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カモナマイハウス

 三日ぶりに登校したオレは昼食後校舎裏に行った。

 ティナはいつもの石段に腰かけて斜め下をじーっと見ていた。


「やあ、久しぶり。ティナはいつ見ても可愛いね」


 声を掛けたらティナはプイッと視線をそらして口を尖らせた。

 何だかご機嫌斜めだ。


「毎日待ってたんだけど」


 声がすねている。

 オレは顔の前でパンと手を合わせて謝った。


「ごめんね。学校休んでたから」

「え、何で? もしかして病気でもしてた?」


 ティナは急に心配そうな顔になってこっちを見た。

 いい子だな。


「引っ越しで忙しかったんだ」

「えー、引っ越し? なんでー?」


 オレはグリフォンをテイムしたが寮に住まわせることができなかったので一緒に引っ越したと事情を説明した。


「へー。どこに住んでるの?」




 ティナはその日の午後さっそく来てくれると約束した。訓練は休みにするそうだ。

 何しろ教官が束になってかかってもティナにはもう手も足も出ないそうで、あまり強いことも言われなくなったらしい。


 オレも学校を早めに切り上げてお客様をお迎えする用意をした。

 と言ってもお茶くらいしかないけど。一応町に寄って焼き菓子を少し買っておいた。高くて少ししか買えない。


「ん?」


 お茶を用意してたら湖の方から何だかけたたましい鳥の声が聞こえてきた。


 外に出たら飛び立った鳥が大騒ぎしながら頭の上を横切って行った。

 木立を透かして湖を見ると水しぶき、というか水柱が立ってこちらに向かってくる。


 ……ワオ。水柱の列の先端にティナがいる。

 ティナは湖面を蹴立てて真っ直ぐ突っ切ってきた。スゴいね、超獣。


 湖岸で高くジャンプしたティナは木立を飛び越えて軽やかに着地した。


「やあ、いらっしゃい。ようこそオレの家へ!」

「おじゃましまーす。これおみやげの女子寮銘菓カップケーキ。つまらないものだけど、どうぞ」


 ティナはオレに紙袋をくれた。

 受け取るとなにやらしっとりした重みが手のひらに加わった。


「ありがとう。よく迷わなかったね」

「女子寮から見えたもん」

「……見えるの?」


 それは多分ティナだけじゃないかな?


「目はいいし水の上は走れるし世界最強だし、ティナはきっとすごい海賊王になるね」

「そうね、世界をひとつなぎにして──って女の子にその感想はおかしくない?」


 玄関先で話してたらグリが駆け寄ってきた。


 ティナに喧嘩を売ろうとしてるんだろうか? 何だか目付きが鋭い。

 ……鋭かったんだけどティナの視線の圧力だけで即敗北、うつむき加減にスゴスゴと退散した。


 ちょうどいいのでついでにテイムモンスターたちと会ってもらおう。


「ティナは初めてだよな」


 オレはグリたちを順番に紹介した。


 グリはしきりに頭を下げながら鳥の前足を揉み手のようにこすり合わせた。

 こいつ時々妙に人間臭いよな。


 ベガも今日は何だかしおらしい。

 甘えたように、いやこれは媚を売ってるのか? ティナの胸のあたりに頬をすり寄せている。羨ましい真似を。

 ベガはティナに顔を撫でられてビクッと硬直していた。


 そんなにティナが怖いのか?

 まあベルもティナを見た瞬間にひっくり返ってお腹を見せてたし、モンスターには何か感じるものがあるのかもしれない。


 ……もしかしなくても、ティナとオレがいれば大抵のモンスターはテイムできてしまうのでは?

 恐ろしい予感にオレは首を振った。ないない。


 ちなみにハローは壁の釘に自ら引っかかって飾りのフリをしていたしマルは巣に引きこもって出てこなかった。

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