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当世流行りの異世界顛末生  作者: 有城 沙生
補綴 余人安生諸順(ほてつ よにんのあんじょうしょじゅん)
35/41

その中の異世顛末生~志山風花◆2

ウーラは、ラウノ母──チィラの妹らしい。

病弱な姉を看病しながら、自分の家庭も守ってる。

のを、理屈ではなく、感じる。

夢って便利だね。


ウーラにつれられて、役場に向かう。

細部にまで凝りすぎじゃない?

私に、そんな想像力があったかしら?


一見、石造りに見えるけど、艶を消した樹脂のような作り物感のある建物。

映画でしか見ないような、クラシックカー。

パンタグラフの無い、路面電車。


限りなく洋を真似た、和。

明治、大正?と、私の脳裏に浮かぶ。

なのに和装の人はない。

まるで、なんちゃって中世のような服装。


……何だろう?そこはかと無い見覚え。

んー何だっけ…?知ってる…気もする。


役場に着いて、死亡届に署名するとウーラが驚いた。

「おや?ラウノ。いつの間に字が書けるようになったの?」

見様見真似の筆記体。

学校で習わないけど、医師の中にはまだ手書きカルテを書く方もいらっしゃったから、書いてみたけど間違った?


「こんなときなんだけど、綺麗な字だねえ…チィラみたいだよ。ねえ!…!って、メルクリオスさんっ!なんで、ここに!」

「夜勤ですよ。今日は職員の都合がつかなくてね。確かに綺麗ですねえ。本当に未就学なんですか?」

濃い銀髪の、緑の瞳の若い男性。


あれ?この人?この声…?

てか、なんで、私を凝視してるんだろう?


男性は、何かを振り払うように頭を振って、

「ところで、火葬は明日でいいですか?明日なら車を出せますが?」

と、言ってきた。

役場で葬儀の段取りまでするのか?


「車は出して貰おうか。男手がうちの旦那しか無いからありがたい」

ウーラが私…ラウノに同意を求める。


出棺に際しての人手、ってことなのかな?

分からないので、頷いておく。


「では、明日の朝、伺います」

「メルクリオスさんが来るのかい?」

「何か不都合でも?」

「いや、お礼金が間に合うかと」

「要りませんよ。……いや、そうですね。ラウノ君に仕事をしてもらう、ということで構いませんよ」

さくさくと、物事が決まっていってる中で、突然名前が呼ばれる。

銀髪の男性が、苦しそうに笑ってる。


「では、明日」


───次の日、チィカの遺体を引き取りに来たメルクリオスさんについて、火葬に向かう。


…夢だよね?寝て起きても夢なんだけど?


所謂、葬儀はなく坦々と焼かれたご遺体の灰をまく。

わが夢ながら、偉く簡素なもんだ。

「葬式がないっていうのも、ある意味合理的なのかしら?」

ボソッと声にしていたらしい。

メルクリオスさんが、すごい目で見てる。

え?


「《《式》》って言ったか?今!」

え?な、なに?!

「《《式》》って、なんだ?」


……聞かれてることの意味が分からないけど、捲し立てられた声で、私は思い出した。

この声、勢雄じゃない?


メルクリオスさん…て、クリストファー・メルクリオスか!









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