どーでもいい三男登場3
朱雀大路を歩きながら
頼信「なんか本当にどーでもいい話すぎて、題名に怒りを覚えなくなってきた」
親孝「どーでもいい三男でも、どーでもいい登場でもなく、三男が登場するどーでもいい話なんですよ」にこにこ。
頼信「それはそれでどうかと思うけどな」そっけなく。
親孝;「い、いえ、三男が登場するからどーでもいいのではなく、三男が登場するのにどーでもいい……つ、つまり、どーでもよくない場合もありまして、今回は、その、ゆるりと頼信様のプライベートを……」必死ながらも気弱な笑み。
頼信「あ、着いた」完全無視。
親孝;「……」気弱な笑み。
頼光邸
頼信「というわけで遊びに――」母屋に入りながら。
頼光「来ると思ってたぞ」何か書いてた紙から、顔を上げて。
頼信「……」
頼光♪ にこにこ
頼信「帰る……」
頼光!?「ちょ、ちょっと待てよ……! 何で――」
頼信「……驚かせようと思ったのに……」兄にすねてみせる弟の演技。実は相手の予測通りに動いてしまったのが気に入らないだけ。
頼光;「まぁ座れよ。酒、呑むだろ?」
頼信「一番いいやつな。あと飯も」兄にわがままを言う弟の演技。
頼光「分かった、分かった」苦笑。出ていく。
頼信「頼親兄さんの家で食べ損ねたからな、腹減ってたんだ」平然と。
親孝;「……頼信様、大和からここまでそんなにすぐ来られないのでは……」気弱な笑み。
頼信「面倒臭ぇこと言うなよ。ど○えもん捕獲したってことにしとけ」
親孝;;「……」気弱な笑み。
頼光「何つかまえたんだ?」瓶子と杯をもって入ってくる。
頼信「ど○えもん」
頼光「すごいな?」
頼信「これ、一番いい酒?」
頼光「ああ、美味いぞ。料理も今用意させてる」
頼信「まあまあだな」酒を呑んで。
頼光「そうか? 美味いと思うけどなぁ。……あ、そうだ、これ」初めに何か書いてた紙、渡す。
頼信「……」頼信宛の手紙~。
頼光「この前、お前から『また遊びに行く』って文があって、そのまま何の連絡も来なかったから、『来ねぇの?』って文を書いてるころに本人が来るだろうと思って」にこにこ。
頼信「頼光兄さんってすごいよな」真顔で。
頼光「うん?」何が?的な顔。
頼信「まぁこんなどーでもいい部分しかすごくないのが残念――」杯に口をつけて。
綱「頼光様はすごいです!! お料理お持ちしました!!」料理乗せた高坏もって走ってくる。
頼信「こぼすぞ」
綱「頼信様! さっきのお言葉、聞き捨てなりません!」料理をドンと置いて。
頼信「事実だろ」
綱「剣の腕は!?」
頼信「……」←頼光に勝てたことない。
「それは当然だ。そこもダメだったら、とっくの昔に俺が跡継ぎの座を奪ってる」
頼光「頼親は?」
頼信「あの人はなんとでもなるだろ」
頼光;「……」苦笑。
綱「頼光様はそれ以外にも、たくさんすごいところがおありです。猫にも好かれるし、昼間に寝ても夜もきちんと眠ることができる。満仲様の前では、良い子にする演技もお上手。とにかくすごいんです!」超真剣。
頼光//「そ、そんな褒められても……」
頼信「バカじゃねぇの」
親孝;「……」困った笑みを浮かべながら、様子を見てる。
頼信「おい」親孝を睨む。
親孝;「は、はい」
頼信「お前も何か言えよ」
親孝!?
頼信「俺のすごいとこ。つーか、綱に対抗して自分から言い出せよな」
親孝;;;「も、申し訳ございません……。えっと、頼信様は………えっと……その……………あの……」冷や汗を流しながらも気弱な笑み。
頼信 舌打ち「つまんねー家来持ったな。頼光兄さんが羨ましいや」
親孝;;;;;;;「も、申し訳……」泣きそう。
頼信「マジで頼光兄さんの四天王、ほしいんだけど」料理食べながら。
頼光「それはダメ」穏やかな笑み。
頼信「一人でいいや。綱はうるせぇから嫌だけど」
綱怒「俺は頼光様以外の人になど――」
頼光「嫌じゃくてもダメ、な?」綱を引き寄せて、にっこり。
綱//「……はい」小声。
頼信(うわぁウゼェ)
綱//「で、では、俺はそろそろ退がりますね……」出ていく。頼光、優しい笑顔で見送る。
頼信 気を取り直して「じゃ、金時――は、あのおどおどした感じが親孝に似ててちょっと嫌だな。季武は、巫女を家来にしてると思われたら困るし……あいつ、命令したら男装するか?」
頼光「しないと思うぞ」
頼信「頼光兄さんのとこ、変なヤツばっかだよな」
頼光「そうか? まぁとにかく、金時も季武もダメだ」
頼信「あっ、じゃあ貞光! 俺、あいつがいい。静かだし、腕は立つし、頭もいい。主君には忠実だろ」
頼光「え? 貞光か……あ~……。……だ、ダメだからな!」慌てたように。
頼信「今の間はなんだ」
貞光「失礼いたします。追加の御料理をお持ちしました」料理もって入ってくる。
頼光・頼信「……」
貞光「では、ごゆっくり――」出ていこうとする。
頼光(き、聞こえてなかったよな?)頼信にアイコンタクト。
頼信(大丈夫じゃね? つーか、さっきすぐダメだって言わなかったのは、ちょっと迷ったってことか)
頼光;(ち、違うぞ! 迷ったんじゃなくて、ダメだという気持ちがすぐ湧いてこなかったんだ!)
頼信(ダメじゃねぇか)
貞光「あ」
頼光!?「……ど、どうした?」
貞光「先ほど、ど○でもドアを拾いましたので、満仲様にご挨拶に伺いました。今、頼信様がおいでだと申しましたところ、準備ができ次第、そちらへ参ると――」
頼信「逃げるぞ親孝」
親孝「えッ……」
頼光!?「よ、頼信ちょっと待て俺も――」頼信を追おうとする。
貞光「頼光様」袖をつかむ。冷めた目無表情。
頼光;「……」
貞光「満仲様に、頼光様がいらっしゃらない理由を聞かれたら……私は主君の父に嘘を申すわけには参りません」
頼光「で、でも頼信も――」
頼信「俺、急用を思い出した!」走りながら振り返る。
貞光「それなら仕方ありませんね」
頼光;;「お、俺も用事が……」
貞光「ないですよね」冷めた目、無表情。
頼光::「さ、貞光、悪かった……」
貞光「何がです?」冷めた目、無表情。
頼光;;「……いや、あの……」
貞光「何がです?」超冷めた目、無表情。袖離さない。
外。
頼信「危なかった」平然と。
親孝;「父上にご挨拶申し上げたほうが良かったのでは?」気弱な笑み。
頼信「俺たち兄弟はあの人を見ると寿命が縮む呪いにかかってんだよ」
綱「あ、頼信様」心を落ち着かせるために、堀川まで行ってた。
頼信「頼光邸に鬼がくるから俺は帰る。せいぜい、頼光兄さんを守ってやってくれよ」さっさと歩く。
綱?
親孝「あ、綱殿」踵を返して、綱のもとへ。
綱??「何だ」
親孝「さっきは申し上げることができませんでしたが……」ちらりと後ろを見て、頼信がすたすた歩いていくのを確認する。「頼信様は、本当は頼光様のことをすごく尊敬していらっしゃいます」
綱「……そうは見えないが……まぁ頼光様が尊敬されるのは当然だしな」
親孝「それに、頼親様のことも本当はすごくお慕いしているんですよ。そういう気持ちをお持ちなのに……お二人に頼らず、未来を見つめていらっしゃる。頼信様のすごいところです」にこにこ。
綱「頼信様の前で言えないわけだ」ちょっと笑う。
親孝「はい。照れて、怒ってしまわれますから」にこにこ。
頼信(……今日は、あの場で言わなかったことに免じて許してやるか)
END
こんな話まで読んでくださったかた、本当にありがとうございます! 頼信の誕生日ということで・・・。
今昔物語に、頼信が親孝の子どもを助ける話があるんですが、その頼信がもう・・・! 幼い息子を盗賊に人質にされ、頼信に泣いて助けを求める親孝。頼信はそんな彼に「ガキみたいに泣いてバカじゃねぇの。息子なんか突き殺させてしまえばいいだろ。物怖じしないってのは、妻子、自分の身さえ思わず~」云々。でも、なんやかんやで助けに行ってあげる・・・。
それで盗賊に「俺が刀を捨てろって言ったら、お前はそうしないとダメなんだよ。お前が子どもを殺すのを、黙って見てる俺じゃねぇぞ」とか、かっこよすぎます。盗賊は言うとおり人質を開放し、頼信は彼を許します。
貞光に殺人を命じる話もあります。頼信の策士さがうかがえます。貞光もかっこいいです・・・!
このあたりのネタ、いつか本編でやりたいんですが・・・。
本日は失礼しました。
近日、本編投稿いたします!




