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~点と点を繋ぐ~

~点と点を繋ぐ~


 戻ってきた世界。ダルメシアンジャスパーを見る。記憶を戻してはいけない。それは絶対だ。


 そして、レッドを倒した時、おそろしいほどのおびただしい魔素が流れた。あれと同じ現象はピクチャージャスパーが両手を広げて魔法を発動させた「バースデイ」に似ていた。


 仮説だが、ジャスパーの誰かを倒すと死を司るタナトスが復活するのではと予想した。


「アデル、考えている時間はないですわよ」


 ペリドットさんの言うとおりだ。時間がない。このままだとレッドジャスパーたちが着てしまう。


「とりあえず、移動する。『次元断』」


 そう言ってすぐに離脱をした。周囲を見てまず、あの大きな門がないことがわかった。それだけで安心できる。


「とりあえず、検証の前にすることがある」


 俺はダルメシアンジャスパーの記憶に蓋をした。そして、すぐ近くになったセーブポイントで更新を行う。


 ちなみに、セーブポイントがあるということはこの場所は安全地帯だが、すぐ近くに危険エリアがあるはずだ。あの扉かオール・ジャスパーかタナトスの石像か、またはヘタマイトが御方と言っている多分この全てを把握しているヤツかだ。


 はじめ、オール・ジャスパーが御方と呼ばれる存在なのではと思ったが、何かが引っかかる。まあ、あくまで勘だ。


「じゃあ、検証したい」


 ダルメシアンジャスパーの記憶の事は触れないでおこう。みんな把握しているはずだ。俺が一度、ダルメシアンジャスパーを見てから頷いたので皆が納得したと信じている。


「私に何か?」


 ダルメシアンジャスパーがきょとんとしている。


「いや、迷惑をかけているなと思ってな」


 そう言って、ダルメシアンジャスパーの頭を撫でた。


「ちょっと、アデル何しているのよ」

「私も撫でてほしいのにゃ」

「我の頭も撫でるとよいのじゃ」

「アデル、そういうことはする必要はありませんのよ」


 いきなり4人からつっこみが来た。なんだ、そんなに頭を撫でるのがダメだったのか。ダルメシアンジャスパーの顔を覗き込むとどちらかと言うと喜んでいる表情だ。うん、問題ない。


「わかった。ミーニャ、アカこっちにこい」


 そう言って俺は右手でミーニャを左手でアカのあまたを撫でた。そうするとティセがむすっとしながら俺に近づいてきた。


「どうした?」

「ん」


 それしか言わない。まさか撫でて欲しいのだろうか。仕方が無い。ミーニャとアカを撫で終ったので撫でて見た。


「まあ、悪くない感じかな」


 ティセが赤い顔をしながらそう言ってきた。ペリドットさんが俺の背中にもたれかかってくる。


 これは修行なのだろうか。バランスを崩さずに受け止めて見た。しばらくしたらため息とともに辞めてくれたが。


「では、検証を開始する。まずみんなの認識を一つにしたい」


 そう切り出した。ティセが手を上げる。


「あのピクチャージャスパーだけは別格だったわ。まあ、私たちのレベルが低いのも一つだろうけれど」


 確かにあのピクチャージャスパーの「バースデイ」は把握できなかった技だ。


「確かにタナトスの死の波動に近い感じがしたな」


 俺がそう言ったが、ペリドットさん以外きょとんとしている。ペリドットさんが言う。


「一つ前の転生の時私以外皆さん即死だったのでその時の記憶は引き継いでいませんわよ」


 そうだった。忘れていた。そのため一つ前の世界であったことを伝えた。レッドジャスパーを倒したらタナトスが出てきたと言う事を。


「それって、敵を倒したらダメってことなのかにゃ?」


 ミーニャが暗い顔をしてつぶやいている。


「私たちは生贄。でも、全員いっぺんに捧げないと不完全」


 ダルメシアンジャスパーがそう言いだした。ダルメシアンジャスパーの周りの空気が変わっている。凛として張りつめた空気になっていたのだ。


「ダルにゃん?思い出したのにゃ?」


 だが、ミーニャの問いかけを受けるとダルメシアンジャスパーの空気が変わった。


「私、何か言った?」


「覚えていないのか、今言ったことを?」


 俺の問いかけにダルメシアンジャスパーはただボーっとしているだけだった。記憶の封印が中途半端だったのだろうか。


 魔力を流して確認するが、確実に封印されている。いや、少しだけほころびが出来ている。再度力を注いでおくか。ダルメシアンジャスパーの頭に手を置いて魔力を注ぐと恍惚な表情をした。俺から流れる魔力を感じているのか。


「ちょっと、アデル。何しているのよ?」


 ティセが怒っているが、この封印の方が大事だ。


「これで大丈夫だろう。また、変なことがあったら声をかけるのだぞ」

「うん、わかった」


 ダルメシアンジャスパーの笑顔が胸に痛い。だが、ダルメシアンジャスパーが記憶を戻すと世界を破壊する。


 それだけの力があるのだ。いや、他にもあるのかもしれない。未だにダルメシアンジャスパーの能力を測りきれていないのだ。


 そう考えていたら俺の脇にミーニャが頭を突っ込んできた。猫みたいだ。いや、ニャンクスだから猫みたいなものか。


「アデル、撫でるのにゃ」


 そう言って首を振っている。仕方が無い。ミーニャの頭を撫でながら考えるか。耳の付け根あたりも撫でてみるか。


「あ、そこまダメなのにゃ」


 そう言われると撫でたくなるものだ。毛並みにそってゆっくり、たまに角度を変えて撫でてみる。


「にゃ~、にゃ~」


 猫みたいだ。なんだか癒される。いや、違う。俺は考え事をしていたはずだ。


「とりあえず、敵のジャスパーを倒さずに勝つ方法を考えないといけない。拘束魔法を使うか、記憶を封印するか」


 そう言って、誰かがダルメシアンジャスパーの記憶を操作したのだと思った。倒せないのなら封じ込めるか敵じゃなくせばいい。そう他にも考えた人がいるんだ。


「ねえ、それって・・・」


 ティセがダルメシアンジャスパーを見ながら申し訳なさそうに話している。


「多分、誰かが封印したのだろう。前の世界でダルメシアンジャスパー自身が自らの記憶を封印したと言っていた。おそらくそれが正しいのだろう。ただ、のオール・ジャスパーが言っていたことが謎だ。あいつはまだ何かを隠している」


「直接聞くのならこの先にいる」


 ダルメシアンジャスパーはそう言って歩いていく。仕方が無い着いていくか。


「そう言えば、敵が出て来なくなったな」


「そりゃそうですわ。倒せそうなモンスターだけおびき寄せてこの子たちのレベル上げしたのですから」


 いや、それってかなり目立つ行動だろうよ。


「まあ、このダンジョンがどういうものかわかりませんでしたので、敵から出てきてもらうには良いかと思いましたけど、まさかヘタマイトがいるなんて思いませんでしたわ」


 なんだか嘘くさい。そういえば、ペリドットさんはアメジストさんが近くにいたらすぐにわかると言っていた。ひょっとしたら魔核でわかるのではと想像している。


 そういえば、ダルメシアンジャスパーの魔核は一体どこにあるのだろう。レッドなどは自ら魔核を所持していた。


「この壁の奥にオール・ジャスパーはいる」


 俺は壁に「フレアバースト」を放った。壁が崩れるとその奥に右手首が鎖で壁に拘束され、両足に大きな鉄球をぶら下げている男性がいる。髪は白くて長く、ひげも生えている。長らく拘束されていたのかにおいがきつい。


「アクアエアクリーン」


 水で汚れをふき取り風で乾かす魔法。生活魔法の一種だ。まあ、実際戦闘で血と汗で汚れた体をきれいにすることでよく使った魔法でもある。


 その男性をきれいにした。髪の長さは変わらないが、風魔法で顔が見えるようにした。顔は皺があるが、白い肌に何か所かシミがある。だが、目は爛々として怖かった。


「ほう、久しぶりに人らしい尊厳を得られたことに感謝する」


「色々聞きたいことはある。オール・ジャスパーよ。答えるがいい」


 多分こいつは真実を言わないだろう。だが、100%の嘘でもない。ならばその話しの中から嘘と真実を選べばいい。


「ほう。我が名を知っているとは何者だ。小僧。だが、そのダルメシアンを保護してくれているのなら我が名を知っていても不思議じゃないかも知れぬな。それに、そのダルメシアンには不思議な封印もされておる」


 オール・ジャスパーは俺が殺気をぶつけ続けているにも関わらず話し続ける。


「俺がこれからする質問に答えるがいい。ダルメシアンジャスパーの魔核はどこだ?」


 前はこのダンジョンで行われている『神降ろし』について聞いた。ジャスパーたちを生贄にして制御できるタナトスを降臨させるのが目的らしい。


 そして、これは仮説だがその手順を違えてしまうと不完全な制御ができないタナトスが降臨する。そう、俺たちが出会った、死の波動を出すタナトスだ。


 いや、ひょっとしたらもっと前、ゴブリンロードを倒した後に出てきたタナトスも同じなのかもしれない。俺はオール・ジャスパーを見る。


「ふむ。結論から言うと知らぬ。そのものの力が強くなったところを調べるがいい」


 これは本当かもしれない。ペリドットさんの方を見ると何とも言えない顔をしていた。顔を近づけると「オール・ジャスパーが魔核を持っていないのは確かですわね」と言っていた。ならば次の質問だ。


「この魔素の流れ、龍脈というのか。この流れを元に戻すにはどうしたらいい?」


 本来の目的はこのゆがめられた魔素の流れを元に戻すことだ。ジャスパーたちを倒すことではない。


 まあ、勇者としてタナトス復活は阻止しないといけないが、ここの魔素の流れが元に戻れば問題は回避できると信じたい。


「正しい手順で行わなければタナトスが不完全な形で復活をする。一部を森に逃がす。まあ、森で突然変異の異業種が産まれるかも知れぬがな」


 誰かがここの解除を行おうとしていたようだ。一体誰だ。一応確認しておくか。


「例えば放出された魔素を受けたらただのゴブリンがゴブリンロードになることはあるか?」


「まあ、あるだろうな。それが何の問題だ。タナトスに比べれば脅威でもなんでもなかろう」


 いや、十分脅威だったわ。しかも、やたらと強かったしな。


「ところでお主、この鎖を断ち切ってくれぬかな。少しでも我の知識が欲しいのならどれか一つで構わぬゆえ」


 オール・ジャスパーのその言葉にダルメシアンジャスパーは反応した。俺の腕を握る。


「絶対、ダメ。あれは一つでもなくなると世界が変わる」


 そんな気がする。


「外して欲しいのなら俺の願いをかなえるがいい。まず、オール・ジャスパー。お前は誰に拘束されたのだ?」


 この拘束具は高位の魔道具だと思われる。当人の魔素を吸いダンジョンに供給している。おそらく少しでもこの吸収が落ちたらこのオール・ジャスパーは逃げるだろう。


 そして、オール・ジャスパーはかなりレベルが高い。魔力探知を使う。



名前:オール・ジャスパーは

レベル:***

性別:男性

年齢:****

種族:****

属性:****、****

スキル:****、****、****

ステータス:****


 正直名前と性別以外見ることができない。ということは俺よりレベルが高い可能性がある。


 おかしい。俺は魔王にまで挑めた世界最高峰の勇者のはず。だが、転生してから俺より強い相手に出会いすぎだ。


 ひょっとしたら転生前と同じようで違う世界にいるのではと思ってしまう。もしくは転生をするたびに何か因果律が変わっているのかもしれない。そう思わないとやってられない。オール・ジャスパーが答える。


「我を拘束したのは『あれら』だ。失敗作と思っていた『あれら』がタナトス教と共謀したのだ」


 いまいちタナトス教がわからない。死を讃えるという教えらしいが意味がわからん。というか俺が前の世界で出会っていないからだ。


 いや、それをいうなら今回の出来事だってそうだ。最初の世界では俺はまだ引きこもって体を鍛えていた時期だ。確かに外界と遮断していることが多かったがこんな出来事は起きていない。


「どうしてタナトス復活を急いだのだ?」


 これは賭けだ。元々そうじゃなかったのかもしれない。だが、どこか引っかかる。何かがおかしい。オール・ジャスパーが言う。


「世界の脅威が産まれた。旨く能力を隠していたみたいだが、トロイアの最終兵器ファストレアを打ち砕いたものが現れた。ファストレアは現存する最高の兵器だ。唯一魔王と戦える兵器と呼ばれていたが破壊され魔界に連れ去られた。我々は急がねばならなかった。世界の脅威と戦うために」


 原因俺でした。ってか、今の言葉でわかった。


「お前は世界を滅ぼしたいのか?救いたいのか?」


「我は真なる世界を望むもの。そのため一度世界を破壊し構築する必要がある。ははははっはは」


 いきなり笑い出した。狂人か。


「そいつの話しに耳を傾けるな、小僧」


 ダークバレットがオールジャスパーに当たる。だが、鎖には一切あたっていない。攻撃してきた方を見る。そこにはジグル老が居た。


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