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表彰

 午後のことだ。オレたちは教官室に呼び出しを受けた。

 またまた同じ話をしなきゃならないんだろうか、とか思ってたんだが……。


「お呼びでしょうか」

「ああ。これの件だ」


 教官が見せたのはバルトの手紙だ。

 そういえばそんなの渡してたな。すっかり忘れていた。


「ここには学生を巻き込んでしまったことへの謝罪と、お前たちがどう活躍したかの報告、それからお前たちへの感謝が書いてあった」


 手紙の中でオレたちはどうも恥ずかしくなるくらい褒めちぎられていたようだ。

 教官たちからは「まだ学生なんだからもう少し命を大事にしろ」と説教をされた。

 それから最後に「よくやった」とやはり褒められた。


 そんな感じで教官たちとバルト、それから冒険者たちの推薦を頂いていたようだ。

 これはずっと後になってからのことだが、オレたちのパーティーは特別表彰をもらった。


 敵指揮官を討伐し、特殊個体を討伐し、敵集団を引き付けてよく戦い、また重傷者の移送や行方不明者の捜索、復興にも尽力し、アルタミラの危難を救ったということだ。

 ……ちょっと褒められすぎのような気もする。


 エンターのギルドで授与式が行われた。

 集会室に冒険者たちが集まって整列する前でオレたちは登壇した。


「よくやったな」

「ありがとうございます」


 オレがパーティーを代表して表彰状を受け取ると臨席した冒険者たちが一斉に拍手した。


 それから一人一人勲章をもらった。

 何だろうこれ、草冠かな? 葉っぱが輪になった意匠が金属で作られている。


「学校じゃまだ教えてもらってないか。これは『桂冠章』と言ってな──」


 祝賀会の席でいつかの松葉杖の冒険者が教えてくれた。

 もう杖はついてなかったけど。


 この桂冠章というやつは何でも危機に陥った味方の救助に特別な功績のあった軍人に送られるものだそうだ。

 国軍と冒険者で共通する唯一の勲章で、これをつけていると冒険者の間だけでなく軍隊でも一目も二目も置かれるらしい。


「──というもんなんだ。いやしかし、お前らよくあれと戦って勝ったな!」

「戦ったのは彼女だけですけどね」

「さすが【超獣】! お前が人間でよかったぜ」


 ティナを示すと冒険者は奇妙なほど喜んだ。


 ……しかしこの人、あの竜人と戦って生還したんだよな?

 もしかしなくてもすごく強い人なのでは……。


「まったくだな。【超人】だけでなく推定【コマンダー】、それに数十体もの竜人もこいつらのパーティーだけで倒している」


 寄ってきたバルトが横から声を掛けた。

 式に出席するためにエンターに帰還していたんだ。


「……大きな声じゃ言えないが、実は負傷者を切り捨てての撤退も視野に入れていた。グリフォンナイトがあそこで粘らなければ、そしてお前が敵指揮官を倒さなければ、本当にそうしていたかもしれない。最悪全滅もあり得る状況だった」

「そうならなくて良かった。微力ですが、お役に立てたなら幸いです」

「物質的には何ら得るもののない戦いだったが、代わりに得がたいものを見つけられたな。人材だ」


 そしてバルトはオレの肩をバンバンと強く叩いた。


「よくやってくれた、ありがとう。そしておめでとう!」

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