表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

12/103

12話【追放サイド】パーティーの崩壊

 俺たちは大王ムカデからなんとか逃げきった。


 しかしその後も逃げる先々でモンスターと遭遇。

 そのどれもが一度は倒したことのある敵だった。

 なのに、全く歯が立たない。

 俺たちはボコボコにされたのだ。


 逃げているうちにどんどん迷い込み、どこにいるのかわからなくなってしまった。


「おいどういうことだ! なんで俺がこんな目にあわなきゃならないんだよ! お前たちもちょっとは役に立て! この出来損ないのゴミクズ共が!」


 俺は怒鳴り声を上げた。

 もちろんお荷物のリクト相手にではない。

 あいつはもう追放した。だからここにはいない。

 残っているのは優秀な俺。

 そしてハウザー、ルキシアの三人だ。

 なのになぜこんなことに……。


「オレたちはいつも通り頑張ってますよ! アーノルドさんが悪いんじゃないですか」

「そうよ、使えないのはあんたでしょ。ビービー泣き喚いちゃって、あー恥ずかしい」


 俺が悪いってのか? ふざけるな。

 雑魚の分際で俺にたてつきやがって。

 さっきから敬意も感じられん。


「チッ。テメェらの援護が足りねえからだ! まずハウザー、お前の指示はデタラメなんだよ。どんどん迷い込むしモンスターの行動だって全然違うじゃないか!」

「オレの責任にするなんてひどいっすよ。オレは提案してるだけで判断はあんたがしてるじゃないですか!」

「あ!? やんのかテメェ、俺のせいだってのか!」


 くそ、そういえば今まではリクトの野郎が変なアドバイス出してたな。あいつのおかげだったってのか? いや、ありえない。


「おいルキシア! お前トラップも見抜けねえし戦いもしねえし使えねえんだよ。バフも全然効果ないし俺の腕だって治ってねえじゃねえか!」

「はぁ? あんたが脆すぎんのよ。その筋肉は飾りなわけ? 私、見かけだけで強がってる男ってほんと無理」

「あ!? テメェひん剥いて餌にするぞ!」


 くそ、そういやモンスターと出くわすたびにリクトの野郎がなんか呟いてたな。遊んでんのかと思ったが奴が何かしてたとでもいうのか?


 追放した時にもなんかほざいてたな。

 あいつが敵を弱体化させていたのがそんなに役に立っていたのか?

 この俺の目が節穴だったってのか?

 つまり、この俺様は大して強くもないイキリ野郎だってのか?


 いや、そんなはずはない。

 あいつは昔から何をやっても目立たず平凡な奴だった。

 あいつにそんな凄い能力なんてあるはずねえ。

 今までだってこの俺が凄いからここまで来れたんだ。


「つーかさー。私たちがこんな目にあってんのって今回が初めてでしょ? ってことはリクトの奴がいなくなってからじゃん。あんたがあいつを追放したのが悪いんじゃないの?」


「あーそれオレも思ってたっす。リクトくんはたまに意見くれてたんすよ。あんたみたいな『無能』とは違って。それにあの時リクトくんはユニークスキルがどうとかって話してましたよね。それなのにあんたが構わず追放するから」


 ルキシアとハウザーが俺に迫ってきた。

 明らかにいつもと様子が違う。


「はっ、お前らだって喜んで追放してたじゃねーか。俺のせいなんてありえねえだろ。お前らが悪いんだよ!」

「なに逆ギレ!? うーわホント最低」

「最初に言い出したのはあんたじゃないすか。もうついてけないっす」


 なんだコイツら。ゴミの分際で口答えしやがって。

 そんなに気に入らねえならコイツらも──


「ルキシアちゃん。オレが今何考えてるかわかりますか?」

「奇遇ね。私も同じこと考えてるわよ」


 二人と視線が交わった。

 その瞳の色はさっきまでとは明らかに異なる。

 だが俺はその目を知っている。その目はまるで──


「「追放しよう」」


 二人はそう呟くと先日リクトを追放した目で俺を見てきた。

 それはまるで弱者を見るような目だ。


「ま、待て、落ち着くんだ、少し言い過ぎた。てかここは俺のパーティーだ。勝手に抜けるなんて許さないぞ!」


 俺は動揺して声を震わせてしまう。


「だったら出てくわ。生きて帰れたらね」

「オレもそれまでは協力してあげますよ。生きて帰るまでは」


 それだけ言うと二人は全力で走り始めた。

 その瞬間、


「シャアアアアアアア!!!」

「な、なんだ!? うわああああああ!!!」


 振り向くと巨大な蛇と目が合った。俺の体は一瞬硬直する。

 しかし本能が死を悟り、反射で駆けだした。


──────────

 名称:デス・サーペント

 体力:S

 物攻:S

 物防:S

 魔攻:A

 魔防:S

 魔力:B

 俊敏:A

──────────


「くそ! こんなところで死んでたまるか! 死にたくねえええええええ!!!」


 俺もハウザーとルキシアの後を追って必死に走る。

 あいつら絶対許さねえ。俺に歯向かいやがって。ぶっ殺してやる。


「待てやオラー!!!」


 脚には自信があるためすぐに追いつけた。

 このまま追い抜いてコイツらを餌にしてやるぜ。


「きゃっ!!!」


 と思ったら目の前でルキシアが盛大に転んだ。


「うわあ!!!」


 連鎖的にハウザーも巻き添えを食らう。


「ま、待って、置いてかないで! 助けてよ!」

「アーノルドさん! 待ってください!」


 二人とも惨めったらしく命乞いしてきた。

 もちろん俺は迷わず見捨てる。


「はっ! ざまあねえな! 俺は最初っからいつかお前らも捨てる予定だったんだよ! それが今になっただけだ。じゃあな!」


 俺は二人の背中を踏みつけて颯爽と逃げる。

 すると光が見えた。


「お! あれは出口じゃねえか! よっしゃついてるぜ!」


 ここまでくれば大丈夫だろう。散々走り回ったせいで最初の地点まで戻ってきていたらしい。どうやら俺は神に愛されているようだ。このまま一人で生き延びてもっと有能な仲間を集めよう。あんな無能共とはおさらばだ。


 俺は一度振り返り、元仲間を確認する。

 最後くらいは見届けてやろうってこった。

 二人とも襲われてるな、よしよし。


「一応礼は言っておこう。ありがとな! お前らの死は無駄にしな──」


 バゴン!!!


 無駄にしない。そう言い終えることはできなかった。なぜなら俺は壁にめり込んだからだ。何が起きたのか理解できなかった。


「ってて、なんだ……よ。うわああああああ!!!」


 長年冒険者をやっていればわかる。こいつは本当にヤバいと直感的にわかった。全身から汗が噴き出る。鼓動が加速する。間違いなく今まで出会ってきたどのモンスターよりも強い。


──────────

 名称:グリム・リッパー

 体力:A

 物攻:SS

 物防:S

 魔攻:A

 魔防:S

 魔力:A

 俊敏:A

──────────


「や、やめてくれ、頼む。助けてくれ、なんでもする! ひっ、ひいいいいいいいい!!!」


 目の前にいたのは『死神』と呼ばれる黒いローブを纏ったガイコツだった。


「死んで楽になるがいい」


 そう言って大鎌を俺の喉元に当ててきた。

 首筋を熱い液体が伝う。


「あ、ああ、あが、あああがが」


 人語を操る魔物はレベルが違う。知能を持ち、学習することが出来るからだ。

 俺は恐怖でまともに喋れなくなった。手足は痙攣し、体は暑いのに寒い。


「死ね」


 大鎌が振り上げられた。

 俺はそれをボンヤリと眺める。

 そして、ゆっくりと目を閉じた──

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

コミックス発売中!!!


3巻書影
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ