教官室
ウィルが学校を休む許可を取りに来た後、教官室では彼の引っ越しについて話題になっていた。
一応寮という形になってはいるが湖を挟んで反対側、一般の生徒にはちょっと通えない距離だ。
事実上彼専用の住居だ。
ウェスタ市に働きかけて手配したのは教官たちだ。
寮の部屋が足りない年には町の方に宿を借りることはあるが、廃村の空き家とはいえ一軒家を与えられるとは破格の待遇と言える。
何しろ学生がグリフォンをテイムするとは前代未聞の事態だ。
確かにあのくらいの大きさの、まだ幼体のグリフォンであれば一対一でも勝てる者はいる。
しかしこの先大きくなってスキルも伸びたら侮れない存在になるだろう。
それにグリフォンを始めとしたモンスターの連携があればさらに強力なモンスターもテイムできるかもしれない──
要するに教官たちはウィルに期待しているのだった。
そのような話をしながら教官は笑って言った。
「まあさすがに超獣には及ばないだろうけどな」
「いや、それがあいつティナも手懐けてるんですよ」
かつてウィルたちと一緒に地竜に遭遇したダークナイトの教官が口を挟んだ。
笑っていた教官は驚いた。
「え、そうなんですか?」
「一度引率したことがあるんですけど、ベッタリでしたね」
「そうなんですよ」
この学校に一人だけいる獣人の教官が同意した。
「あの子指輪してるじゃないですか。聞いてみたらウィル──テイマーの子にもらったって教えてくれました。あの二人つきあってるんじゃないですか?」
ヒュー、誰かが口笛を吹いた。
「やるぅ!」
「超獣のテイムもお手の物ってか」
これは少しばかり品のない発言だった。
隣の教官が咳払いして注意を促すと彼は慌てて「すごいな、テイマー」とごまかした。
「こりゃ今年度のMVPはあいつで決まりだな」




