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名前のない放課後  作者: えあな


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無自覚

放課後の教室。


鞄を肩にかけながら、由奈を待っていたら、

背後から同時にため息が落ちてきた。


柏木「はぁ……」

久我「……なぁ。」


嫌な予感しかしない。


俺「なに。」


柏木「いやさ。」

久我「お前さ。」


だから同時に言うな。


柏木「最近のお前、」

久我「自覚、なさすぎ。」


俺「……意味わからん。」


由奈が席を立つのが視界に入る。

こっちに気づいて、小さく手を振る。


それだけで十分なのに。


柏木「今のな。」

久我「今の“それ”な。」


俺「どれだよ。」


柏木「目。」

久我「声。」


柏木「由奈ちゃん見る時だけ、」

久我「露骨に優しい。」


俺「……普通だろ。」


由奈が近づいてくる。

自然に鞄を持ち替えて、隣に立つ。


由奈「待たせた?」


俺「全然。」


ほんとに、待った感覚はなかった。


柏木「はい今。」

久我「無意識で距離詰めた。」


俺「詰めてない。」


由奈が不思議そうな顔で俺たちのやりとりを見ている。


柏木「肩当たってるし。」

久我「歩き出すタイミングも揃ってる。」


俺「……うるさい。」


教室を出る。

由奈の歩幅に合わせて、自然に速度を落とす。


由奈はちらっと俺を見て、何も言わずに微笑んだ。


それが、なんか……落ち着く。


柏木「ほら。」

久我「まただ。」


柏木「由奈ちゃんの前だと、」

久我「全部“彼氏仕様”。」


俺「……だから意味わからんって。あと由奈ちゃんって呼ぶな」


柏木「手、出してないのに守ってる。」

久我「声低くして周り牽制してる。」


由奈に聞こえないように小声でセクハラ発言。


俺「してない。」


由奈がきょとんとした顔で俺たち3人の顔を見比べている。


俺「見なくていいし、気にしなくていいから」


放課後の教室。


鞄を肩にかけながら、由奈を待っていたら、

背後から同時にため息が落ちてきた。


柏木「はぁ……」

久我「……なぁ。」


嫌な予感しかしない。


俺「なに。」


柏木「いやさ。」

久我「お前さ。」


だから同時に言うな。


柏木「最近のお前、」

久我「自覚、なさすぎ。」


俺「……意味わからん。」


由奈が席を立つのが視界に入る。

こっちに気づいて、小さく手を振る。


それだけで十分なのに。



柏木「無自覚が一番罪だわ〜。」


好きな子なんだから、当たり前の事だろ…

そんな事を考えていたら一瞬の沈黙。


二人の返事に反応が遅れた。


柏木「ほら出た。」

久我「自覚。」


言われて、初めて気づく。


柏木「ちゃんと自覚しとけよ。」

久我「彼氏なんだから。」


由奈が小さく首を傾げる。


由奈「……なにの話?」


俺「気にしなくていい。」


そう言って、少しだけ前に出る。

由奈を自然に内側へ寄せる。


柏木「はいはい。」

久我「ほらな。」


……確かに。


考えるより先に、

体がそう動いてた。


俺「……」


由奈が、ほんのり照れた顔で言う。


由奈「湊くん、優しすぎ。」


俺「……普通。」


でも、否定しきれなかった。


これが普通なら、

俺はもう、ちゃんと彼氏なんだろう。


柏木「やっと理解した顔してる。」

久我「遅い。」


俺「黙れ。」


でも——


由奈が隣にいて、

この距離が自然で、


それを手放す気が一切ないなら。


……自覚、足りてなかったのは事実かもしれない。

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