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3話 蛇神現る

「いってて」


 もうすっかり朝だ。

 木に寄りかかって寝たせいで首や背中が痛い。


 とりあえず俺は隣町の『ミスウィン』を目指そうと思う。

 この町、『センテガンド』にいてもあいつらと顔を合わせるかもしれないからだ。それに、もしかしたらパーティーを追放されたことを理由に周りから蔑まれるかもしれない。俺の言い分なんて聞いてもらえないだろう。


「行くか」


 立ち上がって歩き始める。

 隣町に行くには途中で『死の洞窟』を通るのが近道だ。迂回すれば一週間はかかるのだがここを通れば一日で着く。Sランクパーティーになってようやく挑める洞窟で、強いモンスターがうじゃうじゃいる。入ったら最後人間の形では戻ってこれないとまで言われるほどだ。


 俺は今からここを一人で突っ切る。


「久しぶりに来たけど変わってないな」


 そう、俺は以前にもあいつらと一緒にこの洞窟を訪れたことがある。あの時はAランクに上がりたてで調子に乗ってこの洞窟に挑んだのだが、俺の能力で完全攻略してしまった。


 だからここは俺にとって庭のようなもの。



 キシシシシシシシシシ!



 さっそくムカデみたいなやつが現れた。

 俺は指輪を通し、敵のステータスを見る。

 指輪というのは冒険者に支給されるステータスを確認できるツールだ。


──────────

 名称:大王ムカデ

 体力:S

 物攻:B

 物防:A

 魔攻:S

 魔防:B

 魔力:S

 俊敏:A

──────────


 コイツ一体でパーティが崩壊する可能性もある強敵だ。以前遭遇した時はアーノルドが瞬殺してたな。こんな風に。


「≪反転≫」


 俺はムカデに手をかざし、そう唱えた。

 するとステータスに変化が起きる。


──────────

 名称:大王ムカデ

 体力:S → F

 物攻:B → D

 物防:A → E

 魔攻:S → F

 魔防:B → D

 魔力:S → F

 俊敏:A → E

──────────


 ズバーーーーーーーン!!!!!!


 俺は朝拾っておいた木の棒で胴体を真っ二つに切った。

 身体を切り離しても動いたので完全に息絶えるまでめった刺しにする。


「コボルトの方がまだ手強いな」


 Sランクのムカデでも俺の前ではミミズのようなものだ。

 俺は息一つ乱さず奥に進んでいく。


 壁には魔鉱石が埋まってるので洞窟の中でも明るい。

 一文無しのため欠片を少し採集しておく。

 こいつは高く売れるのだ。



 クシュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!



 今度は突然、勢いよく何かが接近する音が聞こえた。


 しかしそれが俺に届くことはない。俺への攻撃は≪反転≫により早い攻撃は遅く、強い攻撃は弱くなるのだ。攻撃そのものを跳ね返すことはできないが勢いを殺すことは可能。


 見ると四方八方から糸のようなものが迫っていた。

 音速に達すると言われるこのモンスターの糸も、俺にとってはただ縄跳びをするようなもの。


「よっと」


 ジャンプして楽々躱す。

 蜘蛛のモンスターが5体俺を囲んでいた。コイツらは確かハウザーが魔法で一掃してたな。


「≪反転≫」


──────────

 名称:ベノムスパイダー(×5)

 体力:A → E

 物攻:A → E

 物防:A → E

 魔攻:A → E

 魔防:A → E

 魔力:A → E

 俊敏:S → F

──────────


「遅すぎるんだよ、お前らは」


 毒を纏った糸を連続で噴射してくるが俺にはもちろん掠りもしない。ボコボコと一体ずつ殴り殺してやった。この程度が束になったところで俺には関係ないのだ。






「あと半分ってところか。順調だな」

『……だ……た………………て……』


 奥の方から何かの音が聞こえた。

 気色悪いモンスターの声とはまた違う。


 俺は微かに聞こえる音を頼りに発信源を探った。

 邪神でも復活したか?


『……だれ……たす…………けて……』


 いや違う。助けを呼ぶ声だ。

 声音からしておそらく女性。それもかなり若い。

 なぜこんなところに迷い込んでしまったのだろう。


「誰かいるんですか!」


 一度大きく叫ぶ。洞窟内ではよく響いた。


『……ここ…………はや……きて』


 間違いない。この洞窟内に迷い込んだ人がいる。

 まだ生きている。まだ間に合う。

 なら助ける。救える命は救う。

 それが、俺のモットーだ。


「待っててください! すぐ行きます!」


 微かな声を頼りに探ると段々声が近づいてきた。

 どうやら壁の中から声がする。


 ギギギギ。


 壁を押すと簡単に崩れ、他の道に繋がった。


「隠し扉なんてあったのか。前来たときは気づかなかったな」

「誰か! 誰か助けてください! ……あ、いや!! 来ないでぇぇぇ!!!」


 叫び声が鮮明に聞こえるようになった。

 何かに襲われているのだろう。急がなければ──


 シィィィィィッッッ!!!


 緊急事態にも関わらずモンスターはお構いなしに襲ってくる。俺の前に、巨大な蛇が立ちはだかった。以前来た時にルキシアが襲われそうになってた奴だ。あの時はまだ可愛げがあった。


 いや、そんなことを考えている暇はない。


「≪反転≫!」


 ズバッッッッッ!!!!!


 十枚おろしぐらいにしてやった。

 急いでるのでこれぐらいで勘弁してやる。





「無事ですか!?」


 少し開けた場所に出た。

 すると手足を縛られ、吊るされている少女が。

 その少女に迫る生物が一匹。


「おや、どちら様ですか? どうやってここまで来たのです? わたくしは今からこの娘を堪能するところなのです。邪魔するなら許しませんよ。というか今すぐ殺します!」


 そいつは声からしておそらく男なのだろうが見たことのない生物だ。上半身は人間なのに下半身はヘビ。おまけに長い髪のようなものはよく見たら動いている。髪ではなくヘビなのだ。メデューサのような顔をしている。


「な、なんだお前。気持ち悪いな」

「き、気持ち悪いですって!? わたくしだって好きでこんな姿になったわけではないんです! もっと美しくて可愛らしい姿になりたかった。なのに、なのに、なのに! あなた、絶対許しません!」


「そうかいろいろあるんだな。傷つけたなら謝るよ。でもその子は関係ないだろ。大人しく解放してもらおう……かっと。あっぶねえないきなり何すんだよ」


 髪の毛のヘビを伸ばして攻撃してきたが余裕で躱す。言葉が通じるみたいだから説得してみようと思ったが聞く耳を持ってくれない。

 ならやっぱ殺すか。多分コイツの討伐クエストが出ているだろうし魔物相手なら容赦しない。


「わたくしは娘の綺麗な顔をぐちゃぐちゃにするのが大好きなのです!」


 完全に冷静さを失った生物は、叫びながら俺に向かって這ってきた。


「変な趣味してるんだな」

「わたくしは魔王軍幹部が一人、蛇神ベルージャ! ぐちゃぐちゃに殺して差し上げます!」


──────────

 名称:ベルージャ

 体力:S

 物攻:SS

 物防:A

 魔攻:S

 魔防:A

 魔力:S

 俊敏:S

──────────


 SSランクでしかも幹部か……。

 まあいい、何とかなるだろう。

 俺は木の棒片手に、蛇神と呼ばれているらしい魔王軍幹部と対峙した。

バトルはだんだん派手になっていきます。

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