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故に存在する世界  作者: 鳴指 十流
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ママの卵を潰したい

 時の狭間から来たラッパに見える男の入ってくる丘に、カマキリの巣があり、そこにママが出入りしているのを見てしまった。

 使い道もないため、特にやることもなくママは捨てられていた。そこを僕が拾ってあげた。それなのに、ママは浮気をしてるんだ。ふざけやがって。アリを潰すのも楽しいけれど、もっと楽しいのはママの卵を潰すことだ。ママは一日に百万個のミミズのような形状をした卵を産む。いつも水草の匂いがしてくるので、カタツムリの殻を用いているのかきいたら「うふふ。腕が長いのね」と言ってママは微笑む。昔からこうなのだ。少し脳みそを半熟卵と勘違いしているのか、もしくは、ゴミの回収日にトラックを破壊することに快感を感じているのか、分からないが、一つだけ言えるのはママが現在進行形をこよなく愛する男を嫌っているということだった。駅に行ったときも、電車を前の夫と見間違えて危うく死にそうになった。消しゴムからトンボの目の中に見える世界を壊したい衝動に駆られる。消しカスは消しカスでしかないのだ。容量がおかしい。

 扉からママが出てきた。腕にカマキリが一匹。潰したい、と僕は思った。エレベーターに乗って潰したい。

 何を?

 ママの卵を。

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