閑話 クリスタルの日記という綴の1章人物紹介
閑話です。
年月は年の初めを青月とし、青→青緑→緑→黄緑→黄色→橙→赤→桃→紫→紺→青月と一周します。簡単にいうと色相環です。
桃月の12日
今日私は、セカイ様に嘘をついてまでこの日記帖を買っていただいた。
それは気恥ずかしいという理由でもあるが、一番の理由は私がこうして日記を綴っていることを誰にも知られてほしくなかったからである。
とはいえいつの日か、私がこの日記を大分書き記すことができたなら、まとめてセカイ様に読んでいただきたいと思っている。
そして明日はいよいよ天災級ダンジョンを攻略する日である。
私の役割は前回同様この身でダンジョンマスターの攻撃を防ぐことである。
またそれと同行する二人の護衛も任されている。
なんとしてでもセカイ様の期待に応え、最高の結果でダンジョンを攻略していきたい。
桃月の14日
昨日私たちは無事にダンジョンを攻略することができた。
途中大切にしていた髪を切るという事故もあったが、短い髪も綺麗だと言ってくれたセカイ様には感謝の言葉がでないほど嬉しかった。
またシィルススさんが髪留めを着用できるように、髪を綺麗に整えてくださったのが有り難たく。
そのおかげでセカイ様より頂いた、この色天一乃華をまたお見せすることができた。
そして私たちのダンジョン運営が始まる。
これから例えどれほどの困難と出会おうとも、私は私の役目をしっかりと果たし、主の願いに応えるまでだ。
これより今まで出会った人物をまとめてみる。
・セカイ 種族:ダンジョンマスター 階級:天災級 属性:風
私たちの主であり、ダンジョンである私に生命を与え、私と生死を共にする唯一無二の存在。
セカイ様は地球という別の世界から転生したらしい。
しかしその時の記憶を、主に思い出を失っているため、酷く不安定な性格をしている。
思い出そうと日頃苦難している様子は私も見ていてとても辛いです。
そのため常に私たちがセカイ様を想い支えてあげる必要がある。
最近は漸くダンジョンの運営をできたことが嬉しく、鼻歌が聞こえるほどである。
私たちはその笑顔に安心をした。
・クリスタル 種族:ダンジョン 階級:天災級 属性:人
この度セカイ様が天災級になられたことで私もまた大きく成長した。
まずはダンジョンの魔物召喚、魔法道具製作、ダンジョンの改装など喪失した機能を冥途の館のダンジョンコアから取り戻すことができた。
また人型の体もより硬く、動作も早く円滑に働けるようになった。
魔法は未だ使えないが、このまま成長していけばいずれ使える日も来るのかもと期待している。
・アカボシ 種族:ヘルハウンド 階級:上級上位 属性:火、闇
フェルホック湿地帯にてセカイ様と決闘し破れたことで眷属となる。
初めは中級上位の黒妖狼であったものの、無事に上級のヘルハウンドへと進化を遂げる。
彼の力の本質はスピードであり、本気を出せばセカイ様でも容易に捉えることはできない。
高い知能を持ち意思の疎通も可能であり、言うこともちゃんと聞くお利口さんである。
ただし好みの食事は亜人系肉であり、時々セカイ様が引き攣るので、見えない所で食事してほしい。
・アカリヤ 種族:ウィルオウィプス 階級:中級中位 属性:火
冥途の館にて仲間となった魔物。
実は二階層で私を襲ったウィルオウィプスであり、仲間になった後は個人で謝罪をしてきたほどのしっかり者である。
またホラントさんと同行して先陣を切って奇襲したように、主に対する忠誠心も高いと見て取れる。
私たちがダンジョンを攻略した日は、傷もまだ癒えていなかったらしく慰労していたらしい。
・ティラノ 種族:キメラスケルトン 階級:中級中位 属性:なし
冥途の館にて仲間となった魔物。
元は上級上位のキメラスケルトンであったらしく、私たちとの戦闘で破壊された魔石の欠片から新たに誕生したキメラスケルトン。そのため能力は上級と比べ大きく弱体化している。
果たして男の子なのか女の子なのか気になるところ。
・ウリィ 種族:ジャックランタン 階級:中級中位 属性:不明
冥途の館にて仲間となった魔物。
悪戯好きのお調子者でマイペースな困ったちゃんの男の子?。
私に散々悪戯をしたことを、本人も気にしたそぶりを見せないため案外豪胆なのかもしれない。
セカイ様はそんなウリィに苛立ちを隠せていないのが、何だか二人を見ていて可愛いらしく思える。
属性はない、のではなく不明と本当に不思議な魔物である。
・ヴィルゼス=レオニル 種族:人間種 職業:五ツ星冒険者
実は祖父が人魔種であり、その血も濃いため生まれながらに魔法適性と魔力量などの優れた人物。
主に行う冒険者の依頼も人気のない依頼やヘルプばかりのため、魔法の才能は六ツ星でもおかしくないのだが、五ツ星にいるらしい。
この度、ウェンバロン支部冒険者ギルドの一番人気である受付嬢のシィルススさんとお付き合いする偉業を成し遂げた。
性格は気さくながら誠実であるため誰よりも信頼の厚い。
しかしもう少し身だしなみに注意しないとシィルススさんに嫌われるかもしれない。
・シィルスス 種族:人魔種エルフ族 職業:冒険者ギルドの受付
人の中でも長い寿命を誇り、精霊魔法も扱うエルフの一族。
50年前の人間種との戦争で幼少より故郷を追われることとなる。年齢はまだ57歳とエルフにしては若い方であるが成人はしている。
属性魔法の才能はないが、生まれながら精霊に愛される才能を持ち、しっかりと修練を積めば最強の精霊魔法使いになっていた可能性がある(ホラント談)
誰にでも物怖じせず平等に接し、優しく気品のあるため冒険者からは女神のような存在。
しかしそれは子供の頃に冒険者ギルドで矯正されたらしく、戦争から数年は結構荒れていたらしい。
私も心の底から彼女には幸せになってほしいと願っている。
セカイ様は、レオニルさんとの間に子どもができたのならご祝儀を持って参上する。とまで言われておりました。
・ホラント 種族:ダンジョンマスター 階級:天災級 属性:闇、火、氷(精霊魔法を用いて)
生前がエルフのゴーストであり、冥途の館のダンジョンマスターである。
身体能力は低いものの魔法を扱う能力は類を見ないほど多才で、魔法道具を作る才能も高い。
セカイ様曰く、正常の状態でならまず勝つ可能性はなかったそうである。
平静になると温厚な人柄で色々とダンジョン運営をするにあたってアドバイスもくれた。
最後は満足した顔で皆に見送られ昇天した。
以上でこれまでに出会ってきた親しい人物の紹介を終えることにする。
桃月の17日
敬愛する主であるセカイ様が天災級へと進化を果たしたことで、私もこうしてダンジョンの中で実態のあるもう一人の分身を作ることができた。
また着実にダンジョン運営も始まっており、階層や仲間も増え、この間は遂に家も建てることができた。
そのためここは私に与えられた個室である。
また最近私は日記を書くことの有用性を感じている。
その日あったことの出来事を振り返り記録に残すだけではなく、自己を客観的に見つめなおすことで、気持ちの整理・心の平定・思い出の再体験・人格の形成などを促すことができる。
セカイ様が文字を完璧に覚えてたのなら、日記を書くことを勧めてみるのもいいかもしれない。
◇◆◇◆◇◆
調度クリスタルが日記を書き終えた所でドアがノックされる。
ダンジョンであるクリスタルにはダンジョン内であれば相手が誰だか見なくても分かる。
「おーい、クリスタル。メアがまた駄々を捏ねだした。相手してくれないか?」
「承知しました、只今向かいます」
そしてクリスタルは日記を大切に棚へと保管し、ダンジョン運営に勤しむ主の下へと向かいだす。




