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当世流行りの異世界顛末生  作者: 有城 沙生
補綴 余人安生諸順(ほてつ よにんのあんじょうしょじゅん)
36/41

その中の異世顛末生~志山風花◆3

 成る程、【デイム・メイカー】か……。


それで、この状態…《《葬式》》が無い事に納得する。

 宗教が、無い世界。

 だから、葬《《式》》が無い。

 と、私に合点はついたのだけど、この睨むように見てくるクリストファー()に何と説明しようか?

 不用意に滑ってしまった口を、後悔する。


 声は……二日前に応急措置した、勢雄…さんのもので間違いない、と思う。

 イベントの最中、吐血しながら「なんだこれは」って、吐き出した声と似ている。

 尤も、勢雄さんは流行りから一歩引いてる声優さんだから、私はその時初めて聴いた声で。

 低く、癖のある不思議な声だなと、印象に残ったのだけど。


 で、さて。

 何と説明しようか?


 「なんの事です?」

 私はシラを切ることに決めた。

 宗教が無い世界観に、葬式を説明できる自信無い。


 「ラウノ…今、何とか《《式》》だって言ったろ?」

 矢張、“葬式”という、単語自体がないのだ。

 聞き慣れない言葉を、聞き取ってない。


「掃除しなきゃな、と言ったんです。聞き間違いですよ」

 苦し紛れだけど、通用するかしら?

 すると、強ばっていた表情が、ふわっと解けた。


 うわっ…!クリス様は推しではないけど、憂いのある良い顔をするじゃない!


「……そうだよな、すまない」


 ありがとう。

 そう、男は引き際が肝心だよ。


「──ああ、そうだ。ラウノには頼みたいことがあるんだけど」

 と、切り出されたのは子守りだった。


───


 次の日

 ……また寝て起きてしまった。

 なんて、長い物語性のある夢なんだろう。

 そんなことを考えながら、メルクリオス家へ赴く。


 これがゲーム通りなら、セイレン様にお会いできるのだろうか?

 邪な気持ちが顔をのぞかせる。

 仕方ないよね、推しだもん。

 やっとセイレン様ルートの分岐点、攻略サイトで見つけたのに。

 早く目覚めて、ゲームしたい。


 ──でも、あんな若いクリス様、公式の立ち絵では見なかったよね?

 おじ様枠じゃなかったっけ?

 攻略対象だなんて、あのイベントで初公開だったし。



「みりあです!」

 と、なんとも愛らしい少女を目の前に、違和感を覚える。

 なぜ、メルクリオス家に少女がいる?

 どんなサイトでも、見かけない姿。

 知らない名前。


「ラウノ…十歳…」

 知らない名前、でもこの後の展開は知ってる。

 イベントフラグの、着火点───



斯くして。


 推しには会えたけれど、私の好きな推しの姿ではなくて。

 対峙するなり、彼の手にはナイフがにりゅっ、と湧き出て。

 最新情報で知り得た、「町の少年を殺す」という、セイレン様ルートを見事クリアし。

 居合わせたクリス様の、悲痛な面持ちが、美しいな、なんて思いながら。


 やけにリアルに腹を突き刺された気持ち悪さを携えて、夢から覚めた。


 

 

 

 




 

 

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