森へ
今日一日でオレはヘルハウンド、リングヘイロー、マルファス、そしてペガサスをテイムした。
つまり攻撃と防御と回復と偵察と移動の手段を手に入れた。もはや一人の軍隊と言っても過言じゃないよな?
思った以上の収穫だった。
オレはルークたちに礼を言って別れた。
「ありがとう。おかげで何とかやっていけそうだ」
「大したことはしてないよ」
「また何かあったら声を掛けてくれ。俺たちにできることなら何でもする」
さて翌日。
オレはテイムしたモンスターたちの連携の練習を兼ねて森に入った。
パーティーメンバーとしてシャルとアメリとレインをご招待した。三人とも実習の時間が足りてないからな。
ティナは今日はバイトの日だそうで捕まらなかった。残念。
「持つべきものは友達だな!」
レインがはしゃぎながら言った。
なぁに、オレに任せとけ。大船とまでは言わないが小舟よりは頼りになるはずだ。
「学生が入れるところは全部マッピングしてみせるわ!」
アメリも張り切っている。
「私も一緒で良かったのかしら? あまり役に立ちそうにないけど」
今日のシャルは長い髪をキッチリ編み込んで頭の後ろでまとめている。
森の中で引っかからないようにしてるんだろう。真っ白な首筋が目に眩しい。
え? 五人いないと許可が下りないんじゃないかって?
うん、もう一人いるんだ……。
その彼女はシャルの隣でものすごい不機嫌オーラをまき散らしていた。
「うー……」
アイラだ。
シャルにべったり引っ付いてこっちを威嚇している。
何でもちょっと前にルークのパーティーを抜けたらしい。
「パーティーメンバーがカップルだらけで居心地が悪かったの。……誰かさんが余計なお世話を焼いたおかげで!」
アイラはオレを睨んだ。
そんな目で見られても……。
「ヒーラーはベルナもウィズもいるし。私がいなくてもいいでしょ」
なんて、アイラはすねたように言った。
相変わらずオレを睨みながら。
そんなにオレが嫌なら一緒に来なくても……と思ったけど、シャルがいるからなんだろうな。
二人はルームメイトで仲が良さそうだ。今日は髪型までお揃いだし。
オレたちは森に入った。
先頭はレイン。怪我しないようにハローを付けている。
その後ろにアメリがいて、ベルが護衛している。
いざという時は乗って逃げてもらおう。
シャルとアイラはその次でベガにまたがっている。
もし何かあったときに飛んで逃げられるように。今は歩いてるけど。
オレはしんがりでマルを従えている。
このフォーメーションが正しいかどうかわからないけど、手探りでも前に進まないとな。
レインは前と変わらずウロチョロ斥候を務め、アメリも楽しそうにマッピングしている。
今日のシャルはピッコロとかいうフルートの短いやつを握りしめている。
まさか森の中にギターやドラムを担いで行くわけにもいかないもんな。
アイラはシャルの腰に腕を回して、時々後ろを向いてオレを睨みつけてくる。
視線がチクチク痛い。勘弁してよ。
いつもの泉で給水して今日はステージ岩へと向かった。
以前は地竜と遭遇して途中で引き返してしまった。今日こそ栗の木に触るつもりだ。
「ウサギ! ウサギ!」
前を偵察していたレインが叫びながら帰ってきた。
顔が必死だ。
レインは額に鋭い角の生えた兎に追い立てられていた。アルミラージだ。
アルミラージの方が足が速くて、後ろから突進されては角に刺されそうになっている。
ガイン、ガインと高い音を立ててアルミラージの角が弾かれる。ハローのシールドだ。
レインにそんなつもりはないだろうがいい感じでおびき寄せる形になっている。
「ベル、ゴー!」
アルミラージが通り過ぎた瞬間オレが指示を出すと木陰に隠しておいたベルが飛び出した。
速い。[魔力共有]スキルで魔力を融通してるからな。シャルが笛を吹くとバフが飛んでさらに加速した。
ベルが後ろから飛び掛かるとアルミラージは声もなく抑え込まれた。
ベルは一撃で首をへし折って仕留めた。
「いいじゃんいいじゃん、イケるじゃん!」
ようやく息を整えたレインは踊りながら万歳した。




