嫁対抗料理対決
ある晴れた日、俺はのんびり本を読んでいた。するとレイがやって来た。
「ん?セイジ、何読んでるの?」
「料理の本だよ。俺も独り身じゃなくなるから自炊くらい出来るようにならないとと思ってね。」
今は男も自炊出来なきゃ駄目だし。
「りょ、料理かあ………」
「レイは料理出来るの?」
「…………」
レイが黙りこくってしまった。もしかして………料理が出来ないのか?
「なあ、もしかして料理が出来な………」
「いいや!出来ますよ!出来ますよーだ!私だって料理くらい出来ますよーだ!なーに言っちゃってんのよセイジは!」
分かりやすい嘘だなー。別に料理が出来ないのは恥ずかしいことじゃないのに。
するとティナちゃんがニヤニヤしながらやって来た。
「ねえねえ、もしかしてレイさんって料理出来ないのー?やっぱり女性は料理が出来ないとねぇ?」
レイは嫁達の中でも胸の大きさがベスト1位、そしてティナちゃんは胸の大きさがワースト1位だからな。ここぞとばかりにマウントをとろうとしてる。
みっともなく見えるぞー。
「は、はあ!?で、出来ますー!私が料理出来ないとか冗談はよし子さんよ!」
それ、この世界にもあるんだ………。
「じゃあ勝負しない?どっちが美味しい料理を作れるかを!」
「ふん!望むところよ!子供だからって手加減しないんだからね!」
「ま、私ならレイさんなんて余裕で勝てるけどねー。」
へえー料理対決かあ。面白そうだ。
「ふむ、面白いことを聞いたな。のう、オルよ。」
「そうですねぇ。それ、私達も参加してもいいですか?」
「なに!?」
「良いよ。普段からお母さんの手伝いをしている私をなめないほうがいいけどね。」
「ん?どうしたレイ。顔を青くして。」
「ま、まずい…………。」
どしたんだろ?
「よーし、それじゃあ嫁対抗料理対決を始めるよー!」
「「おーー!」」
「お~~~…………………」
レイだけ元気がないな。ほんとにどうしたんだ?
「ところでなんでセイジさんも参加してるんですか?これは嫁同士の勝負なのに。」
「俺も暇だったからやりたくなったんだよね。」
「まあ細かいことはいいじゃろ。それより審査員は誰なのじゃ?」
「審査員はお父さんとお母さんとソルトさんとペッパさんとスーちゃんとムーちゃんだよ。」
「あれ?ソルトとペッパさん。仕事は?」
「今日は私休みなんだよね。」
「俺も今日は非番なんだ。」
「何もすることなかったからショッピングにでも行こうかなーって思ってたらいきなりティナちゃんがやって来てさ、審査員になってくれって言われちゃって。理由を聞いたら何やら面白そうなことになってるから引き受けたの。ソルトもやることなかったらしいからついでに連れてきたの。」
「昼寝しようと思ってたんだが………」
「ま、早いとこ料理作っちゃってよ。じゃないと審査できないしさ。」
「そうだね。よーし、それじゃあ早速スタート!」
みんな厨房へと向かった。
俺は何を作ろうかな。
そして1時間後、みんなの料理が出来上がったので審査が始まった。
「まずはわらわじゃ!」
そう言うとロゼちゃんは謎の黒い塊を用意した。
「ろ、ロゼちゃん?これ、何?」
「何ってステーキじゃぞ。ちょっと火加減を間違えたがまあ誤差の範囲じゃろ。」
誤差の意味をご存知ない…………?
「オエッ!」
「苦い………。」
「砂みたいな味がする………。」
みんなの評価はさんざんだった。そりゃそうだ。ただの炭の塊にしか見えないもんな。スーとムーは特に気にしてないように見える。スライムにはこれくらいなんてことないんだろうな。
「むー。みんなひどいのじゃー。」
「さあさあ今度は私の番ですよ。召し上がれ。」
オルの料理はスープにサンドイッチと普通に美味そうだった。
「美味しそー。」
「どんな味がするんだ?」
パクっ……………
「お」
『オエエエエエエーーーーーーッ!!!!』
「な、な、な、何!?このゲロマズな料理は!?」
「ドブが口の中に入ったかと思ったぞ!?」
「ウ、ウオエェェェェェ…………」
「ティ、ティル………だ、大丈夫………?」
「だ、だいじょオエエエエエエ…………」
「あ、あら?失敗しちゃいましたか?」
失敗なんてものじゃないぞ!これ、口の中に入った途端この世の物とは思えないほどの悪臭がしたぞ!まだ牛乳を拭いた生乾きの雑巾のほうがマシと思えるくらいの!
みんなあまりのマズさに30分ほどダウンしてた。
「みんな大丈夫じゃ………なかったね。私の料理で口直ししてね。」
ティナちゃんがスープとハンバーグを用意した。
ティナちゃんはハンバーグ作ってたのか。
「今まで食べたハンバーグの中でも一番美味しく感じる………」
「あれ?スープってこんな美味しかったっけ?」
「さっきのスープは殺人レベルに不味かったもんな………。」
「う、ううっ………美味い………美味いよぉ………。」
ティルさん、気持ちは分かりますけど何も泣かなくても………。
「つ、次は私達の番ね。」
「そうだな。」
「え?あなた達2人で作ったんですか!?」
「そうだよ。だって2人で協力しちゃダメだなんて言ってないでしょ?」
「な、た、確かにそうだけど………」
「じゃあいいでしょ。さあ、私とセイジが作ったのはこれよ!」
「?これはなに?焼いたお肉を丸めただけ?」
「食べれば分かりますって。」
「どれどれ………!美味しい!お肉の中にお米が入ってるのね!」
そう。俺達が作ったのは肉巻きおにぎりだ。
「おお!これはいいな!腹一杯になりやすいし肉も美味い!何の肉だ?」
「残ってたラッシュブルの肉を使ったんだよ。」
「ラッシュブルのか………なあペッパ。今度のお弁当に作ってくれないか?美味い上に腹持ちがいいなんて門番の仕事をしてる俺にはぴったりなんだ。」
「なるほどね。いいわよ。ラッシュブルの肉ならそんなに高いってわけじゃないしね。」
「よっしゃあ!」
ソルト、良かったな。
「さあ審査員さん!今回の優勝者は誰?」
「今回の、優勝者は…………」
『セイジ&レイのが作った肉巻きおにぎり!』
「ええー!?わ、私がま、負けたー!?」
「やったあ勝った!」
「くそー………」
「あれあれあれぇ?私ならレイさんに余裕で勝てるけどねって言ったのは何処の誰だったかなぁー?」
「…………ちくしょおおおおおおおお!!!!!」
ティナちゃんは叫びながらうなだれた。
「大丈夫だぞ。ティナちゃんのもスゴい美味しかったから。」
「セージさんがそう言うなら負けたって別にいいや。」
いいのかよ。
「でも負けたままは悔しいからまたやろうね。」
「望むところよ!」
そう言って2人は握手した。何か2人の間に友情のようなものが芽生えたようだ。
めでたしめでたしだな。
「次か!次こそはわらわが優勝するぞ!」
「私もレベルアップしなくては。」
「「2人は出場禁止!!」」
「「ええーーーーっ!?」」
そりゃあそうだろうね。
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