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グラントール兄妹は前世でも兄妹であった。ただし、立場は逆  作者: 山吹弓美


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038.危うきには近寄りたくない

「てかフィーデル、実家とか親戚のそういう話ぶっちゃけていいのか?」


 そうフィーデルに問いかけたのは、確か辺境伯のご子息だったはず。筋肉質で浅黒い肌に、金の短髪が結構目立つ人だ。

 ちなみにこの人は既に婚約者がいるんだけど、その方もまあ何というか、よく似た感じの人らしい。……外見はともかく、アリッサみたいな感じだとか。アクティブな方が、そりゃいいわな。


「実家と言っても名前と家使わせてもらってるだけだし、学園出たらあの家も出なきゃいけないからなあ」

「ああ、カロンドの家って頭の回転が遅いお兄様が継ぐ予定なんだっけ」

「親父の気が変わってお前が継げ、って言われても断るけどな」


 その辺境伯子息の言い方、今度から真似しよう。頭の回転が遅いお兄様、ね。なるほど……噂に聞くとカロンドの嫡男、頭回転してないんじゃないかって思うんだけどさ。

 あれ、そういえば。


「アリッサ。スーロード家って、爵位はどのあたりだったかしら」

「伯爵じゃありませんでしたっけ?」


 あ、アリッサも覚えてないんだな。いや、俺は変な名前の家で覚えてたんで、爵位がどうもすっ飛んだと言うかさ。


「そもそも、あまり表に出てくるお家じゃございませんもの。失礼ですけれど、あまり表立ったお仕事をしておられないお家ですから」


 普通なら俺のフォローしてくれるはずのアリッサだけど、彼女も似たようなもんだったらしい。要はスーロード家、影が薄いんだよね! あと、一人娘がまだ小さいってこともあってほとんど交流がない相手だし。


「まあ、縁を結んだカロンド家が男爵位ですしね……あれは、正夫人が押しかけたんでしたっけか」

「でも、ご本家で大きなお顔をされているんだからそれなりに仲の良いご夫婦、なのでしょうねえ」


 何がどう転ぶかなんて俺にも、アリッサにもわからないさ。何しろ、本人じゃないからな。

 それはランディアも同じことで、だから諦めずにダニエルを狙っているんだろうけどさ。


「それで、ダニエル様と縁を結んで表舞台に立とう、とかお考え……なんていうそんな浅はかな……」

「分かりませんわよ? 姻戚関係から良い地位にありつけることなんて、よくありますもの」


 うん、ランディア。すっごく浅はかな考えだと思うけど、分かりやすく効果が出たりするから狙う連中は結構いるんだよね。ダニエルは侯爵家だからさすがにそこまで、とは思うけどこれが王家だったり公爵家だったりすると、てきめん。

 ま、そんな理由でダニエル狙われても俺は困るし怒るし冗談じゃねえとか思うので、はっきり言っておこう。


「だからといって、ダニエル様をみすみすお渡しするわけにはいきませんわ」

「それはわたくしも同じですわ」

「だから、ランディア様はダニエル様の眼中にもありませんってば」

「本当に、今更ですわね」


 ありがとうポルカ、いつものようにズバリと言ってくれて。目の前でランディアが、机の上に突っ伏してしまったもんな。

 あとアリッサ、トドメ刺してやるなよな武士の情けだ。この世界に武士いたっけ、まあいいや。

 と、俺たちがそんなコントをやらかしている間に。


「お父様に、お手紙書いちゃおっと」

「わたしも書きますわ。うちは、スーロードとはあまり仲が良くないので」

「うちは……一応、連絡を入れておきましょう。問題が起きる前に、関係を薄めたほうがよろしいかもしれませんし」


 そう、このクラス……というかこの学園で勉強してる学生たちは皆貴族の子女だ。うちよりもカロンドやスーロードと関係が深い家の子も、逆にそもそも距離を置いている家の子もいる。

 それらが一斉に、スーロード家がやらかしかけている問題について、自分の家に報告を入れることになりそうだ。この後どうなることやら……カロンド男爵夫人が文句つけてきそうなのは目に見えるけど。

 で、その中のひとりが、フィーデルの顔を覗き込んだ。


「あ、でもフィーデル様にご迷惑ではありませんか?」

「いや、俺は今更だから。おふくろさえ無事なら、気にしないさ」

「ああ、では実家に連絡しますわ。カロンドとはそこそこ交流があるのですけれど、何かあったら距離を置きたいと兄が申しておりましたの」


 あのお嬢さんとこはカロンド絡みか。まあ、後継者の嫡男が頭回らない残念さんだというのは暗黙の了解なわけで、理由をつけて交流やめたいんだろうな、彼女のお兄さん。


「あの、ナルハ様」

「何でしょう?」


 おっと、小声でランディアが尋ねてきた。周囲は皆ざわついてるから、多少大声でも大丈夫だと思うけど……一応、声を潜めて応対する。


「このことは、メイコール様やダニエル様には」

「既にご存知ですわ。フィーデル様やそのお母様のこともあって、あまり表向きにならないよう手を回していたのですけれど」

「なるほど」


 うちやクライズが知ってるかどうか、を彼女は聞いてきた。俺の答えを受け取ってランディアは、きりりと顔を引き締める。


「ポルカ。この話、シャナキュラス本家にも伝えます」

「はい。どの程度」

「カロンドとスーロードが、クライズを取り込もうとして失敗しつつある、とだけ」

「承知しました」


 ほうほう。ふかーく頭を下げたところを見るにポルカは、どちらかと言えばランディア寄りってことかな。いや、実際にシャナキュラスに行く情報がどの程度かは確認しようがないけれど。

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