてきた金など僅かなものだった。

 それは誰よりもその男が理解していた。

 男は歓喜に身体を振るわせる。 



「これで、儂も大臣になれる・・・忌々しいグラウェを失脚させ儂がこの国を支配するのだ!」



 握りしめた拳の中で、密書が紙くずになる。

 男は、燭台の上に密書を掲げる。白い小さな紙は、あっという間に黒い煤に変わる。

 再び腰を沈めると、丈夫なはずの豪奢な椅子がギギッと鳴いた。



 男は、閉じた瞼の裏側に、優々たる夢を描き、頬を緩める。

 しかし燭台の炎に映し出されたその姿は、雅やかどころか、まるで魔物のように揺らめいた。

第2章始まりました。

よろしくお願いいたします。

今日(9/22)は、お昼くらいに1話目もアップします。

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