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たとえばヒューマノイドが起用されていない世界において
それは、たった一人の少女を救うための、世界一優しい『嘘』と『わがまま』
プロローグ〆
――――【私は人間】
"それ"がゆっくりと視界を手に入れた時、最初に出力した言葉は偽りだった。
そしてそれが最初に視たモノは、小さな人間の手のひらだった。
「――さあ、楽しもう。"叶"」
小さな手をした者から呼び掛けられる。
どうやらそれが持つ識別個体名称は、"叶"とされるらしい。
たった今起動したばかりにも関わらず、叶はその人間の言語を理解することも、ましてや発言出来たことも一切疑問ではなかった。
自身が人間なのだから当たり前と、そうプログラムされている。
次第に叶の声帯元となるデータが完全適合された。
叶は次に出力する言葉を選びながら、マニュアル通りに満面の笑みを作っては小さな手をした者に視線を合わせ、人間の少女と遜色ない声でこう発言する。
「――うん、楽しんでこっ!」
その笑顔はたんぽぽの綿毛のような、希望を託されふわりと舞い上がる柔らかな表情だった。




