第11話 始末人の誤算 (第3師団第5中隊長ベンジャミン・パリス視点)
俺は宮廷魔術師長殿に呼ばれた後、8人の部下を呼び出した。
「パリス隊長、キム以下8名参りました」
「よく来た。
お前たちに例の仕事を任せる。
今回のターゲットはクズ2人と女1人だ。
女は別の使い道を考えているが、後の二人はステータスもゴミ同然だ。
例によって消えてもらえ。
4人ずつが尾行しチャンスを待って森に連れ出し実行せよ」
「はい、分かりました」
「決行は明日以降いつでもよい。
決して他の召喚者に怪しまれないこと。
それでは以上だ」
「はっ、失礼します」
今回も簡単な仕事だ。
25歳の女の方は俺の女にしてもいい。
なかなか美人だったからな、等と考えつつその日は寝た。
翌日、訓練場では俺の中隊を中心に、召喚者の訓練を行っていた。
例のクズどもは鍛えても無駄なので相手をしないように命令している。
25歳の女の方は存分にかわいがった後、俺の部屋にでも連れ込むことにしよう。
俺はキムに命令を下す。
「おい、キム。
あの女を少々痛めつけてやれ」
「よろしいのですか?」
「ああ、後で言うことを聞きやすくなる程度にな」
「了解しました」
キムは嬉しそうに女の方へと近づき、何か話している。
しばらくしてキムがこちらにもどってきた。
「パリス隊長、あの女、何を勘違いしているのか、こちらを見下して相手にしてくれません」
「なに!ふざけた女だ。
俺が直々に痛めつけて自分の立場という者を分からせてやろう」
俺はキムと二人連れだって女の方へと歩いて行く。
「あんた、先生なんだってな。
だが、ここではただの新参者だ。
おとなしく俺たちの言うことを聞いた方が身のためだぞ。
それとも剣より酒の酌の方が得意か?
俺たちはそれでもかまわないぞ」
女は観念したのか少しうつむき、その後顔を上げる。
「わかりました。
それではあなたがたが二人いっぺんに私の剣の相手をしてくださるのですね。
まあそれでも役が不足していると思いますが…」
「こいつ、まだそんな強がりを。
いいだろう。腕の一本でもへし折ってやれば言うことを少しは聞くだろう。
こい」
本当にキムが言うとおりふざけた女だ。片手くらいなら切り飛ばしてもいいだろうと、抜剣して構える。
キムも相当頭にきたのか。俺の隣で抜剣している。
対して女は何故か剣を抜かずに自然体で構え、対峙した。
本当になめているとしか思えない。
もう、こいつはいらんな。
新調したこの剣の試し切りにしてやろうと思ったとき、女の姿が一瞬ぶれて胸に強い衝撃を感じた。
何が起こったのか分からない。
女は平然と先ほどの位置に立っている。
俺の意識があったのはここまでだった。
悪役の名前がかっこよすぎるような気がしています。
その内変えるかも知れません…




