風呂当番
女子寮では風呂の運用も当番制だ。
森に入ると汗やら泥やらで全身汚れる。ましてこの頃暑くなってきた、全員が体を洗いたい。
しかし四十人の寮生が一斉に入れるような浴室なんてここにはないので、時間制でグループごとに順番に入ることになっている。
獣人組は今日の風呂当番に当たっていた。
「お風呂と料理の当番は本当に嫌だわ……」
アイラが愚痴をこぼした。
実際寮生たちの一番嫌いな当番が風呂当番で、次は料理当番だ。
四人はボイラー室に向かった。
女子寮の浴室は湖側にある。浴室の外にボイラー室があって、入浴時間の前に準備をする。
ティナが井戸水を汲み上げるとアイラが[聖水]スキルで浄化した。
その水をボイラーに入れて火を焚き、湯加減を見て隣の部屋の浴槽にパイプで流す。
しばらく頑張るとようやく浴槽がいっぱいになったのでキャロルは脱衣場に声を掛けた。
「どうぞー」
きゃあきゃあ甲高い声が浴室に入ってきた。
キャロルは砂時計をひっくり返した。入浴時間を計るためだ。
ばしゃんと頭から湯をかぶる音が聞こえてくる。
みんな湯をじゃんじゃん使うのでどんどん継ぎ足さなければならない。
ティナは井戸水をひたすら汲んだ。大体グループの中で一番の力持ちがこの係になる。
アイラは浄化役、シャルとキャロルは薪をくべて火の番だ。
時計の砂が落ち切った。
「時間だよー」
「はーい」
覗き口から声を掛けると最初のグループは浴室を出ていって次の組が入ってきた。
みんな慣れたもので時間内に体を洗い終える習慣が身についている。キャロルはまた砂時計をひっくり返した。
……ようやく最後のグループが浴室を出た。
熱いし重労働だしで全員汗だくだ。体操服がぐっしょり濡れて透けていた。
風呂当番は最後に入ってついでに掃除する。
この当番のいいところは入浴の時間制限がないところくらいだ。
ティナはキャロルに背中を洗ってもらって、今度は向きを変えて洗ってあげた。
広い背中を上から順に洗ってゆく。下までたどり着くと青いしっぽは先をきゅっと丸めておとなしくしていた。
ティナは以前ウィルにしっぽについて尋ねられたことがあったのを突然思い出した。
(見せられるわけないじゃん、ほとんどお尻だし)
あの時は「どうなってるの?」と聞かれただけで「見せて」と言われたわけではないことには気づかなかった。




