表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

60/99

ジョブチェンジ

 何だか随分休んでしまったような気がする。

 課題の解決を再開しよう。


 まあ、もうできてるんだけどね。


「先生、課題ができました」

「よし、見てやろう」


 オレたちは教官をオレの寮に呼んだ。成果のお披露目だ。

 約束の日に待っていたら教官が三人やってきた。


「確認をお願いします。どうです、森を切り開きました」


 オレの寮の裏手の森だったところはすっかり見晴らしが良くなっていた。

 ティナとタマの努力の賜物だ。


 森の木を切っては引っこ抜き切っては引っこ抜きを繰り返していたらやがて柵の痕跡らしき朽ち果てた根元が出てきた。

 多分ここが元の村境だったのだろう。


 オレたちはその柵沿いに木を切りまくって、そこから内側に向けて木を切って、ぐるっと広場を作り出した。

 教官たちは柵の跡を確認してあれこれ議論していた。


「なるほど」

「これは確かにそうらしい」

「いいだろう。合格!」


 よし! まずはオレが及第だ。


「じゃあ次は私ですね。ご覧ください」


 アメリがスキルを使うとオレたちが作った広場に広大なマップが展開された。


「おおー……」


 アメリは森の詳細なマップをとうとう完成させた。

 オレはもちろん教官たちも「ほほう」と感心してあちこちからマップを覗き込んでいる。

 オレたちがバンドをやってる間も一人で頑張ってたんだ。すごい。


 でもそう褒めたら後ろを向いてしゃがみ込んだアメリは指先で地面をいじいじといじくり出した。


「いいの、私なんてどうせ楽器弾けないし。仲間外れでも……」

「いや、そういうつもりじゃ……。あ、アメリは偉い!」

「一人でよく頑張ったね!」

「感動したわ!」

「凄い!」


 みんなで褒め称えてたらアメリは突然頭を上げた。


「あ、そうだ」

「どうしたの?」

「私、マッパーじゃなくなったの」


 じゃあこのマップは何なの?




 グリに乗ったアメリが空高くを飛んでいる。

 肩にかけていた弓を構え直して弦を引くと、そこに忽然と光の矢が現れた。

 弓鳴りの音が響くと同時に光の矢が打ち放たれ、矢は突然直角に曲がって樹上に隠れていたキッドナッパーを撃ち抜いた。


「ギエッ!」


 短い悲鳴と共にキッドナッパーは地面に落ちた。

 オレたちはぽかーんと傍観していた。


「うわーすっごい」

「もうアメリだけでいいんじゃないかしら……」


 アメリのジョブが変化した。

 【マッパー】が【マッパー/グリフォンナイト】になった。

 突然『お告げ』があってジョブの追加を宣告されたそうだ。


 グリフォンナイトはグリフォンに特化した騎士系ジョブだ。

 グリフォンに騎乗している間はステータスに補正がつき、さらに弓技スキルと槍技スキルが使えるようになる(本人談)。


 で、このスキルがなかなかに強力だ。


 例えばさっき使っていたのは[ライトアロー]というスキルだ。

 弓を引くと光の矢がつがえられて、放つと一直線に飛んでゆくというマジックアロー系のスキルだ。

 つまり弓さえ持っていれば魔力が続く限り光の矢を撃ち続けることができる。


 あとついでに、ついでというかむしろこっちが凶悪なのだが、マップスキルと連動した[索敵]スキルのおかげで敵がどこにいるかわかる。

 遮蔽物に隠れていてもお構いなしだ。


 索敵と遠距離攻撃の合わせ技で、木の陰に隠れていようと建物の中にいようと関係なく、相手の手の届かない空の上から一方的に攻撃できるというわけだ。

 下からマジックアローを撃ってもグリのシールドスキルで弾かれるし。


 あ、グリもまたジョブが変化してファイターが【インペリアルガード】になった。

 もうアメリ専用だなぁ。


 グリのサイズの鞍なんてなかったので、今まではグリの背中にクッションを敷いて跨って、その状態から帯でグルグル巻きにして体を固定していた。

 でも今は帯なんかなくても[人馬一体]というスキルで吸い付くようにくっついている。ひっくり返っても落ちないんだ。人グリ一体だな。


 中距離では[ライトジャベリン]という強威力のスキルがあるし、近接でも槍技スキルに加えてグリの攻撃があってなまじの相手では何もできない。

 グリ自体が学校で一番強いしな(例外枠の超獣を除けば)。


 とんでもないチートジョブだ。

 今年の在校生では最強だろう(超獣を除けば)。


「アメリ……まさかこれほどとは……」

「天才か……」


 教官たちも啞然呆然だ。




 ところでこれは少し後の話になるんだが、ジョブが変わったことを知られたアメリは他のパーティーから勧誘されまくっていた。


「ねえ、うちのパーティーに入らない?」

「俺と一緒に冒険しよう!」


 と言ってもグリフォンナイトはグリフォンがいないと何もできないしそのグリフォンはオレのだし、つまりお前らの入る余地なんてどこにもない!

 今さらチヤホヤしてももう遅い!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
ウィルでなくアメリちゃんが真の『ざまぁする系主人公』だったか…(違
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ