死んでもいいわ
何者も凌駕する文章力が欲しい…書きたいものが表現できない悲しみ
私の前に彼女が立っている。彼女は死なせてほしいと言った。私は…彼女に駆け寄り…思い切りぶん殴った。
「香織ー?学校遅れるわよー?」
母さんの声が聞こえる。全くせっかちなんだから…
「今準備してるんだからちょっと待ってよ!」
「中学校今日からでしょう?遅れないようにするのよ」
「分かってる!行ってきまーす!」
「夏休み明けですが、今日は転校生を紹介します。南風崎香織さんです」
「南風崎香織です。小さい頃この辺りに住んでたんですけど、親の都合で引っ越しして…でも、こっちに帰って来れるようになったんです。仲良くしてくださいね」
「南風崎さん…でいいのかな?」
「香織でいいよ」
「じゃあ香織って呼ぶね!私は火伏穂乃果!よろしく!」
「―穂乃果ちゃんに聞きたいことがあるんだけど、この学校に東風谷凛穏って子いない?」
穂乃果ちゃんの様子がおかしくなる。
「…その子がどうしたの?」
「私、その子を探しにこの学校に来たんだ。なにか知ってる…よね?」
「東風谷さんは…いじめられてたんだよ」
頭が真っ白になった。
凛穏はいじめられていた。そのせいで学校に来なくなったのだという。
「東風谷さんの家を教えてほしい?」
「はい先生。私が幼い時に一緒に遊んでいたので…心配なんです!」
涙ながらに訴えてみせる。
「…あなたなら、なんとかできるのかしらね」
案外あっさり教えてもらえた。大丈夫なのかな?
家に着くと、凛穏の母親が出てきた。年齢以上に老けて見える。
「あら?あなたは…香織ちゃん!?久しぶりね!こっちに戻ってきたの?ぜひ凛穏に会ってちょうだい。あの子も気が晴れるかもしれないわ。あなたたちとっても仲良しだったものね」
「はい、おばさん」
凛穏の部屋のドアをノックする。凄くドキドキする。じつは部屋に入るのは初めてなんだよね。
「…ママ?」
「違う。私だよ。香織」
「香織…ちゃん?帰ってきてたの?」
「うん。つい数日前に」
「そっか…帰ってくれないかな」
「え?…今、なんて?」
「お願い」
「…開けるよ」
「待って、お願い、帰って」
構わず開ける。
ドアを開けるとそこには私物が極端に少ない部屋が広がっていて、少しだけあるものはどれも私たちの思い出のものばかり。まるで時が止まったようだ。
そして、部屋の真ん中に、凛穏がいた。彼女は椅子の上に立ち、天井に吊るした縄を手に取っていた。
「開けちゃったんだ…」
「何してるの!?早くそこから降りて!」
「お願い、もう死なせてくれないかな」
「本気?」
「冗談でこんなことしないよ」
私は、彼女に駆け寄って、ぶん殴った。
「なんでこんなこと「ばかっ!」
「…約束忘れちゃったの!?わたしは約束守りにきたのに?」
「約束?」
「大きくなったら結婚しよう!」
「女の子どうしだと結婚できないんだよ?知らないの?」
「それでもするの!」
「…わかった」
「約束ね!」
「うん、約束」
「って言ってたのに!言ってたのに!」
「え…それをしにきたってこと…?」
「あったりまえじゃん!凛穏、いじめられてたんだって?」
「そ、そうよ!結婚するとか言ってほったらかしじゃない!わたしその間いじめられてたんだよ!?」
「それは…ごめん。でも、これからはわたしがずっと傍にいるから。いじめなんて気にならなくなるくらい、幸せにしてみせるよ。だから、もうちょっとだけ生きてほしいな」
「…分かった。でも、結婚は保留でお願い」
「えー!?まぁいいや、絶対に惚れさせてみせるからね!」
卒業式の日の夜。私は凛穏とお泊りをしている。
「あれから2年くらい。色んなことがあったけど、私の凛穏への愛は深まる一方なんだよね」
「何言ってるのよ恥ずかしい」
「高校でも大学でも、社会に出ても、ずっと一緒にいようね!」
「仕方ないわね…ちゃんと幸せにしてね?」
「もちろん!」
「わぁー!見て見て!お月様。すっごくきれいだよ!」
何故か凛穏の顔が赤く染まる。
「死んでもいいわ」
「ん?なんで?」
「え?」
「え?」
さらに赤くなる凛穏。
閃いた。
「そっかー、勘違いしちゃったかぁ。ごめんね?紛らわしい言い方して」
「なにニヤニヤしてるのよ!忘れなさい!」
「凛穏ちゃんそういうところがかわいいよね!」
凛穏ちゃんの胸に顔をうずめに行く。
「いきなり何するのよ!」
叩かれた。
「ねぇねぇ凛穏ちゃん。今幸せ?」
「言わなきゃダメ?」
「うん」
「…幸せよ」
中学での2年間、そして卒業した後も彼女たちのいちゃいちゃは続きますが…それを書くかは未定です。少なくとも物語として成立できるくらい文章力を磨いてからですね…