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~クラン~

~クラン~


「ライト」


 真っ暗になったのですぐに光を灯す。モンスターがいたら狙われる可能性もあがるが、まずはメンバーが怪我をしていないことの確認が先だ。


「皆、無事か?」


 周囲を見渡す。


「我は問題ないぞ」

「アデル、心配してくれてありがとう」

「ちょっと怪我したけれど大丈夫にゃ」

「あらあら、私の心配までしてくれるなんてうれしいですわ」


 最後の声を聞いてびっくりした。そこにペリドットさんが居たからだ。


「誰だお前は!」


 アカが剣を向け、ミーニャが腰を低くしてペリドットさんに構える。


「落ち着いてくださいね」


 そう言ってペリドットさんは風の塊を二人にぶつける。当然二人は地面に這いつくばる形となる。相変わらずペリドットさん手加減を知らない。


「アカ、ミーニャ。この人は仲間だ。安心してくれ。実は旅の最中ずっと俺たちを見守ってくれていたんだ」


 そう言うとティセの顔が青くなってぷるぷる震えだした。ペリドットさんがティセに向かってこう言う。


「死ぬ気で訓練すると言っていましたわよね。あれは嘘だったのでしょうか?」


 それだけでティセが「すみません、すみません、すみません」と言いながら土下座をし出した。ペリドットさんは容赦ないからな。


「アデル」


 そして、ペリドットさんが俺の方を向いて名前を呼ぶ、


「はい!」


 やはり緊張する。


「ここで、彼女たちを特訓させます。クランを作ります」


 言われた意味がわかりません。


 というわけで、説明をしてもらいました。


 ペリドットさんは俺が付けているこの呪いの指輪についてクロノスに聞きにいったそうだ。この呪いの指輪には確かにペーティー解除ができないが、パーティーをわける能力があるそうだ。


 俺が所属するパーティーと俺が所属しないパーティーにわける。冒険者ギルドやチームみたいなもの。それがクランだ。


 そして、クランリーダーとなった俺は下位組織の経験値を手にすることができる。しかも、指導や指揮をすると経験値は3倍になるというのだ。第一パーティーは俺とペリドットさん。第二パーティーはティセ、アカ、ミーニャの3人となる。


「私がリーダーね。あなた達しっかり働くのよ」


 胸を張ってティセが言う。だが、リーダーはアカになっている。


「はぁ?どうしてこんなトカゲがリーダーなのよ。リーダーはどう考えたって私でしょ」


 いや、レベルが高い人がリーダーになるそうです。ちなみに、俺はレベルが低くてもクランリーダーなためリーダーとなる。


 パーティーわけをすると個人ステータスの管理が可能となった。こんな画面見たことがない。



名前:アカ

レベル:60

性別:女性

年齢:425

種族:レジェンドドラゴン

属性:火


名前:ティセ

レベル:45

性別:女性

年齢:13

種族:人間

属性:水(火)


名前:ミーニャ

レベル:21

性別:女性

年齢:14

種族:ニャンクス

属性:土

召喚獣:バジリスク


「属性って何だ?」


 俺がそう言うとペリドットさんがこう答えてくれた。


「得意とする属性ですわね。私なら風です。アデルは火だったのですが、全部に変わっています。かっこが着いているのはアイテムで追加された属性です」


 なるほど。ということは、ティセは火の魔法も使おうと思えば使えるのか。そして、ミーニャは魔法を使えるのか。覚えさせるのも一つだがMPが低いのが難点だ。


 とりあえず、ステータス画面で確認ができるようになったのはうれしい。


「というわけで、特訓です。3人のレベルが100を超えるまで頑張ってもらいますわ」


 手を叩きながらペリドットさんがそう言う。ティセが手を上げる。許可をもらったので発言が許される。


「あの、閉じ込められているのですが大丈夫なのでしょうか?」

「このまま進めば大丈夫です」


 ミーニャが手を上げる。許可なしで発言をするとウインドカッターで攻撃される。


「今回の調査はどうするのですか?」

「このまま進めば大丈夫です。ただし、レベルが低いと確実に死にます。なので100までのレベル上げ

は必須です」


 レベル100にこだわる理由は俺にはわかる。タナトスの死の息吹だ。そして、このダンジョン。中に入ってわかったことがある。


 魔素が濃いのだ。魔素がここまで濃いということはモンスターや魔族がいるということ。しかも強化されて強いモンスターや魔物がいる。つまり、倒せばいつもより経験値が入りレベルが早くあがる。


「では、みなさん。先に進みながら訓練しましょうね」


 ペリドットさんの笑顔が怖かった。


「もちろん、アデルは指揮です。そして、戦いに参加してはいけませんよ」


 自分が参戦できないのが一番つらい。


「とりあえず、戦う前に戦略を決める。まず、アカが盾役だ。その盾で敵の攻撃を受ける。そして、その隙にミーニャが攻撃をしてすぐに下がる。


 ティセは後ろから魔法攻撃だ。これでまず大丈夫だろう。とりあえず進む前に俺の魔法『デコイ』をつかってトラップがないか確かめる。『デコイ』自体は難しい魔法じゃないからできれば習得をしてほしい」


 『デコイ』はダンジョンでトラップを発見するために作られた魔法だ。まあ、イリーナが仲間になってから使うことがなくなった魔法でもある。イリーナはスライムをダンジョンに放ってトラップを捜しつつ、弱いモンスターをすべてスライムに吸収させていたのだ。


 そこでふと思った。スライムを別パーティーとして戦わせれば経験値が入る。だから効率よくレベルアップができていたのか。


 俺は仲間の気遣いに気づけていなかった。今度はちゃんと理解する。そして感謝を伝えたい。


 気を取り直して『デコイ』を発動させる。後、暗いと不意打ちを受けることが多いから『ライト』を唱える。ふわふわと明かりを放つ球体を複数漂わせる。


「右前方モンスターがいる。2体だ。討伐するぞ」


「「「はい」」」



 目の前に出てきたのはスケルトン2体だ。壊れかけのスモールシールドと剣を持っている。おそらくこのダンジョンにはいった冒険者だったのだろう。


 アカが竜燐の盾でぶつかりにいく。いや、盾役って、攻撃を受ける役であって盾でタックルするのは違うからね。一体のスケルトンが弾き飛ばされてもう一体にアカがぶつかりに行く。


 そう思っていたらミーニャが短剣で体制を崩したスケルトンを攻撃する。ティセが落ち着いてウォーターガンでもう一体を攻撃する。


「勝った」

「まあ、我が居ればこれくらい造作もないことじゃ」

「勝ったのにゃ」


 まあ、スケルトンだしな。そう思っていたらどんどん敵が出てきた。通路もそこまで広くないからモンスターが渋滞を起こしている。


「とりあえず殲滅だ。考えて攻撃をするように」


 そこまで強くない相手だが数が多い。戦い方を見ていて思った。まず、アカは力任せに盾でぶつかりに行き、相手の体制を崩す。


 これは竜燐の盾という破格の強度と、人型に変化しているが、元々はレジェンドドラゴンだ。見た目は幼女だが、重量はけた違いだ。だからこそぶつかっても負けることはない。


 そして、もう一つ。竜燐の盾も剣も傷ついてもすぐに修復される。よく見ているとアカはHP自動回復があるみたいだ。そのため、少しくらい竜燐の盾も剣もむちゃな使い方をしても大丈夫なのだ。


 そして、その合間を見ながらミーニャとティセが戦っている。ミーニャの武器が結構厳しいかもしれない。


 そう思っていたら数多く居たスケルトンにゾンビ、そして洞窟に多くいる吸血蝙蝠やモグラがでかくなったモンスターをすべて倒し切っていた。


 落ち着いたので闘気を使う戦い方を教える。はじめに教えるのを忘れていたのは内緒である。


「私、結構強くなったんじゃない。これでアデルに近づいたはず」


 ティセがそう言う。


 確かにレベル45から50に一気に跳ね上がっている。戦い方も考えていたのがわかる。吸血蝙蝠にはスパイダーネットというねばねばさせる魔法を使って動きを止めてから倒していたし、ウォーターガンもかなり魔力を圧縮して使っていた。


 ミーニャもだ。ヒットアンドアウェイで戦っていた。ただ、ミーニャが使っていた剣が普通に街で売っているショートソードなのでかなり刃こぼれをしている。


 そう思っていたら結構いい装備を身に着けていたスケルトンがいたのを思い出した。武器はドロップしているみたいだ。


剣:ミスリルソード(レア)

属性:闇(追加攻撃)

スキル:シャドーボルト(魔法)


 かなり変わった剣が落ちていた。いや、モンスターについてはペリドットさんが「瞬炎」で消し去っていたのだけれど、数が多いためドロップ品は一角に積み上げていた。


「ミーニャ。この剣を使うといいよ。今の剣よりレア度が高いから」

「ありがとうなのにゃ」


 ミーニャに渡しながら闇魔法を放てるミスリルソードってどうなっているのだと思った。よく見ると柄に変な魔石が組み込まれているからか。


 そして、通常攻撃に闇属性が付与されている。別に相手がスケルトンなどの闇属性でも攻撃は普通に通じる。逆に闇属性以外には追加で闇攻撃が付与される。そして、宝石に魔力を込めるとシャドーボルトが放てる。


 まあ、威力は低めだけれどね。とりあえず、今の無印ショートソードよりは使えるはずだ。後は使えない無印武器ばかりだ。崩落した入り口付近に固めている。


「じゃあ、先に進もうか」


 すでに『デコイ』のおかげでトラップの場所もわかっている。そして、この先に変な鉄でできた扉があることも。とりあえず、その扉をあけて見ようかな。


 その先に居たのはかなり大きなクモがいた。


「じゃあ、このクモを倒してもらおうか」


 ティセは嫌な顔をしていた。自分の身体よりでかいクモは嫌悪感というより危機感の方が強い。確かに強そうだけれど、倒せない相手ではない。


 ただ、俺はわかっていなかった。このパーティーの問題点に。


 そう、アカのレベルが全然あがっていないことに。


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