42話 天災と災害 後編
「クリスタル!今から新技使うから後の指示は全部任せた!」
離れた距離にいるクリスタルへと大声で支持を出す。魔法に集中したいので、これだけで十分だ。
クリスタルだけは俺の修業を見ていて電撃魔法のことを知っている。
利口なクリスタルなら、この状況から俺が何をしたいのかも察してくれるだろう。
「承知しました。リンネルとメアは門の下まで避難してください。————《アクセス》」
するとクリスタルが側にある光の門を一度閉じて、再度傘のように頭上へ展開する。
そこに首根っこ掴まれて子猫のように運ばれたリンネルと、クリスタルに抱えられたメアが入る。
光の門の真下にいる以上は、上空から来る灰色カラスの攻撃は安全だ。
俺もバルに守られるのではなく、本当はそうしたいのだが、この魔法には視野と空間の把握が必要である。
「アカボシは上空からの攻撃に注意しながら私と共に残りの殲滅と囮役を、メアはここから死体を操りDPの回収作業を、リンネルは地上相手からメアとセカイ様の護衛を、バルは上空の攻撃だけに対処を、それで皆さんお願いします」
『了解です!』
クリスタルが的確な指示を飛ばす。
お陰でこちらの魔法の発動準備を集中して取り掛かれる。
しかし雷を発生させるには、時間がまだまだ必要である。
「うおおおお!」
バルが跳び上がっては膨れ上がった筋肉と大斧で、はるか上空から飛来する土槍を撃破する。
掌ほどの岩であっても、上空から落とされれば結構な威力になる。
それが人の大きさもある土槍や岩を落としてくるのだ。
更に嫌らしいことに、灰色カラスはしっかりと狙いを付けて土属性魔法を広範囲に散布する。
「はあっ!!」
バルは直撃しそうな岩を見極め、誰もいない安全な場所へと逸らす。
大斧は風属性魔法の風球を備わり、インパクトの瞬間に破裂して、威力が増すようにしている。
しかしそれは、同時に使用者にも反作用の衝撃が伝わるので負担も大きい。
ただでさえ、大斧の攻撃力を上げるために重量と大きさが馬鹿にならない。
このままでは、先にバルが故障することだってある。
「まったくお前らはよくやるよ」
「それはきっと、セカイ様に似たのです!」
独り言として呟いた言葉から、唐突にバルの方から返事がきた。
俺に似たってどうなんだろう?
実際に根気が無かったから、クリスタルを人型ダンジョンにしてまで、冒険に出ようと思っていた。
またそのおかげで強い敵と闘わずに逃げる選択肢だって常にある。
そのため俺のダンジョン運営は、敵の実力を見極めた上で確実に叩く、やばかったら逃げるがモットーである。
神になると言いつつ、安定志向を捨てきれないのだ。
しかしその言葉には悪い気がしなかった。
それは眷属の信頼を間近で感じることができて、またバルの様子もまだ大丈夫そうだと判断もできたからだ。
おかげで遂に第一段階の魔力散布が完了した。
魔法で落雷を発生させる。
落雷といえば、誰もが思う自然災害の一つだ。
土属性なら地震、水属性なら豪雨、火属性なら噴火、そして風属性なら台風からの落雷を想像していた。
そして俺は落雷を、天井の低いダンジョンでは満足に実験ができなかったも魔法の型までは既に完成していた。
あとは実際に広い大空の下で試すだけであった。
落雷の第一段階が、大空に魔力を放出して、水蒸気と魔力で雲を作ることだ。
それには高度な魔力操作が重要だが、ここは湖の側であるため湿気も沢山あって大分集めるのが楽である。
俺は魔力を大分消費して、灰色カラスの更に上空に大きな縦長の黒雲を作りあげる。
この雲は自然発生ではない、完全な人工物である。
次は第二段階。
黒雲の中にある氷の粒を操り、それぞれ擦れ合わせて静電気を発生させる。
今、この雲は全て俺の支配下にあるため、粒の一つ一つが手に取るように認識できる。
それはまるで雲自体が新たな体だと錯覚をしてしまう。
またこの時、冥途の館のダンジョンマスターであったホラントが使った氷属性魔法も思い出して、魔力から氷が発生する現象をイメージしやすくするのだ。
マイナスの電気を帯びた重い氷塊は黒雲の下へと移動し、プラスの電気を帯びた氷の粒は黒雲の上へと分かれる。
更に大地にもプラスの電気が帯電し始める。
雷の発生の仕組みは、たしかこんな感じだった。
これで科学的な作業が終わり、後は魔力を使ってひたすら試行錯誤をするだけだ。
大丈夫なはずだ、すでにダンジョンでは電撃を使うことができたのだ。
落雷くらい、創造してみせる。
試行錯誤を続けて僅か5分で、黒雲の中からゴロゴロと音が聞こえ始める。
やっと雷雲ができた。
また音と同時に、痛いほどの激しい雨も降り始め、それには灰色カラスも「くあ!?」と鳴いて動揺を示している。
「す、すごい」
「急に大雨、降ってきた」
リンネルとメアが、雨が降るまでの過程をまじまじと見ていたはずだ。
ゲリラ豪雨のような雲は30分ででき上がるという。
しかし風を意のままに操ることで、これほど早くに完成するとは魔法が常々恐ろしい物だと思う。
雲もできた、雷もできた、後は目標に向かう道を標すだけだ。
雲と灰色カラスの間に落雷の通る道を作る。
「バル、よくやってくれたぞ。これで終いだ」
「勿体無きお言葉です」
本当にバルにはここまで、よく働いてくれた。
おかげでこちらは傷一つだって与えられていない。
逆にバルは大量の汗を流し、膨れ上がった筋肉も震えていて疲労が伺える。
バルをしっかりと休ませるためにも、早い所灰色カラスと決着をつけようか。
そして最後に落雷を誘導するための、電気を帯びた魔力の塊を灰色カラスの真下で破裂させる。
これが言うなれば落雷のスイッチだ。
「悪いなカラス、これが天災と災害の差だ。落とせ—————天雷」
「くかッ!?」
閃光
忽ち周囲の世界を明るく染める。
しかしそれも一瞬で、闇夜の再来に共をして、耳を侵すほどの雷鳴が轟いた。
目で捉えられたのは、光の矢が空中のカラスに容赦なく突き刺さった事後だけである。
一瞬の音と衝撃が、意識を空白にした。
凄かったと、身体の震えが治まらないほどの光景を目にして心が昂ぶる。
あれを俺が発動した。
「父様、あれ」
「あ、そうだった」
しかし感動も束の間、メアが黒焦げになって落下する灰色カラスならぬ炭色カラスに指をさす。
そのため慌てて残りの魔力を使い、カラスの体を風で包み、落下の衝撃を弱める。
天雷の使用魔力は、雲を作ることから計算しても、フルの状態から半分の魔力を消費するほどだ。
今回は実験の名目だったが、この魔法は魔力量と発動時間のせいで、今のままだと実戦で使えない。
「お見事です、セカイ様!」
「ま、いい経験になったけどな」
しかしクリスタルがご機嫌な様子で称賛してくれるので、今は良いとするか。
これは風属性魔法を使った新たな魔法で、これから電気系統の魔法も含めて雷属性魔法と呼ぶことにした。
より科学的な方面で発達したため、雷属性以外にもまだまだ他の属性も使えるだろう。
「ほら、リンネルも怯えてないで行くぞ」
「べべべべつに、怯えてませんし」
眷属の中ではリンネルだけが雷を怖れている。
今も腰を抜かせたのか、立ち上がることもままならないので、アカボシの背に乗せている。
雷が木の天敵な感じで、怖れてしまったのだろうか。眷属を連れて今回の主犯格の傍まで来る。
「さすが上級上位の魔物だな。あれを食らってもまだ生きている」
「く……あ」
それに意識もまだ残っているようだ。
灰色カラスは落雷を受けてぐったりとしているが、俺の風属性魔法で着地の衝撃から保護したので落下ダメージはない。
この灰色カラスは飛行種であるが、隠密能力や土属性魔法にも優れて、個体の能力としても非常に優秀だった。
それは人一人は乗せて飛行もできそうなので、ぜひ仲間に加えてみたくて助けたのだ。
魔物が人間を襲うことは当然で悪事とも言えないので、仲間になっても気にすることはない。
大切なのは、能力と忠誠心だ。
神を目指す以上は、多少道理に外れていようが、人材収集を怠るつもりもない。
最悪な場合は俺が改心させてみるまでだ。
「カラス、お前は俺に仕える気はないか?お前をここで殺すのが惜しい」
「……」
どっちなんだ、灰色カラスの反応はない。
しかしカラスの黒い瞳からは強い意思が伺えた。
「くっくっく……くぅあ!」
「危ない!」
すると灰色カラスの嘴が大きく開くと、目の前の俺を目掛けて、口の中から土槍が放たれた。
瞬時にクリスタルがその間に入り、盾になろうとする。
しかし、その土槍はクリスタルの体に触れる前に、風の防御壁によって弾かれた。
「そうか……とても残念だ、クリスタル」
「はい」
勧誘の答えは俺へと放たれた土槍から分かる通りノーらしい。
それもそうかもしれない。
灰色カラスの眷属を全て殺して、その主にだけ勧誘をするのは図々しいことだ。
一応の警戒として不可視の鎧の上位で、広範囲の防御壁を発動していたのが役に立った。
そしてクリスタルが灰色カラスの討伐証明部位を残して止めを刺し、残りの部分をDPに変換させる。
「今回はその……残念でしたね、私も——」
「気にしてない。といえば嘘にはなるが、こればかりはしょうがないからな」
クリスタルの言葉を遮り、なるべく明るい声で返事をする。
それに飛行種はダンジョンの中では戦力として弱い。
ダンジョンは飛行種の力が十全に発揮できるほど広くはないのだ、と合理化する。
それに落ち込んでいると、眷属に無用の心配もさせるので、早々に話を切り替えることにした。
「それで今回の魔物災害でどれだけのDPを獲得した?」
今回の獲得DPは多いだろう。
ダンジョンの魔物以外では、灰色カラスは過去最強で、率いる眷属の数も500体はいたからな。
するとクリスタルが抑揚の取れた声色で、説明してくれる。
「先ほど倒した灰色カラスの個体名を、幻影鴉と申します。そして今回獲得したDPは合計で3265DPです!ミラージュレイヴンが1300DP程で、残りの2000DPが眷属、と考えればよろしいです」
「おお!……いのか?」
如何せんダンジョン攻略の十数万DPに慣れたせいか感覚が肥えているようだ。
しかしこれは眷属たちが初めて出した成果だ。
褒めるのも主の務めである。
「いや多い!こんなに大量のDPを獲得したのは初めてだろう!お前達はよくやってくれたぞ!」
上級中位の多頭蛇を変換したときは350DPほどだった。
しかしミラージュレイヴンが上級上位で魔物災害の主だったのが、これほどまでに差がでたのだろうか。
そして何よりーー。
「これで一つの問題が解決したな」
「はい、直ちにアカボシには北の森を目指して走って頂きましょう。大丈夫ですよね?」
「グオン!!」
他の眷属をダンジョンへ帰して、二人でアカボシに乗る。
時間はまだ村を出て二、三時間しか経過していないために、タイムリミットまでまだまだ余裕がある。
魔物災害との戦闘は、我らの圧勝で幕を閉じたのであった。
◇◆◇◆◇◆
「これでもういいか?」
「うむ、よくぞ依頼を解決してくれたのじゃ」
時間は早朝。
村は今、お祭りムードである。
俺たちは魔物災害よりも薬草採取に時間を必要とした。
月の明かりはあるものの、真夜中の森の中で小さな薬草を探すのは大変苦労したのだ。
例え夜目の身体能力があってもだ。
目的のオオバキ草がいくら探しても見つからないのに、別の希少な薬草をリンネルが大量に見つけて、余計に歯痒い思いもした。
そのため最終的にアカボシやアカリヤ、ウリィなどの火を扱える魔物たちに命令をして、灯りを出させたくらいだ。
探すこと五時間でようやく目的の薬草を見つけることができた。
しかし、それを見つけたのがクル湖の回りで暮らす、妖精種のリャナンシー達であって俺たちの成果は散々であった。
まるで戦闘しか能がない人間の気分を味わい、珍しくクリスタルも気持ちが沈んでいた。
因みにリャナンシーとは本体がサンザシの樹に宿り、人の肩に乗れるほどの小さな妖精の姿をしている。
彼女らはこの度に魔物災害の被害にあったそうだ。
そのため樹の枝は折れ、葉が落ち、実も一つとない可哀想な裸樹だったので、そのリャナンシーの四人をダンジョンへ勧誘した。
すると来てくれることになったので、木を引き抜き居住区のマナーの側に植えなおした。
妖精種にはいい子が多い。そして居住区のイメージアップにも貢献できる。
そのためこれからも他の妖精種を積極的に勧誘していこうと思った。
明け方、村に到着して村長にミラージュレイヴンの嘴を渡すことで、魔物災害が解決したことを村人の全員に伝わった。
同じ冒険者仲間の人には悪いが、功績は全てこちらの総取りである。
これも四ツ星ランクに昇進するためだ。
ランクはもうルーキーでもないので、能力を自重することも止めたのだ。
その後すぐにヌゥ婆の下へと駆け寄り、約束していた薬草も無事に渡して子どもを助けることができた。
一応で子どもの安否確認として、早朝までは村で待機とダンジョンに足りないものの補充を行った。
村人の感謝の気持ちとして、食べ物や織物を安く売ってくれたのが、思わぬ幸いだった。
「これでもういいか?」
「うむ、よくぞ依頼を解決してくれたのじゃ」
今はダレンの家にて、ダレンとヌゥ婆と俺たちしかいない。
ヌゥ婆からは依頼達成のサインの書かれた紙を貰った。
これは村長が出した魔物災害の緊急依頼で、冒険者が依頼を達成したことの証明書だ。
これを冒険者ギルドまで持っていくと、相応の成果として見てくれる。
ヌゥ婆は村での権力も強いらしく、俺たちが勝手に魔物災害の討伐で村を出たことの説得をしてくれた。
「お前達には本当に感謝している。息子の命を救ってくれた礼はちゃんとする」
「うんうん」
これが一番大事だ。
バロメッツのために、俺たちがここまで働いたのだ。
結果として眷属の腕試しと、家畜のゲットと、新魔法の実験と、けっこうなDPの獲得と、新たな妖精種の仲間などと良い事がいっぱいあったが、全てはバロメッツのためなのだ!
よく考えると、俺たちに良い事しかねぇな。
「しかし法律では、バロメッツの譲渡が禁止されている。だから先ずはこれを受け取ってくれ」
するとダレンからは魔物災害の緊急依頼と同じ用紙の紙を渡された。
しかし俺はまだ文字がしっかりと読めないので、クリスタルに渡す。
「これも村長が冒険者に直接出す緊急依頼だ。しかし書かれている内容が魔物災害の物と違う」
「バロメッツの保護ですね」
クリスタルが会話に割って入り説明してくれる。
「そうだ、お前達がその不思議な手袋から道具を召喚するのを見た。そこで俺はお前にバロメッツの保護を依頼したことにする」
「これは譲渡じゃない保護なんだな?」
「あぁそうだ、このままお前達が魔物災害を解決していなければ、バロメッツも全て魔物の餌となっていた。だから俺は魔物災害が解決される前に、バロメッツの保護を依頼した」
ダレンはテーブルの上に用意してあったバロメッツを解体した肉と種の二セットを並べた。
「悪いが俺にできるのは、ここまでだ。息子を救ってくれたことは本当に感謝している」
「いや、それで十分だ。こちらこそ手間をかけたな」
「…………ふぅ。そうか、そう言ってくれて有難いよ」
ダレンからは緊張の解けた息が漏れる。
どうやらダレンは、俺がその案に満足しないかもと恐れていたらしい。
だがダレンからは、できる限りの誠意を見せてもらった。
それは最初に俺はバロメッツを一匹でいいと言ったのだが、ダレンは二匹分も与えたのだ。
一匹のバロメッツからはそれぞれピンポン玉ほどの種が二つもある。
合計四つの種があれば、リンネルが上手くやってくれるだろう。
「よし、ダレン坊もお主もそれでこの話は終いじゃ。それでいいな?」
「ヌゥ婆もありがとな」
「それでいい」
こうしてバロメッツの取引は俺たちとダレンとヌゥ婆と村長だけの秘密となった。
この依頼書を持っている限り、俺がバロメッツを持っている所を見られても、保護していると言い切れる。
そもそもバロメッツをダンジョンの中で育てるので見つかることもない。
例え見つかってしまってもダンジョンの中は治外法権だと言い逃れをするつもりだ。
「俺たちは村を出るよ」
クーシャル村の外れで、ダレンとヌゥ婆に見送られる。
「まだここにいろよ、息子に恩人の顔を覚えてもらいたいしさ。バロメッツのことも色々と教えてやるぞ」
「それは魅力的だな……だが俺たちもまだ目的地の途中なんだ」
「そうか、もし今度村に来た時はここに必ず寄ってくれよ。それとバロメッツを育てるなら魔水の濃度に注意をしな」
「ありがとう。魔水?」
「バロメッツは、このクル湖の水でしか育てられないんだ」
それはいいことを教えてもらった。
帰りにクル湖の水を大量にダンジョンへ入れていくことにする。
だがリンネルができると豪語した以上、それほど心配もしていない。
口では決して言わないが、これでもリンネルは農作業において天才だ。
「だってさ、分かったかリンネル?」
「魔水ですね、試しに飲んでみます!」
とか言っているし。
ダレンは飲んで分かるかと笑っているが、リンネルならそれくらいは直感できるから恐ろしい。
さすが植物種のアルラウネだ。
「ではまたな」
「おう、村に来る時は美味しい羊肉でも期待しててくれ」
別れにダレンと握手を交わす。
この異世界に来ても、握手をコミュニケーションに使う文化は変わらないらしい。
そして俺たちはクーシャル村を出て、次の目的地へと出発した。
◇◆◇◆◇◆
セカイ達を見送ったダレンは呟く。
「あいつらはいったい何者なんだろうな」
突然現れ、息子を治療するための高価な薬を持ち、魔物災害の相手をするほどの実力を備え、そして翌朝には薬草を携えて戻ってきた。
いくら何でもそれは早すぎる。
「ヤツはわしと同じで人でないのぅ」
「やっぱりそうなのか?」
ヌゥ婆の答えに全てを納得した。
ヌゥ婆はこう見えてずっと婆である。
それはダレンのずっとずっと親の代からも変わらない。
その秘密を知っている者も村の中でも数少ない。
そもそもヌゥ婆の存在事態があまり公にもされないのだ。
「しかもわしみたいなドルイドと違ってもっと強大じゃった。無論わしのことも気づいておったわ」
「でも、悪い奴ではなかったよな」
「そうじゃな」
だったら何もする必要はない。
ヌゥ婆と同じように、畏敬の念と感謝の心を持ち続けるだけだ。
力無い者が長生きするために身に着けた処世術である。
人型移動式ダンジョン"クリスタル"
DP:67,975
二章はあと数話続きます。




