その中の異世顛末生~志山風花◆2
ウーラは、ラウノ母──チィラの妹らしい。
病弱な姉を看病しながら、自分の家庭も守ってる。
のを、理屈ではなく、感じる。
夢って便利だね。
ウーラにつれられて、役場に向かう。
細部にまで凝りすぎじゃない?
私に、そんな想像力があったかしら?
一見、石造りに見えるけど、艶を消した樹脂のような作り物感のある建物。
映画でしか見ないような、クラシックカー。
パンタグラフの無い、路面電車。
限りなく洋を真似た、和。
明治、大正?と、私の脳裏に浮かぶ。
なのに和装の人はない。
まるで、なんちゃって中世のような服装。
……何だろう?そこはかと無い見覚え。
んー何だっけ…?知ってる…気もする。
役場に着いて、死亡届に署名するとウーラが驚いた。
「おや?ラウノ。いつの間に字が書けるようになったの?」
見様見真似の筆記体。
学校で習わないけど、医師の中にはまだ手書きカルテを書く方もいらっしゃったから、書いてみたけど間違った?
「こんなときなんだけど、綺麗な字だねえ…チィラみたいだよ。ねえ!…!って、メルクリオスさんっ!なんで、ここに!」
「夜勤ですよ。今日は職員の都合がつかなくてね。確かに綺麗ですねえ。本当に未就学なんですか?」
濃い銀髪の、緑の瞳の若い男性。
あれ?この人?この声…?
てか、なんで、私を凝視してるんだろう?
男性は、何かを振り払うように頭を振って、
「ところで、火葬は明日でいいですか?明日なら車を出せますが?」
と、言ってきた。
役場で葬儀の段取りまでするのか?
「車は出して貰おうか。男手がうちの旦那しか無いからありがたい」
ウーラが私…ラウノに同意を求める。
出棺に際しての人手、ってことなのかな?
分からないので、頷いておく。
「では、明日の朝、伺います」
「メルクリオスさんが来るのかい?」
「何か不都合でも?」
「いや、お礼金が間に合うかと」
「要りませんよ。……いや、そうですね。ラウノ君に仕事をしてもらう、ということで構いませんよ」
さくさくと、物事が決まっていってる中で、突然名前が呼ばれる。
銀髪の男性が、苦しそうに笑ってる。
「では、明日」
───次の日、チィカの遺体を引き取りに来たメルクリオスさんについて、火葬に向かう。
…夢だよね?寝て起きても夢なんだけど?
所謂、葬儀はなく坦々と焼かれたご遺体の灰をまく。
わが夢ながら、偉く簡素なもんだ。
「葬式がないっていうのも、ある意味合理的なのかしら?」
ボソッと声にしていたらしい。
メルクリオスさんが、すごい目で見てる。
え?
「《《式》》って言ったか?今!」
え?な、なに?!
「《《式》》って、なんだ?」
……聞かれてることの意味が分からないけど、捲し立てられた声で、私は思い出した。
この声、勢雄じゃない?
メルクリオスさん…て、クリストファー・メルクリオスか!




