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仔犬拾いました。 禄
暗い、暗い、森の中。
彼は
おそるおそる、茂みの中央に立った。
風が木々を揺らして、不気味な音を鳴らす。
「〜〜っ!」
ーーーー怖くない怖くない怖くない!
そう自分に言い聞かせ、しっかりと目を瞑った彼に。
牙を剥いた、一匹の巨大なイタチが
飛びかかる。
ーーだが。
大イタチが彼の頭部を喰らうより早く
突如現れた雪巴が、手にした刀で斬り伏せた。
「ん……思ったより早く出て来たな。
もう少しかかると思ってたんだが……」
「び、びっくりしたぁ……!
こいつが、コエゾイタチ……⁉」
断末魔の叫びをあげて倒れる大イタチを前に
雪巴は、妖しく笑う。
そして、周りを取り囲んでいるだろう
大イタチの群に向かって言った。
「死にたい奴から出て来いよ……
一人残らず、黄泉に送ってやる」
「ぐ、が、があぁぁぁぁぁあああぁぁああ!」
ーーーーここまでは、作戦通り。あとは……!
彼は、自分を奮い立たせるように
拳を強く、強く握った。
……雪巴、キャラ変わってきたような。
気のせいですか?
気のせいですよね?