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妖絵巻   作者: 雨夜 紅葉
1/8

仔犬拾いました。 壱

騒がしい街中を、必死に駆け抜ける。

普段は柔らかい草の上を歩いている彼も、

今度ばかりは、

焼け付くようなアスファルトの上を

走らなければならなかった。

裂けた足裏の血が、道路に赤いシミを

つくっていく。

それでも彼は、痛みをこらえて走った。

ー父様…母様ぁ…!

心中で両親の名を叫べば、

自然と涙があふれてくる。

父や母、兄姉達の悲鳴が頭をよぎった。

「うぇ、」

涙を拭い、

ろくに前も見ず飛び出した先は交差点。

信号はー赤。

「…あ…」

気づいたときにはすでに遅く、

見上げるほど大きなトラックが、

彼の目前に迫っていた。

もしも彼が、一般人にも見えていたなら

辺り一帯に、悲鳴がこだましたことだろう。

彼自身も死を覚悟したのだが、

…突如現れた人影が、彼を救った。

うずくまる彼を抱き上げるのと同時に地を蹴って

跳躍し、歩道橋の上へ。

「え…えぇえ?だっ…誰…⁉」

慌てて彼が顔をあげると、そこには黒い髪と紅い目の青年が呆れ顔で立っていた。










初投稿です!これからも頑張ります。

読んでくださってありがとうございました!

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