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調子乗りテイマーのお悩み相談室

「ねえ、ちょっといい?」


 それからしばらく女子からの相談が相次いだ。

 今のオレはこの学校の恋を司る神官だ。


 と言ってもオレがやってるのって成立寸前カップルの最後のひと押しなんだけどな。

 そこまで行ったなら自分で何とかしろよ……。


 まあ受けてしまった相談は仕方がないので相手の男のところに行くんだが──


「ちょっといいか?」

「何の用だ?」

「なあ、お前彼女って欲しい?」

「当たり前だろ!」

「そりゃ良かった。実はお前のこと好きって子がいてさ」

「誰だ──まさかキャロルさんか!?」


「お前彼女って欲しい?」

「当たり前だろ!」

「そりゃ良かった。実はお前のこと好きって子がいてさ」

「誰だ──まさかシャルさんか!?」


「実はお前のこと好きって子がいてさ」

「誰だ──まさかアイラさんか!?」


 どいつもこいつも……。

 お前ら顔しか見てないのか?


「そんな口聞いたこともない高嶺の花じゃなくてさ、もっと身近に気になる子いるだろ?」

「「「いるけど……、告白する勇気がなくて……」」」


 ……何を言ってるんだこいつら。

 どう考えてもモンスターと戦うより簡単だろうに。


「「「だって、嫌われたらどうしようかと……」」」


 しょうがない、テイムテイム。スケベ心を見せた瞬間にオレの支配下だ。

 勇気が欲しいか? 欲しいのならくれてやる!


 向こうがオーケーサイン出してるんだから臆さず行け!




 今日は戦闘科のリサと支援科のミュールが別々に相談してきた。


 リサのジョブは【サモナー】、モンスター的なものを始めとするいろんなものを呼び出して戦わせるジョブだ。ぶっちゃけテイマーの上位職だな。

 髪も目も黒、スラッと背が高くて胸も尻もスラッとしている。細長いポニテと勝気な瞳が印象的な十五歳だ。


 ミュールのジョブは【エンチャンター】、バッファージョブだ。バードの上位職だな。

 茶色の髪をショートボブにして毛先を綺麗にそろえている。ティナより小柄だけど胸はシャルに迫る勢いだ。ちょっとあわてんぼうで、小動物みたいだ。


 どっちも戦闘科のルークが好きだと言った。


 ルークはレパードのパーティーのリーダーだ。

 何だあいつ、モテてんな。


 まあ実力派の【パラディン】で背が高くて顔も微妙にイケメンだからな。

 とはいえタイプの違う二人の子から同時に好かれるとはうらやましい話だ。


「すまん、今ちょっといいか?」

「少しなら」


 午後の実習開始前に呼び止めた。


 一応確認したところルークは今のところ特に好きな子はいないらしい。

 というか学業を優先したいんだと。真面目か。


「彼女作るつもりないの? 楽しいぞ?」


 そう聞いてみるとルークは難しい顔をした。何故だ。


「レパードが彼女──ベルナとつきあい出して、パーティーに入れたんだ」

「らしいな」


 二人からもそう聞いている。


「個人の恋愛事情に口を出すつもりはないが……うちにはもうアイラがいるんだよ」


 ベルナは【メディック】アイラは【プリースト】、どっちもヒーラージョブだ。


「アイラにしてみれば自分の仕事を取られたみたいで面白くないよな?」

「そりゃそうだろうな」


「一つのパーティーに二人ヒーラーがいるとそれぞれの仕事は半分になるよな」

「その方が安心じゃないか?」

「言い換えれば成長率も半分になるってことだ。充分に成熟したパーティーなら回復役が多い方が心強いだろうけど、俺たちはまだ学生だ。これからスキルを伸ばしていかなければならないんだ。だから当人たちにとってはよろしくない」

「なるほど。もっともだ」


 それに【ウィッチ】、つまりウィズも多少回復スキルが使えるはずだ。ヒーラー過多だな。


「それにだ、うちが限られたヒーラーを二人独占しているということはヒーラーのいないパーティーが一つ生まれると言うことだ。学生たち全体にとってもよろしくない」

「お、おう」


「というわけだ。今の状況は少し困ってるんだ。これ以上人間関係をこじらせたくない」


 ……うん、こいつ同期生の中で一番まともだ。まともすぎてびっくりした。

 みんな自分の事で精一杯なのに全体的な視野を持っている。尊敬すべき男だな。


「レパードだけじゃなくてマルスもウィズと付き合い出して、どちらも実習を断りなしにサボったしな。どうも恋は人間をおかしくするらしい」


 すいません。それは半分オレのせいです。


 それはともかく、こいつ女よりも男に受けるタイプの精神的イケメンだ。

 なんだ、あの二人いい趣味してるじゃないか。


 感銘を受けたので友達になろうと言うと「是非とも」と爽やかに答えたので尊敬はそれとしてその瞬間テイムさせてもらった。

 だってこのままだとこいつ女の子と付き合いそうにないし。


 パターンとしては親愛型テイムだな、多分。


「もう一度確認するけど、本当に彼女欲しくない?」

「欲しくないと言えば嘘になるが、そんな余裕がない」

「いやいや、その心の余裕を作ってくれるのが女の子なんだよ。お前みたいな奴こそ恋人を作るべきだ」

「そうか?」

「そうだよ」


 さて、どっちとくっつけてやろうか。うーん……。


 翌日ルークは右腕をリサに左腕をミュールに抱きしめられて三人でイチャイチャしていた。


 オレは女の子たちの希望を優先することにした。

 すまんなルーク。でもこれもいつか美しい思い出に変わるから……。


 二人ともルークと付き合いたいとは言ったけど他の子を出し抜きたいとまでは言ってなかったし。

 大変申し訳なかったけどテイムさせてもらって、喧嘩しないようにちょっと認識をいじらせてもらった。


 仲良きことは美しきかな。他の子にはしないから許して欲しい。

 まあ、ルークは体力ありそうだし何とかなるだろ。




 恋人が欲しい女の子はオレのところに寄っといで。

 恋愛成就の現人神がここにいるよ!

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