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竜人

 三日後、オレたちは再び依頼を受けてアルタミラへ飛んだ。


 アルタミラは騒然としていた。ちょうど怪我人が大勢運び込まれたところだった。

 肩を貸されて力なく歩いている冒険者もいれば意識がなくて担架で運ばれている冒険者もいる。


「どうしたんですか?」

「それがな──」


 近くにいた冒険者を捕まえて聞いてみたところ竜人と戦闘になったようだ。


「この前メガラでパーティーがひとつ壊滅してな? いや死んだわけじゃないが重傷者多数で活動不能になっちまったんだ」


 オレたちが連れて帰った冒険者のことだろう。


「それで人手が足りねえってんで応援を送ったら、途中で竜人の群れと遭遇戦になったんだ」

「あなたも行かれたんですか?」

「俺は何とか無事だったけどな。いや、普通ならここまで苦戦することはねぇぞ? 中に普通じゃないのが混じってたんだ」

「まさか、【超人】ですか?」

「いや? それはいなかったな。そうじゃなくて異様に統率が取れてた。あれは指揮官ジョブの個体がいたんだろうな」

「それで、その竜人たちは?」

「逃げてったよ。何とか撃退に成功した」


 その冒険者は急いでいたみたいで話を切り上げて走って行った。

 オレたちも自分の仕事、つまり荷物の納入を済ませてしまおうと倉庫に向かった。


 その時近くの建物から冒険者が出てきてオレたちに声を掛けてきた。


「おう、学生か! ヒーラーはいないか? いたら手伝ってくれ!」

「はい!」


 その建物が治療所になっているらしい。

 大声で叫ぶ冒険者に答えてアイラは中へ入って行った。


 こういうときオレは役に立たない。ハローを連れてくればよかった。


 倉庫に行ってみたけど荷物の納入どころじゃなかった。

 オレは指示に従って雑用に、その他の女子三人は炊き出しに回った。


 ……やれやれ。二時間くらい働いただろうか?

 オレたちは小休止を入れた。アイラはまだ治療所の中だけど。

 四人で遅めの昼食を取っていたらバルトに呼ばれた。


「おい、ウィルはいるか?」

「はい。何でしょうか」

「ああ、いたか。すまんがまた怪我人の輸送を頼む。何度か往復してもらうことになるが──」


 カーン! カーン!


 バルトの説明の途中で突然警鐘が鳴った。


「竜人だー!」

「後にしよう。──総員迎撃態勢! 配置につけ!」


 バルトは指揮を執るために走って行ってしまった。

 早くも戦闘になっている。交戦音は四方八方から聞こえてきた。どうやら周囲をぐるっと取り囲まれているようだ。

 クソ、いつの間に! 一体何匹いるんだ?


 正面側から炸裂音と雷鳴が巻き起こった。

 あっちにはいつものようにグリとドラがいる。

 二匹の[ショックウェーブ]と[ライトニング]のスキルだ。

 竜人のものらしい奇怪な悲鳴が響き渡る。


 突如閃光がひらめいた。

 あの光は──マナバーストだ!

 直後に高い悲鳴が上がり、飛び上がったモンスターの巨体が柵を越えて入ってきた。


 ドラがグリを担ぎ上げている。

 グリはグッタリして、翼が傷ついて血が流れ出ている。


「グリ!」


 アメリが悲鳴を上げた。


 同時に門が吹っ飛んだ。

 そこに巨大な竜人がいた。


 デ、デカい! オレがオレを肩車したよりまだデカい。

 そいつは人間のように直立していた。

 手足が奇妙なほど長く、足は鳥の蹴爪のようで、いかにも強靭かつすばしっこそうだ。

 頭は竜、尻尾は太く長く、全身が鱗に覆われている。

 そしてかつて感じたことのない威圧感を全身から放っている。


 もしかして、あれが【超人】個体か?


「!」


 そいつを見た瞬間にティナが飛び出していた。

 破裂みたいな殴打音が響く、ティナは鋭い横蹴りをお見舞いした。


 竜人はティナの蹴りをガードしていた。しかしその巨体が吹っ飛ばされて外に押し返されている。

 とりあえず門の外に押し出す事には成功した。


「ティナ!」


 大声で叫んだ。

 しかしティナはオレの静止を聞かず、そのまま竜人を追いかけて出て行ってしまった。

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