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川遊び

 昨日の今日だ、探索はお休み。午後は自分の寮に帰って草むしりというか木の芽むしりをした。

 今日の木の芽はまだちっちゃな双葉に過ぎない。抜くのに力はいらないがいくらなんでも数が多すぎる。いよいよヤギの導入を考えないと。


 他のメンバーはティナはバイト、アイラもバイトで二人とも後で来ると言っていた。


 アメリは一人でマッピングに行った。こことエンターの間が線でしかつながってないのが気に入らないそうだ。

 アメリの机はきっと引き出しの中までキチッと整理されていることだろう。


 この辺じゃ危ないことはないと思うけど一応ドラ、マル、ハローをつけた。

 それとマッピングの前にエンターに話を通しておくように言っておいた。モンスターは対応できてもこの前みたいに冒険者に攻撃されても困るし。


 レインは「初仕事のお祝いをする」と言って厨房にこもってる。

 実は行き場がなくてここに住み着いてるんだ。町に宿を借りようにも、何しろ学費返済中で金がない。

 教官に相談したら「こっちの寮に住む分には黙認する」と婉曲に伝えられたものだから、二階の客間を一部屋自分の物にしている。


「大変そうね」


 黙々と草むしりをしていたらシャルが一人で来た。

 オレは立ち上がって腰を伸ばした。痛てて……。


「この広さだからなー。でもやらないと」

「私に任せて」


 そう言うとシャルは広い『庭』に向かって例の音の聞こえない歌を歌い出した。

 ブブブブブブブブ! 庭中の葉っぱという葉っぱが一斉に震えだした。震動はだんだん激しくなり──バツン! 一気に弾け飛んだ。


「マジでっ!?」


 砕け散った葉っぱが粉になって散ってゆく。

 シャルは歌声一発で木の芽を駆除してしまった。すげえ!


「どう?」

「ありがとうシャル、本当に助かった! 今日一日じゃ終わらないかと覚悟してたんだよ」


 褒めたらシャルは得意げな笑顔を見せた。

 こういう子供っぽい顔も案外似合うんだな。


「ヒャッホー!」


 オレは上半身裸の短パン姿で小川へと飛び込んだ。

 レディの前だが許してほしい。


 草むしりが一瞬で終わって時間が空いたんで水浴びだ。

 立ってるだけで汗ばむ陽気だからな。草むしりの汗を流したい。


 森の中から流れて来てる川だからそんなに綺麗なはずもないが、まあ見た目汚くもない。

 背が届かないほど深い淵なんてない、せいぜい腰くらいの深さの小川だが、オレは流れに逆らって泳いだ。

 都会の連中はほとんどカナヅチらしいがオレは田舎者だから泳げるんだ。


 シャルは白い木綿のワンピースに着替えてきた。女の子が水遊びする時の定番スタイルだな。

 水辺に腰かけて、脱いだサンダルを両手に一足ずつぶら下げて、素足を川に突っ込んでパシャパシャ水しぶきを跳ね上げている。


「男の子はいいわね」


 シャルは汗を拭いながら眩しそうに目を細めた。

 白いふくらはぎを水に浸していながら暑そうだ。


「シャルもこっち来なよ」


 誘ってみた。


「ウンディーネがいるからすぐ乾かせるって」


 日光+ウンディーネで即乾だ。


「そう……?」


 シャルはサンダルを置いて、恐る恐る小川の中へと足を踏み出した。


「きゃあっ」


 そして即滑って転んで尻もちをついた。

 何でそんな何もないところで……。


「うう……」


 大きなお尻で跳ね上げた水でずぶ濡れだ。

 ワンピースが肌に張り付いて裸並みにエッ……えーっと、古代の彫像みたいな光景になっている。


 オレよ、紳士たれ。


「大丈夫? 案外ドジだな」

「もう、からかわないで」


 笑いながら引き起こすとシャルは口を尖らせた。


「きゃあっ!」


 そしたらまた足を滑らせて転んで、今度は抱き留める形になった。

 シャルはぎゅーっとしがみついてきた。


 メ、メチャクチャ柔らかい……。ライブの時はいつも興奮しててそこまで意識してなかったけど、全身がメチャクチャ柔らかい……。

 エッ……いやそうじゃなくて、エッ……いや、そうじゃなくて……


 オレよ、オレよ──紳士たれ!!

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