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13話【追放サイド】ルキシアから見た現状

 何でこんなことになったの!?

 私何か悪いことした?

 何でこんな目に合わなきゃいけないのよ!

 誰か助けてよ、死にたくない!




◇◆◇◆◇◆




 私ことルキシアは派手に顔面からずっこけてモンスターに襲われそうになっている。


 リーダーのアーノルドが私のことを置いていきやがった。

 絶対に許さない。地獄の底まで追いかけてやる。

 そのためには何としてもここを切り抜ける。


「ハウザー助けて」


 私の巻き添えを食らって転んだ仲間に助けを求めた。

 否、転ぶとわかった瞬間道連れにしてやったのだ。


 だってそうでしょ? 私がこんなところで死んでいいわけないじゃない。コイツなら死んだって誰も悲しまないでしょ。


「悪いっすねルキシアちゃん」

「え、なに?」


 私の体が宙に浮いた。正確には地べたから離れて支えられている。

 あーそういうこと。体触ってごめんってことね。まあいいわ、許してあげる。


「私を抱っこして走ってくれるの? ありがとハウザー、愛してる」


 できるだけメスの声で色っぽく声を出した。

 男なんて単純。ちょっと色目使えば簡単に言うこと聞くわ。

 私は生まれ落ちた瞬間に勝ち組なのよ。


 リクトも私の言いなりだったわね。あいつは無能のゴミだけど犬としてはよくやってたわ。生きて帰れたらもう一回飼ってあげようかしら。今頃その辺で泥水でもすすってるでしょうからね。私ったら優しいんだからっ。


「一応お礼は言っておきます。ありがとうございました」


 ん? どういうことかしら。

 あ、私のために死のうって言うのね。いいわ、それぐらいの生きた意味は与えてあげる。こんなに美人で麗しいルキシア様のために死ねるんだから光栄でしょうね。


「私のために死ぬなんてダメ! 一緒に逃げるわよ!」


 あーら私ったらなんて健気で仲間想いなんでしょう。

 これはもう私を庇って死ぬ展開ね。

 大丈夫、花ぐらい添えておいてあげるわ。


「いえ、死ぬのはあなたですよ」

「え?」


 私の体が宙に浮いた。今度は文字通り浮いた。

 ハウザーが私を投げたのだ。

 もちろん、モンスターの方に。


「オレだってあんたらのこと仲間何て思ってないんすよ! 上手く立ち回ってただけっす。それじゃルキシアちゃん、さようなら!」


 笑いながら私を囮にして逃げやがった。

 そうだった、これがコイツの本性だ!

 表ではペコペコ頭下げて人に従ってるくせに裏では人を蹴落とすような奴だった。


 え、このパーティクズしかいないわけ!? 普通女の子を置いてく???


「ちょ、ハウザーお願い待って! いいことしてあげるわよ! だから──チッ、待てやおい! テメェ戻ってこいや! ぶっ殺してやる!!!」


「シィィィィィィィィィィイ!!!」


「ひっ!」


 宙に浮いた私の体は優しく受け止められた。

 もちろん、この蛇の長い舌によって。


「わわwっわわwwわたし、美味しくなんてないわよ? 食べるなら男の方がいいんじゃない? ほらあなたよく見たら可愛いいいいいいいやああああああああああ!!!」


 私のご尊顔を舐め回すと服の中に舌が入ってきた。

 ザラザラとした感触が体中をまさぐる。


「いやっ! やだ、やめて! くすぐったい! ああああああああやだ気持ち悪いいいいいい!!!」


 ──そういえば前来た時もこんなことされたっけな。

 なんで私あの時助かったんだっけ……。


「ぎゃああああああああああ!!!」


 少し離れたところで叫び声がした。

 ハウザーかしら。あいつも襲われたんだ。

 ざまあみろ。でももうどうでもいいか。


 あーなんかやけに頭がスッキリするわね。走馬灯ってやつかしら。てかなんか急に暗くなったわね。しかもなんだかあったかいわ。それに体が動かなくなって……ん?


 食べられてる!!!!!


 ここ蛇の口の中!?

 お願い出して、出して!


 私ここで死ぬの?

 何でこんなことになったの?

 私何か悪いことした?

 何でこんな目に合わなきゃいけないのよ!

 誰か助けてよ、死にたくない!


 やばい、もう抵抗する力も残ってないわ。


 ……もういいや、早く食べなさいよ。いつまでこんなプレーを楽しんでるつもり。頭だけ口に入れて無防備な体を堪能するのがこの蛇の趣味なわけ? 早く殺してちょうだい!


 死んだら絶対あいつら呪ってやるわ。……って思ったけどあいつらも死ぬのか。あー死んだらどうなるんだろう。やっぱり怖いなー。


 私が女王陛下になったらイケメン捕まえまくって下僕にして毎日いたぶってやろうと思ってたのに。あーやっぱりまだ死にたくないいいいいい!!!


「大丈夫か? 待ってろ今助ける!」


 生臭い蛇の口の中で微かに声が聞こえた。

 なんだか懐かしいような、安心する声だった。


 きっと白馬の王子様が私を助けに来たんだわ。

 やっぱりこの世界は私のために回ってるのよ。

 おーほっほっほっ!


 と思ったけどそれは王子様なんかじゃなかった。

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