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~祖父と指輪~

~祖父と指輪~


 あれから5年。俺は不思議なことに気が付いていた。俺は2回目の世界で1回目の時の記憶を取り戻した。


 そう2回目の時には実現ができないと思っていたことが今なら出来るはず。


 じいちゃんを助けることだ。俺は今5歳。街の事に一生懸命な父親はあまり家にいない。そして、俺の相手をしてくれたのはじいちゃん。生きる伝説。「ガストン・ライニコフ」だ。


 俺は2回目の時はじいちゃんに危険を伝えたんだ。けれど、じいちゃんは笑って「アデルはじいちゃんを心配してくれるのか。うれしいのう」と言われるだけだった。


 だから、俺は決意した。俺の能力を見せるのだ。イリーナのエキストラスキルの「コピー」は流石に5歳の身体では再現できなかった。


 この転生についてはわからないことだらけだ。多分ある程度の身体能力がないと再現できないのだろう。


 というか、エキストラスキルである「コピー」「次元断」それと、マリーの世界樹召喚の「ユグドラシルシード」は使えなかった。


「ユグドラシルシード」は世界樹を召喚する。召喚後に世界樹の葉が舞い全HP、MPの回復が行われ、周囲は神聖結界が張られ、物理攻撃、魔法攻撃を20%遮断してくれるという魔法だ。しかも、世界樹が刈り取られない限り、HP、MPは少しでも減ると全回復となる。


 このマリーのエキストラスキル「ユグドラシルシード」のおかげで俺らはMPもSPも気にせずに戦えたからだ。


 本来なら短期決戦のような戦い方を長期的に行えるのだ。しかも、この世界樹は攻撃されたら回復させることもできる。チートスキルだ。


 だからこそ、マリーは前線に出るヒーラーなのだ。だから、神聖魔法での攻撃が多彩なのだ。


 だが、魔王城ではこの「ユグドラシルシード」は召喚できなかった。いや、一瞬で灰になったのだ。あの時の衝撃は大きかった。


 エキストラスキルについては謎が多い。


 前の世界で12歳の俺でも自分が編み出したエキストラスキル「重力万倍」を使えなかった。これは特定の相手に重力を万倍かけるというものだ。体重が万倍になる。


 低位のモンスターや魔族だと広範囲で自らの自重で押しつぶされる。そう、これは「硬化」とセットの魔法だ。


 硬化させるのは地面だ。地面にめり込まないように地面を固くする。そして、「重力万倍」を発動させる。


 俺はどうしても技はコンボで考えてしまう。「オーラタックル」だってそうだ。だが、土魔法の硬化は使えたが「重力万倍」は使えなかった。


 いや、12歳の時にようやく廉価版の「重力2倍」は何とか発動できたのだが、これだと相手の動きが遅くなるだけだ。使う魔力量とその反動を考えると「スロウ」の方が効率いい。


 だが、5歳でも使える魔法は多いし、オーラ系のスラッシュと魔法剣も使える。といっても魔法剣は弱い剣で使うと一回で剣が壊れてしまう。


 そう、このじいちゃんの倉庫にあるあの剣でないと持たないのだ。


「なあ、じいちゃん。倉庫行きたい。あそこいっぱいキラキラがある」


 我ながら子供を演じるのも大変だ。だが、仕方がない。変に思われるのが嫌なのだ。実は3才くらいに大人ぶりすぎた子供が治療という事で街に連れて行かれたのだ。この街にいないとダメだ。これは仕方がないことと自ら言い聞かせる。


 じいちゃんが笑顔になる。


「そうか、興味があるか。なんだったらじいちゃんの武勇伝を聞かせてやろうかのう」


「わーい。楽しみだ」


 実際、じいちゃんの武勇伝は楽しみである。というか、戦い方の参考になるのだ。


 どれだけ強くても相手を甘く見ない。俺がウリクルにやられたのも油断だ。本気になるならまず、「ユグドラシルシード」を発動させてから「コピー」を発動させればよかったのだ。


 死なない限り全回復をさせる「ユグドラシルシード」は生命線だ。次は絶対に倒す。だが、それよりもタナトスの対処だ。


「死の息吹」の対処は無理だ。レベル100まで皆を上げるのは厳しい。だから、大勢で戦うのはナシだ。


 俺一人でゴブリンロードと戦う。正直それが一番のはずだ。そして、タナトスを追いかる。おそらくあのタナトスを倒すのは無理だ。手数が足りない。


「コピー」で攻撃が2倍になったとしても、過去倒した時はかなり時間がかかった。「ユグドラシルシード」でこちらは回復していたが、タナトス自身も回復方法がある。


 しかも回避が不可だ。ノーモーションで回復をするからだ。だが、あの銀の仮面。あれが引っかかる。前の世界ではタキシードではなく貴族のようなひらひらした服を来て、大きなボタンがついているジャケットをきて少し小さなマントをつけていた。


 まあ、芝居がかった服は変わらない。だが、タナトスは仮面をつけていなかった。事あるごとに美しい顔の自慢をしてきたからだ。まあ、細かいことだろう。気にしないでおこう。


 そう、考えていると倉庫についた。


「おかえりなさいませ。マイマスター」


 そこには、藍色のおかっぱ、白い端正な顔立ち、黒を基調した白いフリルが付いたメイド服を着た女性が出てきた。


「シズ。どうして?」


 記憶の中でシズが倉庫に居たのを見たことがない。いつもガーディアンがいるのだ。だが、今日はガーディアンがいない。シズが感情のない声でこう言う。


「マスター敵を確認しました。これより排除いたします」


 そう言うと白い剣がものすごいスピードで迫ってくる。武器がない。仕方がない。これしかないか。


「オーラソード」


 闘気で剣を作る。シズの攻撃を受けきれるとしたらこれくらいしか思いつかなかった。氷で剣を作ってもいいけれど、炎ですぐに溶かされそうだし、土魔法の金剛盾の要領で剣を作ったとしても固いだけの剣でしかない。


 闘気で作った剣であれば、まだ何とかなる。リチャード。お前の戦い方を真似させてもらうぞ。剣をシズに向けて構える。


「シズ来い。俺は負けない」


 そう言ったらじいちゃんに「待たんか」と言われながら思いっきり頭を叩かれた。俺だけじゃないシズもだ。というか、気配もなく間合いを詰めてきた。一体どういう事だ。


「マイマスターからの攻撃を確認。排除します」


 シズがじいちゃんに向かって剣を向けたが、一瞬で倒される。


「本当にお前はポンコツだな。マスターに剣を向けるとは。まあ、弱いからいいがな」


 いや、シズはむちゃくちゃ強いよ。じいちゃんの強さのケタが違いすぎるんだ。


「おい、CZ-LT98type2657。こっちは儂の孫じゃ。もし、倉庫に入るようだったら受け入れやってくれ」


 じいちゃんはシズに回復魔法をかける。というか、すごい量の魔力を注ぎ込んでいるが何事もなかったような顔をしている。


「能力確認」


 実はじいちゃんにこの魔法を使ったことはある。けれど、これは自分より弱い敵の能力はわかるけれど、強い敵の能力は感知できない。


 やはり感知は出来なかった。


 自分に使ってみる。レベル999。これは変わらない。筋力等のステータスが低いけれど、魔力、HP、MPについてはかなり高い。


 だが、スキル部分については表示できないものが多い。どうやら、今の俺には使えないものが多いみたいだ。シズが動き出した。


「マスターからの命令確認。これより生体確認を行います」


 そう言って、シズにキスされた。これは必須なんだ。


「確認終わりました。血のつながりが確認できましたので、これよりリトルマスターと呼びます」


 前はマスターアデルだったけれど、今回は名乗っていないからリトルマスターなのだろうか。


「よろしくな。俺はアデル。君は?」


 と言っても名前は知っているけれど、覚えられないんだ。ってか、じいちゃんはあの長い名前を覚えているのか。おかしい。シズが言う。


「私はCZ-LT98type2657と言います」


「え~と、シズ・・・」


 やっぱり覚えきれない。じいちゃんが言う。


「さっきCZ-LT98type2657のことをシズと呼んでおったな。なら、アデルはシズと呼ぶがいい。それでいいだろう。CZ-LT98type2657もそう認識するように」


「わかりました。これよりリトルマスターがシズと言った場合私の事であると認識するように努力いたします」


 なんだかすごく棘を感じる。けれど、倉庫に入ってじいちゃんに認めてもらうのだ。いや、今の俺だったらひょっとしたらガーディアンを倒せるかもしれない。そうなればイーフリート討伐を早めてもいいかもしれない。そう簡単に思っていた。



 結論から言う。


 今の俺は地面につっぷしている。目の前には見たことない鎧に盾、そして、反則的な剣を持ったじいちゃんが居る。


「まだまだだな。修行が足りん」


 どうしてこうなったのか。倉庫にじいちゃんと入ったことがきっかけだ。


「シズ、お前は倉庫の前で警護だ。そして、その周囲に結界を張れ」


「かしこまりました。マイマスター」


 何の話しだろうと聞き流していた。だが、倉庫に入って気が付いた。今までと違って空気が違うのだ。

 そう、かなり高位の結界が張られてある。しかも扉の外にそれが漏れ出ていない。


「じいちゃん。これは?」


「これは多重結界だ。この結界はおそらく私のライバルでもあるジグルでも、魔王でも勘づくことはない。アデル。お前に問う。多分、これから何回かこの質問をするはずだ。お前にとってこの世界は何回目だ?」


 そう言ったじいちゃんの目は孫に向けるものではなかった。ものすごい眼力だ。


「3回目です」


「そうか、まだ3回目か。そして、儂とこの話しをするのは」


「はじめてです」


 そう言うとじいちゃんは笑顔になった。


「そりゃ、済まなかったな。じゃあ、ちょっと落ち着いて話すため違う階層に行くか」


 そう言うとじいちゃんは知らない詠唱を唱え出した。大きな音を立てて壁が動き出したのだ。そう、前の世界でシズが出てきた所だ。


「研究所に行くの?」


「おお、お前は研究所に行ったことがあるのか?」


 じいちゃんはうれしそうに笑っている。だが、俺は首を横に振った。


「行く前に殺された。ジグルという変な魔法使いとウリクルというバーサーカーみたいな元勇者に」


 この時代にまだウリクルは勇者として名を上げていない。だが、ジグルという名はさっきじいちゃんがライバルと言っていたくらいだ。


「そうか。ジグルにやられたか。あいつが王都に来てから国は変わった。儂が守りたかった国とは一体何だったのかわからなくなったからな」


 そう言って壁の中に入る。


「ライト」


 じいちゃんが周りを照らしてくれる。まっすぐに行く道と下に向かって螺旋階段がある。じいちゃんはそのまま降りて行く。降りて行くと扉がでてきた。じいちゃんが開けて中に入る。


 そこは開けた場所だった。石畳が円型になっていて、周りには銅像が埋まっている。そして、中央に机と椅子がある。そして、その場所に緑色の顔をした人の様なものが立っていた。どうして人のようなものかというと顔が無くのっぺらぼうなのだ。


 そして、体には緑を基調とし、首、襟部分が赤い、軍服のようなものを着ているのだ。下はちなみにスカートを履いていて、その先も赤い。足は黒いブーツを履いている。所々見える部分は緑色だ。しかも宝石のように透き通っている。


「マイマスター。ようこそ。今日は何しに来られたのですか?」


「おお、ペリドット。今日は孫を連れてきたのだ。相変わらずお前は美しいな」


 じいちゃんがそう言うと緑の顔が少し赤くなる。これって美人という意味ではなく、宝石としてキレイという意味だよな。そう思うことにした。


「ありがとうございます。では、何か用があればお伝えください」


 そう言うとペリドットは地面に吸い込まれるように消えた。もう、色んなことが起きすぎて追いつかない。


「まあ、アデルや。そこに座るがいい」


「はい」


 そして俺は一回目に魔王に倒されたこと、二回目でジグル老とウリクルに倒されたことを伝えた。


「ほう、そうか。その呪いの指輪はそういう仕組みだったか。呪い自体は複雑でないから解くことは可能だったのだが、解かなくて正解だったようだな」


 じいちゃんにそう言われた。


「どうして?転生できなくなるから?」


 俺は自分の指に嵌っている紫と黒がまじりあっているまがまがしい指輪を見た。


「違う。転生前にもどるということだ。つまり一回目の魔王に倒される前に戻るのだ。これから気を付けることだ。その指輪の呪いを解かれることはアデルの死を意味するということをな。それと、もう一つ。アデルが危険だというが儂はもう少ししたら山の崩壊を止めに行かねばならぬ」


「どうして。じいちゃんはそこで死ぬのに」


 死んでほしくない。そう願ってお願いをしたのだ。だがじいちゃんは笑ってこう言ってきた。


「この儂が死ぬか。それはいい方法だ。実は研究が途中なのにここ最近ちょっかいを出してくるヤツが多すぎてな。隠居するタイミングを狙っていたのだ。多分未来の儂もそう考えたのだろう。ここより更に山奥に研究所がある。といってもなかなか簡単に見つからないだろうがな」


 そう言って豪快にじいちゃんは笑っていた。


「オートマッピングがあればたどり着ける?地上から行こうとしたんだ。シズに言われて」


 そう言うとじいちゃんは目を細めてこう言ってきた。


「地上からはまず無理だろうな。おそらくシズはお前のレベルが低く研究所にたどり着くには心もとないと思ってレベル上げのため地上に追いやったのだろう」


 ちょっと待ってくれ。最近負け続けだけれど、俺だってレベル999だ。それなのにもっと強いやつが多すぎてインフレ起こしてるんだ。おかしいだろう。


「まだ、自分の未熟さをわかっていないようだな。じゃあ、ちょっと手合せをしてやろう。勝負はそうだな。儂を一歩でも動かせたら勝ちにしてやろう」



 というわけでじいちゃんと勝負することになった。


「安心しろ。この場所は結界が張られてある。どれだけ魔法攻撃をぶつけてもびくともせんわ。それに音も振動も外に伝わることもない。別空間じゃからの」


 そう言われた。だが、まだ5歳の身体だ。肉弾戦は不利だ。だが、魔法でじいちゃんに勝てるとは思えない。


 魔素量が違いすぎるのだ。だって、この場所の制御もしながら笑っているのなんてバケモノ以外何物でもないからだ。


 レベルは999までだと思っていたけれどもっと上があるのかもしれない。途中からレベルは上がらないと思って戦闘避けていたのは間違いだったのかもしれない。


 じいちゃんに言ったらいつも使っている剣を貸してくれた。


「こんな失敗作でいいのか?これは儂が初期に作ったものじゃぞ。まあ、ブレスレットは結構いいできじゃが剣はそうでもないぞ」


 そう言われて焦った。魔王に行くまであの剣を使っていたのだと言ったら「まだまだじゃの」と言われてしまった。じいちゃんは周りにある銅像から武器を一つ取り出した。虹色の刀身をした剣だ。


「これは全属性を付与できたエキストラ武器だ。まあ、防具なしでこの剣だけで防がせてもらおうかな」


 そう言われた。じいちゃんは円型になっているこの広場の真ん中に立っている。右手に剣を持っているが構えてもいない。だが、こっちだって考えがないわけじゃない。一歩でも動かせたら勝ちなのだ。


「じゃあ、良いかな?」


「ああ、いつでもいいぞ」


 そう言われたのでまず、「ウインドストーム」を12回発動させてじいちゃんの周りに配置した。前に使用した「サンドストーム」の風バージョンだ。


 そして、次に唱えるのは「スピードスター」だ。これで敏捷性を上げる。更に「帯電」を唱えた。これはイリーナが開発した恐ろしい魔法だ。体の中に電気を流して筋力を上げる魔法。重ね掛けができるのだ。更に「パワーストレングス」で筋力を上げる。準備はできた。


 剣に力を込めて、腰にかける。これは居合切りというものを冒険の中で知ったからだ。直前で抜刀すると加速する。放つのは「剣閃」という抜刀技で今できる最高の技だ。


 息を吸い込み、目の前にあるウインドストームの間に突進する。ウインドストームは目くらましではなく最後に加速させるためのものだ。


 竜巻の力を借りる。そして、最後に唱えるのは決めている。


「じいちゃん。行くよ。フレアバースト」


 攻撃魔法を加速として突進する。超速の剣戟。これは絶対いけるはず。そう思って突進した。


 結果は地面に突っ伏した自分がそこにいた。じいちゃんに触れることすらできなかった。じいちゃんの気合いだけで吹っ飛び、転がり、這いつくばっている。


「お前の攻撃はわかりやすい。気配を消すことを学ぶがいい。そうじゃな。しばらくペリドットに鍛えてもらうがいい。


 5年くらいしたら何かつかめるかもしれんな。とりあえず、その剣でいいなら今でも合格点はやれるが、魔王に挑むには早いし、儂の研究所に来るのもやめておいたほうがいい。あの場所を狙っているやつは多い」


 そう言ってじいちゃんは椅子に座った。そういえば、このテーブルと椅子。じいちゃんが魔法で生み出したものだ。魔素の塊なのだ。


「ヒール」


 自分で自分を回復させて椅子に座った。


「じいちゃん。強すぎだよ」


 そう言うといつの間にかテーブルにお茶が置かれてあった。ペリドットがお茶を用意してくれている。


「儂が強いんじゃない。アデルが弱いんじゃ。お前は何かをやるぞって思いが外に出過ぎじゃ。おそらくパーティーメンバーの誰かがそれを隠すよう努力をしていたんだろうな。だから4人の時は戦えておったんだろうな。だが、負担を考えるのなら自分でできた方がいい。魔素の押さえ方、目線などな。そういう修行をしていかないと高レベルの相手だと簡単に負ける。ステータス画面を開いてみるがいい」


 そう言われて右手の甲に触れる。見慣れたものが出てくる。


「そこの端にあるタグを開くがいい」


 言われてそんな所にクリックできる場所があるのを知らなかった。見ると色んなスキルがある。


「そのスキルを上げて行くことだな。レベルが高いのはもう当たり前じゃ。後はスキルをいかに身に着けるのか、そのスキルのレベルをどうあげるのかじゃな。お前は隠密とか、索敵が低いだろう」


 言われるとかなり格差が多い。レベル1のものもいっぱいある。これを上げれば強くなれるのか。今まで知らなかったことだ。


「まぁ、ペリドットとこれから毎日1時間は相手をしてもらうがいい。ペリドット辛くなったらアメジストをこちらに送ろう。先に研究施設に行っているかなら」


 そう言ってじいちゃんは出て行った。その日の夜。山雪崩が起き、じいちゃんは生き埋めになった。


 だが、翌日に倉庫の地下に行くとじいちゃんが居た。


「じゃあ、儂は研究所に行っているからな」


 さっきじいちゃんの葬式をして泣いていたのに。


 涙を返せ。


 そう思った。だが、じいちゃんが頭を撫でてこう言ってきた。


「これには理由があるんじゃよ。後、装備品はかなり研究施設に運び込んだからな。倉庫に残っているものは好きに使ってよい」


 そう言われた。だが、使うものは決めている。そう思ったら銅像に虹色の剣が残っていた。


「じいちゃん、あの虹色の剣忘れているよ」


「あれはお前にやろう。名前はプリズムソードだ」


「かっこ悪い名前。でも本当にいいの?」


「ああ、もっといい武器はもちろん持って行くがな」


 あれよりいい武器があるのかよ。だが、このプリズムソードだって今までと桁が違う。手に持つと魔法の武器のため俺の身体に合わせた大きさになってくれる。


「では、訓練をしましょうか」


 この訓練は全然楽じゃなかった。ペリドットさんは鬼だった。手加減を知らないのだ。


 だが、おかげで今まで低かったスキルのレベルがあがった。敵を倒していないからレベル自体はかわらないが、スキルの習得は別に必要なのだといまさらだが知ったのだ。


 そう、次は大丈夫。それにもう一つわかったことがある。


 転生をしてスキルがあがったのは俺だけじゃない。ティセもレベルが高くなっている。


「一人で何人もの継承は出来ない。転生の度に器は徐々に大きくなるが漏れ堕ちた分は当人に返っているようだな」


 たまにふらっとじいちゃんがいるので相談したら教えてくれた。だが、じいちゃんは俺を見ていつも「まだまだだな」としか言ってくれない。今度は大丈夫。まずは前哨戦のイーフリートだ。


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