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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

蔵書の女神の箱庭

スタイリッシュ・アクトー

作者:小元 数乃
 此処は剣と魔法と――《アクト》があふれる世界。
 近年になって発達してきた『格闘技の型を保存し、自らの肉体でそれを再生できるようになる自動型再生魔法』=《アクト》は現在では多くの武芸者が所持する必須技能。あまりに早くあらゆる流派の技を会得することができるそれは、現在人間を脅かしている五人の魔王に対する対抗策として、大いなる期待を寄せられていた。
 そんな世界で生まれて育ったギャングの孫――エルンスト・ルキアーノは実家のギャング組織――ルキアーノファミリーを継ぐために日々努力を重ねていた。
 大学に通って教養を身に着け、大学の帰り道には素人さんを泣かせる奴がいないかチェックし、悪友である新聞記者の卵から情報を仕入れ、ファミリーの仲間とも友好な関係を築く。
 そんな風にそれなりに充実した毎日を送っていた彼だが、そんな彼に悪友の新聞記者の卵――レイファンから信じられない情報がもたらされた。
「うちの大学に貴族のご令嬢がやって来るらしいよ?」
 その情報を聞いたエルンストはいろいろと粗忽な祖父が問題を起こしてやってくる貴族と揉めないかと心配になり、大学が終わるとともにルキアーノファミリーのアジトへ直帰する。
 だが時同じくして、ルキアーノファミリーの道場に道場破りがやってきていて……しかもそれはめっぽう強い同い年くらいの女の子。
 ぼこぼこにされるファミリーたちに呆れながら、このままでは示しがつかないと、ひとまず貴族の話は置いておいて、エルンストはその少女を叩きのめした。 
だがその時、道場に顔を出した祖父――バラトーガ・ルキアーノからエルンストは信じられない話を聞いた。
 いわく、今彼が叩きのめした少女こそが近々この町にやってくると噂されていた貴族のご令嬢だというのだ!
 青ざめるエルンストに対し、叩きのめされた怒りに震える少女――プリッシラ・コッレンテ。通称プリスは引きつった顔のままエルンストに挨拶をすませるのだった。
 こうして、エルンストとプリスの初対面は最悪の状態から幕を開ける。
 その後、ともに大学に通いながらリベンジを誓うプリスに付き合い、下着泥棒を捕まえたり、毎日模擬戦を挑まれたりと……割と大変な毎日を送るエルンスト。
 まさかそれが自分の家が全焼してしまうほどの事件の幕開けになるなど、この時のエルンストはまだ知らなかった……。
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