~レベル100~
~レベル100~
まず、3人に集まってもらう。攻撃を受けながらだから傷だらけだ。だが、3人ともHPは高いので死ぬ恐れはない。
体の欠損がなければアースヒールで回復もできる。
「でも、もう何度も使うのは無理にゃ」
ミーニャが目を×にしてそう言う。ステータスを見るとまだMPはゆとりがあるが、精神力が持たないのだろう。
「次にあの場所に走る」
洞窟だから開けっている場所もあるが狭い場所もある。そして目指しているのは狭い場所だ。
相手がどれだけ早く動けてもスペースがなければその威力は半減する。
「たどり着いたよ」
「じゃあ、周囲に氷壁盾を。道を残すように」
相手が早くても一定の動きをさせる、もしくは阻害することで機動力を奪う。そして、その隙間にスパイダーネットを張り巡らせる。
だが、相手も思考があるのか突進をしてこない。3体が螺旋を描き上空にあがる。この布陣は上空が開いてしまうのが問題だ。だが、その対応を考えている。
「アカ。ファイアーウォールにセルフバーニングだ。そして翼を出して上空待機」
アカはドラゴンのため人型でも翼を出して空を飛ぶことができる。ファイアーウォールは攻撃を阻害する、低位の魔法を無効にする効果がある。そして、相手を攻撃することもできる。そして、セルフバーニングで攻撃された時にカウンターを用意する。
「ミーニャ、召喚準備だ」
相手の行動を先読みする。バジリスクの準備をしておく。相手とのレベル差から考えると相手が石化する可能性は低い。おそらく一瞬石化し、その後に解除になるだろう。だが、その一瞬で十分だ。
黒い3体が上空から魔法を放ってくる。予想通り遠距離攻撃か。
「ティセ、ダイアモンドダストだ」
「え?ファイアーウォールがあるのに?」
火と水のように相反する属性は相殺されることがある。だが、それは魔力差がある場合だ。
「ファイアーウォールと同レベルの魔力に合わせてぶつける。俺が信じているティセならできるはずだ」
そう、同調させることができたら水蒸気が起きてエネルギー波が産まれる。失敗しても目くらましにはなる。
「ダイアモンドダスト!」
ティセが力みすぎてダイアモンドダストの方が威力ある。だが、水蒸気が発生し目くらましになる。
「ミーニャ、召喚だ!」
「お願い来て。召喚『バジリスク』そして、『石化光線』を」
その声とともにバジリスクが召喚され、石化光線が放たれる。
「今だ、アカ。その場所から床に向かってブレスだ」
床には今法則性がない氷壁盾がある。火のブレスで更に水蒸気が発生する。この辺り一帯は水蒸気が大量に発生した。狙いはこれだ。
「ティセ、高出力でダイアモンドダストだ。次は手加減いらない。魔力が切れるまで撃ち続けろ」
「ダイアモンドダスト!」
水蒸気が凍りついていく。相手が動き続けるのならどうにかして動きを止める。魔力が高いティセだからできる方法だ。
相手が凍結しにくいのなら水分を多めにして空気ごと凍らせる。それがこの手法だ。
石化光線は一瞬止まればいいだけ。最後のダイアモンドダストが決め手だ。周囲が凍りついていく。
「もうダメ。これ以上は魔力が持たない」
ティセがその場で座り込む。目の前に氷漬けになった黒光りする3体。
「アカ、ミーニャ。そのまま破壊しろ。氷漬けのため一気に崩れるはずだ」
二人はソードスラッシュで3体を粉々にする。
「勝った!」
3人がその場で寝転がる。レベルがあがる。3人ともレベルが100になった。そして、俺のレベルが1つあがった。
今までレベルは999で上限だと思っていた。だが、今の俺のレベルは1000だ。
「レベルがあがっただと」
びっくりしていると後ろから拍手が聞こえた。
「おめでとうございます。指揮をすることで彼女たちの3倍の経験値が入ります。そして、相手が格上であればあるほど経験値は多い。彼女たちが一気にレベルがあがったのと同じでアデルもレベルがあがりました」
もう、上がらないと思っていたレベル。たった一つだけれどこの一つの違いを今感じている。一気にステータスが上がったのだ。
「はぁ。私の可愛い傀儡人形が粉々になってしまったっす」
気怠い感じの声がした。洞窟の奥から褐色の女性が出てきた。髪は肩くらいまで長いが右目が隠れている。
そして、その髪の色は灰色のような銀髪。そして、黒光りする瞳。まるでさっきまで戦っていた3体のようなシルバーブラックの瞳だ。爪も同じように黒光りしている。
全体的に顔立ちは幼いが目の周りが白く縁どられていて、唇も白い。変わったメイクだ。小柄で華奢な体形だが魔素がかなり流れ出ている。
レベルを確認するとレベル999だった。これはヤバい。褐色の肌の少女はゆっくり歩いている。向かっているのは倒れているティセに向かってだ。
多分、3人の中で一番回復が遅いのはティセだろう。このままだとティセがやられる。次は俺の番だろう。
俺はティセの前に飛び出し剣を抜き相手に向ける。ちなみに左手で大ヒールをティセにかける。HPはとりあえず回復させた。MPはほぼ空っぽ。だから俺のMPを押し込むようにティセに流し込んだ。ティセがびくんと体を痙攣させた。
「それ、ありがたいけれど、やるなら事前に言ってよね」
ティセの顔が真っ赤だ。だが、話せるだけ回復したのがわかる。ミーニャはすでにアースヒールで自分とアカを回復させている。だが、3人の番はやってこない。
「悪いがレベルがあがった俺の確認作業に付き合ってもらうぞ」
俺は褐色の肌の少女に向かってそう言った。次は俺の番だ。だが、褐色の少女は俺のセリフを鼻で笑いこう言ってきた。
「は?何言っているんすっか?あんたが戦うのは私じゃないっすよ。あっちっすね」
褐色の少女が指差した所は空間にひびが入った。結界を力任せに破ったのがわかる。その奥から出てきたのは黒いローブに木のロッドをもった老人。そう、ジグル老師だった。




