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~イビルブラックドラゴン~

~イビルブラックドラゴン~


 シルバーブラックの体をした巨竜。三つの瞳をしたその姿はドラゴン族とは違い魔王が作り出した擬似生命体の一つ『イビルブラックドラゴン』だ。


 イビルシリーズは基本的に魔界にしかいない。人間界にいると言う事はイーフリートと同じように一部分だけが出てきているだけだ。


 そして、この場所は今龍脈が弱まっている。だったら楽勝のはずだ。


「この場所は龍脈が流れていますね」


 ペリドットさんにそう言われて確認すると微弱だが流れている。楽勝じゃないのか。


「それに、ヘタマイトはこの近くにいますね」


 これは全く感じられない。だが、アクティブ・ソナーを放つまでもない。ペリドットさんがいうヘタマイトという少女が不意打ちをしてくるタイプに思えないからだ。不意打ちをしてくるのならばあの時に声をかけずに攻撃すればよかったのだ。


 俺とペリドットさんは戦えたが、ティセとミーニャはあの瞬間だったら瞬殺できただろう。アカは少しだけ抵抗が出来たかもしれないが、戦える状況ではなかったはずだ。


 だからまず目の前のイビルブラックドラゴンに集中してもいいだろう。


「とりあえず、このドラゴンを倒すぞ。まずは相手の戦力確認だ。アカ。盾を持って攻撃を一度受けに行ってくれ」


「ふふふ。やはり主が一番頼りにしているのは我のようじゃの。それに、ドラゴン族を模倣したこいつらは我の敵でもある。言われんでも突っ込むのじゃ」


 そう言いながらアカが突進していく。いや、突進してほしいわけじゃないんだけれどね。イビルブラックドラゴンの首が一瞬動く。ブレスだ。黒い光に稲妻が含まれている。


「アカ、そのブレスはよけろ」


 記憶にある。あのブレスはやばい。確か生命力というか魔素そのものを削るタイプだ。受けるとHPが一気に減る。盾で防御できるものじゃない。


「ティセ。アイスウォールであのブレスを防いでくれ。ミーニャは迂回して後ろに回り込んでくれ。ただし、しっぽに気をつけろ。アイツはしっぽが二つある」


「「わかったわ(にゃ)」」


 まず、ティセがアイスウォールを唱える。だが、ブレスが触れた瞬間に砕け散るでもなく、一瞬で消え去った。


「何よあれ。まるでそもそもアイスウォールがなかったかのような消え方したじゃない」


 俺はすかさず金剛盾を4回発動させる。だが、同じようにかき消された。


「あのブレスは危険だ。絶対に当たらないようにしろ」


 元々わかっていたことだ。だが、金剛盾がかき消されたのを見てアカがようやく距離を取り始めた。アカの問題は自分が納得していないと行動が遅れることだ。俺だけがあのブレスの危険性をわかっていても意味がない。


「アカ。スピードを上げろ。狙いを一定にさせるな。ミーニャ。イビルブラックドラゴンの意識を後ろにも向けさせろ」


「「わかった(にゃ)」」


 この指示が厳しいことはわかっている。そして、ペリドットさんはドラゴンではなく違う所に注意を払っている。その先におそらくヘタマイトが居るのだろう。


「ティセ。アイスランスの準備を。俺はちょっとサポートしてくる。俺の一撃が入ったら一気に放て。数は8本。上空に散りばめろ」


 そう言って俺は剣を構えてイビルブラックドラゴンに向かっていく。ブレスをよけながら爪、羽による風の攻撃にしっぽとアカとミーニャが近づくこともできていない。前衛の戦い方を教えるには丁度いい。


 剣に闘気を込め、「ソードスラッシュ」を放つ。威力は抑え目だがドラゴンの鱗を数枚削り落とした。だが、うろこはすぐに復活する。攻撃することが目的ではない。ヘイトを俺に向けさせるのが目的だ。


 イビルブラックドラゴンが俺の方を向いた。ビンゴだ。これでアカとミーニャは動きやすくなる。ドラゴンが首を少し後ろに引く。ブレスが来る動作だ。


 俺は「フライ」を唱え上空に移動する。ドラゴンが目で俺の動きを追っているのがわかる。広範囲に広がるブレスをドラゴンは放つ。


「スピードスター」を唱え加速する。一旦地上に降りてすぐ剣を構えてドラゴンに向かって飛び立つ。


「オーラタックル」


 ある意味自爆技でもあるオーラタックルだ。だが、大量にSPとHPを消費するがこの攻撃は絶対によけられない。そして狙うのはドラゴンの首の付け根だ。


「ぐふぉ」


 ドラゴンから変な声がした。生き物である以上首を攻撃されると呼吸が一旦止まる。


「今だ」


 俺はティセに合図をする。


「アイスランス」


 8方向からアイスランスが繰り出される。ドラゴンが羽ばたき飛ぼうとする。


「重力2倍」


 流石に俺のエキストラスキルの「重力万倍」はまだ使えないが、2倍までならば使える。ドラゴンはいきなり自分の体重が倍になったため動けなくなっている。


 そして、この魔法はドラゴンの周囲の重力が2倍になる。アイスランスのスピードがあがる。


「アカ、ミーニャ。今だ」


 二人はアイスランスのスピードが上がったのを見て自らも飛び上がり攻撃を繰り出す。

攻撃はコンボが一番だ。俺はそう思っている。


「危ないですわ。アデル下がってください」


 ペリドットさんがそう言いだした。瞬間に突風が吹きアカとミーニャがはじき出される。俺は危機を感じてドラゴンから距離をあける。


 俺とドラゴンの間に空間のひずみが産まれる。そこに現れたのは褐色の肌に銀色で右目が隠れている。ヘタマイトだ。


「悪いっすけど、こんなドラゴンでも倒されるのは困るんっすよね。とりあえず見た所、このパーティーは君がメインっぽいから隔離するっす」


 そう言って、いつの間にか手に黒光りする剣を持っていて振るっていた。


「さっき見たから覚えたっす。『次元断』っすよ」


 俺の周囲の空間が断裂していく。


「アデル!!」


 誰かが俺に抱きついてきた。だが、世界は暗転していく。このダンジョンの違う階層に俺は移動させられたのだ。


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