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~紫との初戦~

~紫との初戦~


 紫の戦士をイリーナに近づけさせない。


 だが、この戦いは監視されている。ということは使えない魔法がある。


 「ユグドラシシード」はダメだ。


 あれは敵に使われると勝てない。後は永久牢獄だ。コピーはすでにイリーナが使用しているから使ってもいいだろう。


 前衛としての俺は剣でとりあえず紫の戦士の斧を受け止めた。重すぎる。一瞬で弾き飛ばされた。紫のローブのファストレアは動いていない。だが、周囲には虹色の塊が何個も宙に浮いている。


 俺が全属性を乗せて放つプリズムスラッシュの魔法版のようだ。そして、その攻撃をイリーナは相殺させている。


 だが、魔素量が違いすぎる。あんな戦い方をしていたらガス欠にすぐなるのがわかる。


 前衛であるこの紫の戦士と戦いながらファストレアを攻撃する必要がある。とりあえず、俺が前衛として戦いながら時間を稼ぐ。


「スピードスター」「帯電」「パワーストレングス」


 一気に能力向上系の魔法を自分にかける。そして、プリズムソードに力を注ぐ。刀身が虹色になった。そう、剣に魔力をためて放たない。いつもはこの状態で放つことでプリズムスラッシュとなる。


 どうしてこんなことを思いついたかというと、目の前の紫の戦士が虹色に輝きだしたからだ。


 それもファストレアのバフを受けてだ。だからマネをしたというわけ。相手が使っている魔法をマネて戦う。これだったら覗き見している相手に手の内をさらさなくて済む。


 といっても、俺が紫の戦士に突進し、相手が一瞬止まり、俺がはじかれるということを繰り返しているだけだがな。だが、これには理由がある。そして、狙っていた第一段階がやってきた。


「今だペリドットさん」


 そう後ろで様子を見ていたペリドットさんに最大魔法の依頼をしていたからだ。ペリドットさんはすでに準備済みだ。


「エアリエル・ストリーム」


 エアリエルは風の精霊王だ。精霊王の召喚とともに相手にぶつける。もちろん、紫の戦士はハイスピードでよける。だが、その後ろにはファストレアがいる。ファストレアがよける。


 だが、狙いはそこではない。ファストレアの周囲にある虹色の大量にある球体だ。あれは全属性を均等にするからかたどれるもの。そう、少しでも違う属性が流し込まれたら形は崩れる。


「ふふふ。こんな手をすぐに考えるなんて面白い。プリズムバーストを放つのね」


 イリーナは俺の思考を読んでいる。だからイリーナに説明はいらない。


 一瞬ファストレアの周囲にある球体が消える。あれは攻撃と防御に使われていた。だが、その一瞬をイリーナは見逃さない。そして、俺もだ。使いどころはここだろう。


「コピー」


 二人になる。そしてすぐに剣をかまえて体中にまとっていた虹色のエネルギーを一気に放つ。


「プリズムバースト」


 二撃分をぶつけるのはファストレアの防衛に戻るため俺に背を向けた紫の戦士にだ。紫の戦士は俺に振り向き虹色のオーラで防御をする。だが、それも想定済みだ。


「私を忘れないでいただきたいですね。エアリエル・ストリームですわ」


 ペリドットさんがもう一度最高出力でエアリエル・ストリームを放つ。


 もちろん、紫の戦士に向けてだ。通常ならば攻撃をするためのもの。だが、今は相手に風属性を追加させるために使っている。


 紫の戦士が身にまとっていた虹色のオーラが消えていく。そして、俺のプリズムバーストが交差する形で紫の戦士に決まった。


 だが、俺はその瞬間に気が付いたのだ。この紫の戦士の中身に。


 そう、実態がない「空洞」であるということに。


「一旦距離を取る」


 そう言って、俺とペリドットさんは上空にあがる。イリーナもついてきた。


「どうしたのかしら?あのまま連撃して紫の戦士から倒すのではなかったの?」


 俺の思考を読めないペリドットさんがそう言ってきた。だが、イリーナはすでに俺の思考を読んでいる。


「ああ、あれが実態だったならそれも意味があったと思う。だが、あれは実体じゃない。あの強さに俺も気が付かなった。あれは傀儡だ。鎧を潰したところで修復されるだけだ」


 そう、プリズムバーストの二連撃で紫の鎧は確かに破壊した。


 だが、ものすごい勢いで修復してすでに、傷一つ残っていない状態だ。そして、こちらに向かってくる。イリーナが指を鳴らす。世界がモノクロに変わった。


「そう長く持たないわよ。次の戦略を立てて」


「わかった」


 俺は今ある情報をまとめた。クロノスがあの紫の戦士を作ることは認めていたということからあれには弱点があるはずだ。


 中身がない。誰かが動かしている。


 では、誰がどこから動かしているのだ。考えられるのはトロイアの鬼才と呼ばれているヤツだろうか。となると、視界を奪うのは一つの選択かもしれない。


「決まったようね。じゃあ、第二戦いくからね」


 そう、世界はまたモノクロからカラーに変わった。



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