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仔犬拾いました。 弐
彼は、目を疑った。
青年は、二対の狐耳も八つの尻尾も、
黒く、それでいて先端の方だけが白い。
…昔、
『まるで雪が降り積もっているようだった』
自身の父が、とある妖怪を
そう言い表していたことを、思い出す。
今此処にいる黒い妖狐が、その妖怪だというのならー
「妖狐、様…?北の、…」
総大将。
彼がその言葉を言い切る前に、
妖狐はくるりと方向転換し、背を向けたまま言った。
「ついて来い。…お前が何から逃げているのかはわからないが、あまり目立たないところにいた方がいいだろう?」
「えっ、あ…はいっ!」
きちんと歩幅を合わせてくれる妖狐の後を、
彼は慌てて追った。
次話です。すこし短い…かな?