似た者同士
(あれがティナの彼氏かー)
教室の移動中にキャロルはウィルという男子生徒と会った。
顔は知ってたけど実際にティナと話しているところを見たのは初めてだ。
すれ違いざまに天使がどうとか言ってティナに触れて、他の男子に殴られて大騒ぎしていた。
何だか軽薄そうな感じで(ティナにはどうかなぁ?)と思った。
故郷に残してきたキャロルの恋人はとびきり背が高くて筋肉の盛り上がった軍人だった。
年は三歳しか違わないけど話し方も性格も落ち着いた大人だ。
彼とはずいぶんタイプが違う。
(ティナってああいうのが好きだったんだ)
キャロルは何だか嬉しそうなティナを横目で見ながらちょっと趣味を疑ってしまった。
それが数日前の話。
今日もまた廊下でバッタリ出会ったら彼はまたもフレンドリーに近づいてきた。
「やあティナ、キャロルさん、ご機嫌よう。どうして妖精がいるのかと思ったよ。妖精界から迷い込んで来ちゃったのかな?」
(何を言ってるんだろうこの人)
キャロルは一瞬面食らったけどティナは笑って手を挙げた。
そしてその手を猫みたいに作って、クイクイ手招きするように動かした。
「猫の妖精だよー。出会ったあなたにラッキーチャンス! 今日はいいことがあるかも?」
「もうあったよ。こんなところでティナと会えた」
「アハ、またねー」
ティナの挙げた手とタッチして、手を振って別れた彼は他の男子たちに袋叩きにされていた。
それにしても──
(ティナって本当はあんなにノリが良かったんだ)
普段の様子と全然違っていてキャロルは内心驚いていた。
キャロルが思うにシャルはコミュ障だしアイラは上流階級で話がすれ違ってるしキャロル自身も気の利いた受け答えなんてちっともできない。
ティナが本当の自分でいられるのは彼の前だけなのかもしれない。
機嫌の良さそうなティナを横目で見て、この二人って結構お似合いなんじゃないだろうか、とキャロルは思った。




