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8代 第一次伊藤博文内閣

8代 第一次伊藤博文内閣 (2549(明治22・1889)年10月25日~2551(明治24・1891)年5月6日)

▽来歴・概要

 元長州藩士。枢密院議長。子爵。後日、帝國憲法制定の功により伯爵に陞爵。

 憲法についての第一人者を自認していた伊藤博文は、憲法発布後精力的に議会対策に動いていた。首相就任後もその動きは変わらず、大隈率いる立憲改進党の幹部との間には閣外協力協定を結ぶことに成功した。徳川慶喜からの内命を受けた小栗は、元老院議員、次いで貴族院の勅撰議員という身軽な立場から関東地方において演説に行脚した。

 2550(明治23・1890)年7月1日、十分な根回しの下第1回衆議院議員総選挙が施行された。議会第一党となったのは、旧自由党系の大同倶楽部であり、全300議席中54議席を得た。第二党は大隈率いる立憲改進党で43議席であった。自由党土佐派と言われた板垣退助の直系は、愛国公党を結成し、第三党の36議席を得た。どの政党も過半数を得ることは無かったが、旧自由党系は最終的に合同して立憲自由党を結党し、130議席の大所帯となり、議会第一党となった。一方で政府側は、表向きは超然主義的な思想の潮流からは決別できず、公然と議会内の多数派工作を行うことができなかった。伊藤と大隈の合意により立憲改進党はが完全な野党勢力とはならず、小栗による政府支持の議員による院内会派の創設(大成会)によって、政府の方針に少なくとも大枠では反対しないという議員が少なくとも120名程度は確保でき、無所属議員の動向次第で拮抗する政治状況を作り出すことができた。

 2550(明治23・1890)年11月29日に開院式を迎えた第1回帝国議会は、今日においては、欧米諸国に対して、アジアの国が議会政治を行えるということを見せつけるための儀式的な部分があったと伝えられるが、その内実は多分な緊張を含んでいた。自由党側は「政費節減、民力休養」を掲げ、政府側の提出した予算案に対して、その1割を削減すべきと主張した。

 多数派工作を進展させる民党に対して政府側は、自由党の領袖たる板垣退助とその直系に対して妥協を求めた。自由民権運動を経て、過激な行動によって反政府運動をしていた者と同じ政党に属していたが、板垣は元々明治六年政変が勃発するまで政府に出仕していた。欧米諸国からの視線を彼もまた感じており、アジア諸国の中で強国となるためには、政府の主張する海軍力の拡充の必要性も認めていた。ここに、「土佐派の裏切り」と後年呼ばれる政府と民党の妥協が図られることとなった。

 伊藤博文は第一議会を大きな混乱なく終わらたが、政府内部において、議会勢力との協調の必要性を強く認識した。この認識は後年の立憲政友会の結党の動きに繋がっていく。しかしながら、政府内部には、政党に対する忌避感が強かった。政党政治は、代議士が一部の支持者の言いなりになって動き、帝国全体の統治のためには欠陥が多いと考える者が多かった。この政府内部での路線の対立と議会対策の疲れから伊藤は辞意を固め、明治24年5月6日山縣有朋内閣が成立した。

▽在任中の主な出来事

・嘉仁親王立太子礼

・第1回衆議院議員総選挙

・元老院廃止

・第1回帝国議会(通常会)

▽内閣の出した主な法令

・民事訴訟法・商法・刑事訴訟法制定

・『教育ニ関スル勅語』(教育勅語)発布

・度量衡法制定

▽内閣の対応した帝國議会

・第1回衆議院議員総選挙

 改選数:300

 投票日:明治23年7月1日

 選挙制度:小選挙区制(一部2人区制)

 実施地域:45府県(北海道、沖縄県、小笠原諸島を除く)

 選挙権:

  直接国税15円以上納税の満25歳以上の日本国民男性

下記の者は権利の適用除外

   華族の当主、現役軍人

   禁治産者、破産者、公民権剥奪者及び停止者、刑事被告人

 被選挙権:

  直接国税15円以上納税の満30歳以上の日本国民男性

下記の者は権利の適用除外

   華族の当主、現役軍人

   禁治産者、破産者、公民権剥奪者及び停止者、刑事被告人

   宮内官、裁判官、会計検査官、収税官、警察官

   管轄区内の府県郡官吏

   各選挙区の市町村選挙管理担当吏員

   神官、僧侶、教師

・第1回帝國議會

 召集:明治23年11月25日

 開会:明治23年11月29日

 閉会:明治24年3月7日

△内閣閣僚

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