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故に存在する世界  作者: 鳴指 十流
11/13

ぐにゃぐにゃな猫

「おーい、トマンボー。トマンボー」

 誰かの叫ぶ声がする。トマンボって、この猫の名前だろうか。変わった名前だ。

「トマンボー。トマンボー。トマンボー。トマン……。もういいや。行こうよ、タマ」

 声が止んだ。タマと呼ばれる猫の鳴く声がする。どちらかといえば猫というよりライオンだった。

「最近は動物を見た目で決めるやつがいて困る」

 私は独り言を言った。トマンボと呼ばれるこの猫は、ぐにゃぐにゃな体をより一層ぐにゃぐにゃにさせて、鳴いた。

「ペペロンチーノ。ペペロンチーノ」

 変わった鳴き声だ。私も鳴いてみようと思った。どうやるんだろう。喉に雷を落とす感じで……。こうかな。よし、いくぞ。

「ゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロ」

「ペペロンチーノ。ペペロンチーノ」

 私の鳴き声とトマンボの鳴き声が重なる。

「ゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロ」

「ペペロンチーノ。ペペロンチーノ」

「ゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロ」

「ペペロンチーノ。ペペロンチーノ」

「ゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロ」

「ペペロンチーノ。ペペロンチーノ。ペペ……。もういいや。行こうよ、トマンボ」

 声が止んだ。

 私の体は水となり、いつしかその水も全て蒸発した。

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