見守り隊
昼休み。
机に肘ついてノート見てたら、
視界の端に影が二つ落ちた。
柏木「いや〜〜〜」
久我「いやいやいや……」
この前置き、だいたい碌なことにならない。
湊「……なに。」
柏木「いや別に〜?」
久我「なあ柏木、これ言っていいやつ?」
柏木「いいでしょ、本人いるし。」
俺を挟んで、二人が顔を寄せてくる。
柏木「おまえさ。」
久我「最近さ。」
同時に言うな。
湊「……用件まとめろ。」
柏木「由奈ちゃんと、戻ったよね?」
一瞬で理解した。
ああ、バレてる。
湊「戻ったも何も、別れた覚えはない。」
柏木が机を軽く叩く。
柏木「いや〜〜〜よかったよ!!」
久我「正直、修羅場来ると思ってた。」
湊「来てない。」
柏木「いや来てたでしょ!」
久我「従兄弟!実習生!テスト!距離置き期間!」
湊「黙れ。話を聞け。」
柏木「でもさ〜。」
急にトーンが落ちる。
柏木「由奈ちゃん、あの期間ちょっと元気なかったよな。」
久我「笑ってはいたけどな。」
……図星。
柏木「だからさ。」
にやっと笑って続ける。
柏木「今の放課後の二人、めっちゃ平和。」
久我「歩幅合ってるしな。」
柏木「距離ゼロだしな。」
湊「……見てんじゃねえ。」
柏木「見えるんだもん。」
ちょうどその時。
教室の入口から、
由奈が顔を覗かせた。
俺を見る。
目が合う。
一瞬だけ、微笑む。
それだけで、
胸の奥が落ち着く。
湊「……何?」
由奈「ううん。なんでもない。」
そう言って、
咲に呼ばれて戻っていく。
柏木「はい今の見ました〜〜」
久我「完全に戻ってるな。」
湊「……」
柏木「てかさ。」
身を乗り出してくる。
柏木「おまえ、由奈ちゃんの前だと顔違うよ。」
湊「……は?」
久我「無自覚なのが一番キツい。」
柏木「目が優しい。」
久我「声も違う。」
湊「……知らん。」
柏木「ま、でも。」
少しだけ真面目な声になる。
柏木「ちゃんと、離すなよ。」
久我「それだけだな。」
一瞬、言葉に詰まる。
でも、ちゃんと答える。
湊「……離すわけない。」
柏木「はい優勝〜〜〜!!」
久我「もう黙っとけ。」
うるさい。
本当に。
でも——
こんな日常が戻ってきたことが、
少しだけ、嬉しかった。




