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第43話 参加チーム判明 (主人公視点)


 俺たちが訪ねたとき、カーク・エルンスト伯爵はちょうど購入したばかりの剣と盾を持って訓練中だった。

 土螭つちみずちの鱗を原料にして加工された剣は訓練用のわら人形をその支えの支柱ごと両断する威力を発揮しており、盾はその剣ですら難なく受け止めて、無傷である。


 伯爵邸の訓練場と化している中庭に案内された二人は、彼らが持ち込んだ素材の威力を再認識させられた。

「やあ、二人とも良く来た。

 見ての通り、君たちが持ち込んだ素材のおかげで大幅に戦力アップした。

 しかし、同じ装備をスフォルトゲスのチームも持っているかと思うと、油断はできないな。

 ところで君たちは見たところ普通の装備のようだが、その装備でスフォルトゲスのチームと本当に一回戦で当たるつもりか?

 今なら、組み合わせはこちらが決めて明日の会場で発表だから、変更もきくのだが」


 エルンスト伯爵は、俺たちを心配してくれるが、正直いくら装備が良くてもそれを扱う人間の能力が桁違いなのだから俺たちには問題ない。

 特に今回は、時間の関係で剣と盾のみが土螭つちみずちの装備なので、普通に鎧部分や兜部分、小手部分などを攻撃すればダメージを入れることはたやすいと俺は考えている。


「大丈夫です。

 俺たちはその武器防具の素材の元を倒しているんですから、問題ありません」

「そうか。

 それならこれ以上は言わないが、怪我をしないように気をつけてくれよ。

 私の町の試合で嫌な思いをして欲しくないからね」

 俺の答えに伯爵は不安そうな表情を残しはしたが引き下がってくれた。


「それより、大会の組み合わせはどのような計画なのですか」

 俺は早速本題を切り出す。


「ああ、これを見てくれ。

 今回の出場チームは貴族王族関係のチームが4チーム、冒険者関係が5チームでトーナメント方式になっている」

 伯爵はそう言うと、チーム名が書かれたトーナメント表を見せてくれた。


 ①スフォルトゲス伯爵チーム(10人1チーム)

 ②勇者マサヨシとビッチな仲間たちチーム(4人1チーム)

 ③冒険者ヒロチーム(2人1チーム)

 ④エルンスト冒険者ギルド選抜チーム(10人1チーム)

 ⑤王都騎士団チーム(10人1チーム)

 ⑥宮廷魔術師団チーム(10人1チーム)

 ⑦着ぐるみ冒険者チーム(2人1チーム)

 ⑧スフォルト冒険者ギルド選抜チーム(10人1チーム)

 ⑨エルンスト伯爵チーム(10人1チーム)

 一回戦 ②-③

 二回戦 ①-②③勝者 ④-⑤ ⑥-⑦ ⑧-⑨

 準決勝 ①②③勝者-④⑤勝者 ⑥-⑦勝者-⑧⑨勝者

 決勝  ①~⑤勝者-⑥~⑨勝者


「君たちには一試合多く戦ってもらうことになってすまないが、出場チーム数と過去の実績からこうなってしまった。

 今回初出場は君たちの他は②の勇者マサヨシとビッチな仲間たちチームと⑦の着ぐるみ冒険者チームだけなんだ」


 伯爵の説明を聞きながら、俺もカオリも別のことを考えていた。

「カオリ、勇者マサヨシって、これ、あいつだよな……

 まずくないか……」

「ええ、それに王城の騎士団とか宮廷魔術師とか……

 私たち死んだことになっていると思うし……」


 ひそひそ声で相談する俺とカオリにいぶかしげな視線をエルンスト伯爵が送る。

「何か、まずいことでもあったのかね?」


 伯爵の質問にしばらく考えてから俺は答えた。

「俺たちの存在を知られたくない人が参加しているチームがあるみたいなんです。

 何かいい方法はありませんか」


「それなら仮面を付けて参加したらどうだい?

 今回は着ぐるみの参加者もいるみたいだし、そういうチームもたまにはあるからそれほど変なことではないと思うよ」


 また少し考えて、俺は伯爵の提案を受けることにする。

 その上で、もう一つお願いをして見る。

「チーム名も本名はちょっとまずいので、できれば『仮面の冒険者チーム』にしてください」

「ああ、それくらいは問題ない。

 それより、組み合わせはこれでいいのかい?」


「はい、それであれば問題ありません」

 今度は即答し、とりあえず2日後の武術大会を待つことにした。



 ご愛読ありがとうございます。

 タイプミス、変換ミス、人名取り違えなどに気がつかれた方は連絡お願いします。

 

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