表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

24/103

24話 ルーナの今

 アタシはルーナ。15歳。

 アストレシア家に生まれた王族だ。

 しかし今は追放され、それを名乗ることは許されていない。


 この町には人種差別がないのだが、もちろんアタシは例外だ。

 人として見られていない。だから殴る蹴るなどの暴行を加えてもいい。


 追放されて行き場のないアタシはギルドで雑用としてこき使われている。

 冒険者が多く訪れるため、落ちこぼれや無能の象徴として生かされているのだ。


 毎日毎日笑われて暴力を振るわれる。

 アタシがボロボロになって倒れると回復魔法をかけられてまた働かされた。


 何度血反吐を吐いたかわからない。

 何度泣いて謝ったかわからない。

 誰にどうして謝っていたのかもわからない。


 逆らうと殴られる。逆らわなくても殴られる。

 だからアタシは売られた喧嘩は買うようにした。

 アタシは一人で立ち向かうがもちろん一発も入れられずボコボコにされる。

 そしてまた回復魔法をかけられる。


 毎日死ぬような目にあって地獄を見ているのに最近は不思議と涙は流れない。

 もう全て枯れてしまったのだ。



 アタシが今日まで頑張ってこれたのは復讐のため。

 アタシをこんな目に合わせたアストレシア家。

 アタシを痛めつけ、それを見て笑う冒険者たち。

 そいつらに復讐するためだ。


 そしてもう一つ。

 アタシには兄がいる。アストレシア家は一夫多妻制のため兄も姉も妹も弟もたくさんいるのだが、唯一家族だと思っている人がいる。それがルイ兄さまだ。


 ルイ兄さまは警護団体の団長を務めている。

 兄さまは他の兄弟と違い、アタシが王宮にいた時も唯一味方でいてくれた。

 強くて優しい大好きな人だった。


 なのに、突然アタシを追放した……。


 でもそれは兄さまのせいではない。

 アタシは兄さまを恨んでないし今でも感謝している。

 ある日突然兄さまは変わってしまったのだ。


 魔王軍によって──


 だからアタシは、今まで助けてくれた兄さまを救いたい。

 これが今アタシの生きている意味。一番の理由だ。


 もう一度兄さまとお話ししたい。

 もう一度兄さまに抱きしめて欲しい。

 だからアタシは諦めずに戦う。



 何度もくじけそうになった。


 それでも今日まで生きてこれたのは一人の女の子のおかげだ。

 その子の名前はフェンリィという。


 アタシは勝手にお姉ちゃんのように思っている。

 いつも喧嘩ばかりしちゃうけど。


 フェンリィはアタシが追放されるずっと前から酷い仕打ちを受けていた。

 アタシほど酷くてオープンにやられているわけではなかったけどたった一人で辛かっただろう。

 あの子も頑張っているからアタシも頑張ろうと思えた。


 あの子との出会いはゴミ捨て場。

 アタシがゴミと一緒に捨てられた時、なぜかあの子もそこにいたのだ。

 ホントにたまにだったけど、一緒に遊んで笑ったり喧嘩して怒ったりしてる時だけが幸せだった。

 あの子がいなければとっくにダメになっていただろう。

 あの子には感謝している。



 これが今のアタシ。


 アタシは自分を守るために仮面をかぶった。

 一人称も私だったし言葉遣いも凄く丁寧だった。

 少しでも自分を強く見せるため、自分を騙すためにこうしている。

 そして元の弱い自分をできるだけ殺すためでもある。


「もう寝よ」


 もうすっかり夜が更けた。

 アタシは干し草の上で横になって目を瞑る。

 風邪が冷たいけど今の時期はまだマシな方だ。

 王族にいたらこんなに星が綺麗だなんて知らなかっただろう。


 今日は悪くない日だったな。

 久しぶりにフェンリィと喧嘩できた。


「ふぁ~あ」


 慣れてくればこの干し草ベッドも悪くない。

 アタシは夢の世界に入っていった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

コミックス発売中!!!


3巻書影
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ