再びアルタミラ
ルークたちの話が広まって、他の候補パーティーも軒並みアルタミラ行きを辞退してしまった。
おかげでまたすぐオレたちに順番が回ってきた。
今回パーティーの仲間たちには前の晩からオレの寮に泊まってもらった。
その方が時間に余裕ができて、前回みたいに早朝から出発しなくても済むし。
おかげで夕食はかなり盛り上がった。酒抜きだったけど。
「じゃあちょっと行ってくる。明日の夕方までには戻るつもりだから」
「気をつけてなー」
すっかり日が昇った頃、レインとベルとタマに見送られてオレたちは飛び立った。
エンターの入り口に着陸、アメリたちには待機してもらってオレはティナとギルドに向かった。
前回と同じく札をもらって倉庫へ行くと、これも前と同じように荷物が積み出された。
そこでティナが「もっと持てるよ」と言った。
「学生が何言ってんだ、やめとけ」
倉庫番のおっさんが渋った。オレもティナを止めた。
「そりゃティナはいくらでも持てるだろうけどさ、オレたちがちょっと無理かな? それに他の人の仕事を取るのはよくないよ」
ルドルフのことはあまり広めたくないしな。
「そうかー。じゃあこれだけにしとくね」
納得したティナのスキルで荷物を持って村を出た。
外で三人が待っていた。シャルは腕の中にルドルフを抱いている。今日は連れてきたんだ。
オレはそのポケットに荷物を詰め込んだ。本当にいくらでも入る。
さあ、出発だ。
先日からドラには鞍を置いている。その鞍にルドルフ用のシートを固定して、そこにスポッとはめた。
ルドルフは大人しくしていた。こいつは餌さえ食わせておけば本当に大人しい。
オレたちは三匹に分乗して飛び立った。
途中二番休憩所に立ち寄って一休みして、昼前にはもう到着していた。
前回の苦労が嘘みたいだ。
さっそく倉庫に荷物を納入した。
受渡書に印をもらって任務は順調に完了。今日はここに一泊して明日の朝帰ることになる。
しかしなー……。
オレは考え込んでしまった。
元をただせば学校の森ではモンスターと戦えないからもっと奥まで行こうという話じゃなかったか?
前回も一回だけ、今回はまったく戦っていないんだが。
淡々と任務をこなしてるだけじゃ意味がない。
「──と思うんだけど、みんなの意見は?」
オレはパーティーメンバーに相談してみた。
「……そういえばそうだったね」
「忘れていたわ」
「私はあまり戦いたくないんだけど」
ティナ、シャル、アイラもすっかり失念していたようだ。
「何を難しい顔してるの?」
「あ、お帰り。お疲れ」
アメリが帰ってきた。
到着するなりお願いされてさっそくゴミ捨てに行っていたんだ。
オレは「戦うためにここに来たはずなのに現状ただの運び屋になってるよね?」という趣旨の意見を伝えた。
アメリも首を傾けて考え込んだ。
「うーん……。今ゴミ捨てに行ってたんだけどさ」
「知ってる」
「前回と同じところに行ったんだよね。そしたらさ、前回のゴミはすっかりなくなってて。何でかなと思って見てたら、今日捨てたゴミにすぐにモンスターがたかってたのよ」
「あー、腐肉食のモンスターが食べにくるわけか」
「そう。それでさ、ちょっと離れたところにそのモンスターを狙うモンスターが見えたのよ」
「うんうん。……つまり?」
「ゴミを毎回同じところに捨ててたら、モンスターの集まる場所ができるんじゃないかな? ゴミ漁りのモンスターとそれを狙うモンスターの」
「なるほど、モンスターの養殖場か」
「そう。そいつらと戦ったり……。あとは往復のルートをまっすぐじゃなくてジグザグにして、少なくとも一回戦うことを目標とするとか」
「おー……。さすがアメリ、頼りになるぅ!」
「こういうことはアメリよね」
オレたちは「凄い!」「偉い!」と褒め称えながら拍手した。
「も、もう……やめてったら!」
アメリは赤面した。
照れているのか怒っているのかわからないけど。
それから夜までの間掃除を手伝ったりしていた。
今回は体力に余裕があったし。
夕食後、シャルはリクエストを受けてギターを演奏した。
今回はルドルフに入れて持ってきていた。
空は晴れ、アルタミラの上空はさえぎるものもなく開けている。
満天の星空の下の特設ステージだ。
落ちてきそうな星々の見つめる先で奏でられたメロディが天を目がけて抜けてゆく。
「ウォオオオオオオッ!!!」
メッッッチャクチャに盛り上がった。
冒険者たちは拳を突き上げ青筋を立てて絶叫し、踊り狂った。ウェスタの一般人とノリが全然違う。
「ハーイ! ハーイ! ハイ! ハイ! ハイ! ハイ!」
「L! O! V! E! ラブリー! シャール!」
「シャール! シャール! 超絶! カワイイ! ネコ娘!」
「マルフォイ! マルフォイ! マルフォイ! マルフォイ!」
考えてみたらここの冒険者たちってウェスタの人なんかよりずっと娯楽に飢えてるもんな。
次回はキーボードとドラムも持ってこよう。
ところでマルフォイって何だ?




