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クレア

 ようやくやってきた案内人は二十歳前後の女性だった。

 冒険者としては少し小柄で、黒髪をショートカットにしている。


「私はクレア。よろしくね」

「よろしくお願いしまーす!」

「私のジョブは【ハンター】。あんたたちは?」


 質問されたので順番に自己紹介した。

 そうしたら何故か渋い顔をされた。


「プリーストはまだしもマッパーにバードにテイマー? バランス悪すぎでしょ。あんたたち、どうやってアルタミラ行きの許可を得たの?」

「それは教官たちの審査を経て──」

「ああ、超獣にキャリーしてもらってるってわけね。強い人におんぶにだっこされても自分のためにならないよ」


 クレアはフンと鼻を鳴らした。


「まあいいわ。今回だけ案内するね。マッパーがいるなら次からは大丈夫でしょ」


 オレたちはクレアに連れられて三番倉庫とやらに行った。

 その一角には倉庫が十個並んでいた。それぞれの建物には扉に大きく数字が描かれている。


 オレたちの目の前の倉庫にももちろん『3』とナンバーが振られている。

 なるほど、これなら迷うことはないだろう。


「一番から六番がキャンプに持って行く物資、七、八、九番が向こうから持ち帰ったものを入れておくところ、十番は予備ね」


 クレアが説明してくれた。


 倉庫で働く男たちは冒険者じゃないようだ。ガタイはいいけど。

 クレアがそのうちの一人に声を掛けると、男たちは三番の扉を開けて荷物をドサドサ運び出してきた。


「じゃあこれをアルタミラまで運んでくれ。この紙を向こうの係に渡して印をもらえば任務完了だ」


 男はそう言いながら受渡書に荷物の内容を書いてオレに渡した。今回の荷物は包帯やガーゼといった医療用品だそうだ。

 六人いれば何とか背負えるかなという量だ。


「食料はないよ。襲ってくるモンスターが増えるからね。学生にはちょっと任せられないかな」


 そう言いながらクレアは荷物の一つを背負おうとした。

 しかしティナがそれを止めた。


「とりあえず戻る?」

「そうだな。ティナ、頼む」

「オッケー」


 返事と同時に荷物が浮いた。[サイコキネシス]スキルだ。


「えっ!?」

「何だこりゃ!??」


 クレアだけじゃなく倉庫番も周りの冒険者たちも驚いていた。


 村の入り口に戻ったオレは待たせていたマルに合図してグリたちを呼び寄せた。

 大きく翼を広げてグリたちが降りてくるとクレアは顔色を変えて身構えた。


「──グリフォン!」

「あー、すいません。オレのテイムモンスターなんです。人を襲ったりはしません」

「嘘……グリフォンなんてテイムできるもんなの?」

「なんでぇクレア、知らねえのか?」

「こいつが学生の身空でグリフォンテイムしたっちゅう期待の新人よ」

「アンテナは広う持たんとな。現役以外ともちゃんとつきあわなあかんで」

「ぐぬぬ……」


 ついてきていた三人組が馴れ馴れしく肩に腕を回してニタニタ笑うとクレアは悔しそうに押し黙った。

 あー、三人の情報源はどうやら教官っぽいな。


「はー、それでテイマーがリーダーやってたのね」


 クレアには変な納得をされてしまった。

 ちょっと違うんだけど、まあいいか。


 荷物の半分はオレとティナが背負って、残りはグリに積み込んだ。

 しまったな。次からルドルフを連れてこよう。


「それにしてもすげえな、グリフォンが本当に従ってるぜ」

「何よ、知ってたんじゃなかったの?」

「だって自分の目で見るまでは信じられねぇじゃねーか」


 三人組にペタペタ触られてグリは迷惑そうな顔をしていた。

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