【05】チャレンジ!!雪山遭難
~ここまでのあらすじ~
何とかホームレス生活からは逃れられたものの、退屈な日常にあきt・・・焦りを感じ始めたマサシは、
ネットにチャレンジ動画を上げることで一攫千金を狙おうとして、無謀な賭けに出る。
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『』は手紙や念話の表現に使おうかと思います。
(人の心や思いや意思が表現された文章や、電話で通話している相手の話し声、念話で送られてきた思念等。)
{}は“ナレーション”や作者の自分ツッコミなどです。
[]は“文字表記”の表現です。
(看板やお知らせ、新聞などの事務的な文章等。)
“”は名称などの表現にしようかと。
障害者就労支援施設で働くようになってから3か月ほど経った頃、働くことに少し自信がついてきたので相談員さんの勧めに応じてA型雇用で働くことにしたのだが、ようやく見つけた施設でも人間関係がうまく行かず、結局、元の施設で就労支援B型職業訓練を受け続けることになった。
だが、このことで少し焦りが出てきた。
こんなことで俺はまっとうな社会人になれるのだろうか?
結局、何をやってもこんな感じでうまくいかないのではないか?
通常雇用以外で収入を得た方が良いのではないか?たとえば・・・
YohTube(某巨大動画サイト)とか!
今どきは、若い娘だって冬山ソロキャンプ動画とかで結構な視聴数取ってるくらいだしな、
{若くて綺麗な女性だからというアドバンテージが圧倒的に大きいという事実を無視しているが}
俺ぐらいの年齢のおっさんでもソロキャンプやキャンピングカーで旅行とかの動画で稼いでいる人もいるし、
ソロキャンプなら人と会わなくてもよさそうだから、俺でもできるんじゃね?
という非常に安易な発想で少しずつキャンプ道具を中古で買い集め始めるのだった。(新品なんか買う余裕はない)
{芸能人や有名ブロガーなどの、もともと知名度のある人でないと、すぐには視聴数を稼げないという非情な現実を認識していない}
そんなこんなで、遮二無二ソロキャンに挑むための準備を整え、冬山キャンプする場所も選定した。
幸か不幸かその年は晴れが続いて、去年末に降った雪もだいぶ解けていたので山間部を通るバスは運航していた。そのため、バスに乗ることができた。
降った雪もすぐに解けてしまっているようなので、この分ならそれほど苦にもならずに二泊三日のキャンプができそうだと予測し、俺はYohTuberへの一歩を踏み出した。
{都会育ちのド素人ならではの危険思想である。}
バスの運転手から胡乱気な目で見られながら「この季節はキャンプ場やってないはずだけどねぇ~‥‥」と暗に釘を刺された。
が、全力で無視する、やると決めたからにはやってやる、そうでなきゃYohTuberになんてなれないハズだっ!
{と、本人は勝手に思い込んでいる。}
実は、いろいろあって予定よりも遅くなっていたこともあり、かなり焦っていた。そのため、バスから降りてからは、かなり無理やりキャンプ場に入り込み、意気は上がり、汗だくになっていた。
{※私有地に無許可で侵入するのは犯罪です。絶対にやってはいけません。}
転んだりするアクシデントもあったが、どうやら目的地にはたどり着けたようだ。
左手にある管理棟らしきものを尻目に、ほぼ真っ暗になっている山間のキャンプ場に辿り着く。
当然ながら、そこに先客としてキャンプを張っている者などいない、
{というか、まっとうな人なら、犯罪行為までしてソロキャンプなんかしないものだ。}
少し先の方で渓流のせせらぎが聞こえる。
キャンプ場だけに、その付近一帯が、比較的平らで傾斜も極めて緩くなっているので、テントを設営するのが楽そうだ。
適当なところでバックパックを降ろして、バックパックに括りつけてあるワンタッチテントを取り出した。
{ワンタッチでパッと広がってお手軽にテントができちゃうあれですな。
冬山でサマーキャンプ用のシングルウォールテント・・・自殺行為である。}
LEDランタンでマニュアルを見ながら設置をしていく。自宅でも練習したのだがまだ不安がある。ペグを地面に差し込んでロープで固定するのは、ぶっちゃけ、ぶっつけ本番だ。足で踏んでもなかなか刺さらない、というか、雪の下は砂利なのではないか?
何とか設置出来た頃には月も出てきて星も瞬く本格的な夜になっていた。
ただ、やってみると、なんかこう、思ったのと違っているようにしか思えない。
YohTuber達はよく考えて作っているんだな、ということを思い知らされた。
彼らの映像を見ていると、自分でも簡単にできそうに感じたのだが、実際にやってみると大変だった。
彼らの映像で見たことの倍以上の時間が下準備にかかるし、慣れてないとうまくいかないことも多いのだ。
生まれて初めて一回だけ釣りをしてみたが、結局、全部ボウズだったので、釣った魚を食べる画は撮れなかったし。独り暮らしを始めてもコンビニ弁当ばかりで料理なんかしたことが無かったので、料理道具も食材も持ってきていないこともあり、寝る前に動画を確認してみたものの、何も面白くなかった。
うだつの上がらぬおっさんが、三日間、ひたすらレトルトカレーを食ってるだけの映像、しかも、アングルも雑、素人目にもひどいものだった。
もう二度とソロキャンなんかやらねー、まじめにコツコツ働くのが一番なんだ、チキショーーー!
悔やんでも仕方がない、貴重な経験を積んだ、と言うことにして、とりあえず寝ることにした。
明日は朝一で帰宅だ、もう、こんなところ(ソロキャンプ)なんかに未練はない。
明後日からは、心を入れ替えて、まじめにコツコツ働く努力をしよう!と心の中で誓いながら、眠りについた。
この後に待ち受ける残酷な運命も知らず・・・。
ここまで読んでいただきありがとうございます。
お気づきになった点や誤字脱字などいろいろと教えていただけるとありがたいです。
頑張らずに頑張っていきますのでよろしくお願いいたします。