キャットコーリング野郎
彼女が欲しい……!!
俺は切に願っていた。
ここのところ急にスプリングシーズンが到来してあちこちカップルだらけになっている。
なのに俺はひとりぼっち……。
俺もカワイイ彼女作ってイチャコラしたい。
いや、この際顔は妥協するからとにかく彼女作ってドエロイことしたい!
で、カップル成立の仲人をしてるのが何故かウィルなんだ。
だから次の授業のため教室を移動する間にウィルに頼み込んだ。
「なあ、俺にも女の子紹介してくれよ」
周りの男共もうんうん頷いている。なのにウィルは渋い顔を作った。
「んなこと言われてもなー……。オレは女の子の希望を聞いて仲介してるだけだし。お前らの名前出なかったんだからしょうがないだろ」
「クッ、友達甲斐のない奴め」
俺たちは需要なしと言いやがった。
「女の子と仲良くなりたかったら普段からもっと積極的に話しかけろよ。会話もしないような相手のこと好きになるわけないだろ」
「どうやって話しかけたらいいかわかんねえ」
「深く考えるなよ」
「拒絶されたらどうするんだ」
「次行け、次」
「何だその投げやりな態度は!」
「だってお前らに真剣さが見えねーし。本気ならそれくらいできるだろ」
「ぐぬぬ……」
言い合ってたらやはり教室移動中のティナさんキャロルさんとすれ違った。
ウィルは「ちょっとすまん」と断って二人に話しかけた。
「こんにちはティナ、キャロルさん。今日も可愛いね、天使だね。背中の羽は忘れてきちゃったのかな?」
などと笑いながらティナさんの肩甲骨の辺りを中指の先でつついた。何してんだこいつ!
キャロルさんもギョッとたまげている。
ティナさんはくすぐったそうに笑った。
うわーかわいいな彼女、と一瞬思ったけど、すぐに地竜を抱え上げた姿を思い出して首を振った。ないな。
「アハハ、今クリーニング中」
「乾いたらつけて見せてよ」
「また今度ねー」
二人とも手を振って別れた。
……何だろう、胸の奥にわだかまるこの暗い感情は。いや嫉妬じゃない、これだけはハッキリしてる。
「待たせたなグブッ!」
俺の右手が勝手に握りこぶしを作っていた。
「何すんだ!」
「こいつにパンチを食らわせてやりたいんですがかまいませんね!」
「殴ってから言うな!」
ウィルは抗議したが他の連中も俺と同じ気持ちだ。
「いいぞレイン!」
「もっとやれ!」
だよな。驚いてるのはウィルだけだ。
「なんでだよ……」
「うるせーナンパ野郎!」
「オレのどこがナンパだ!」
「全部だ! 誰が見ても!」
「は? あれくらい誰でもするだろ?」
何言ってだこいつ。当然全員いきり立った。
「できるかボケェ!」
「お前だけだ!」
「お前がやってるのはただの痴漢行為だ!」
「え……」
ウィルは意外そうな顔をしていた。何だこいつ。




